石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

(SF小説) ナクバの東(67)

2025-02-08 | 荒葉一也SF小説
(アラビア語版)

Part I:「イスラエル、イラン核施設を空爆す」(64)

第24章 米軍乗り出す(2)殺(や)られる前に殺(や)れ(2/2)
 

「殺(や)られる前に殺(や)れ」「先制攻撃こそ最大の防御」と言ってはばからないイスラエルの右派政府及び軍部は、イランの核施設建設が進むにつれてますます強硬になっていった。かれらはこれまでにもイラクのオシラク原子力発電所やシリアの核疑惑施設を空爆している。イスラエルは自己の安全が脅かされると感じれば躊躇しない。それは脅威が客観的に証明されると言うレベルの問題ではなく、彼ら自身が脅威を「感じる」と言う皮膚感覚である。

イスラエル右派政府及び軍部のそのような皮膚感覚は日本人のように平和な世界に生きる者とは全く異なる。彼らは建国以来60年以上もの間、脅威と隣り合わせに生きてきた。彼らに常識的な脅威論や平和論は通用しない。明日攻撃されるかもしれない相手に対する正しい対応は、「殺られる前に殺る」ことである。そこでは彼ら自身の暴力は正しい暴力であり、敵の暴力は叩きのめすべき暴力なのである。

今やイランに対しても同じことである。イスラエル国内の強硬派の暴走とそれを後押しする米国内の国会議員や右派宗教指導者たち。ワシントンが彼らを抑えるのはもはや限界であった。

(続く)


荒葉一也
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中東とエネルギーのニュース(2月7日)

2025-02-07 | 今日のニュース
(エネルギー関連ニュース)
原油/天然ガス価格チャート:https://tradingeconomics.com/commodity/brent-crude-oil
(中東関連ニュース)



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現地記事転載:「ガザのパレスチナ人を追い出し、米が所有:トランプ大統領が驚愕の提案」(下)

2025-02-07 | 現地紙記事転載
(原題) Palestinians will be removed from Gaza and the US will own it: Trump
2025/2/5 Arab News (AP電)

 
ネタニヤフ首相は、トランプ大統領の2期目の最初の外国首脳訪問のためワシントンに到着したが、首相の支持率は低迷している。首相は、メディア界の大物や裕福な仲間と便宜を図っていたとの疑惑をめぐる進行中の汚職裁判で、数週間にわたる証言の真っ最中だ。首相はこれらの告発を非難し、「魔女狩り」だと述べた。イスラエルで人気の高いトランプ氏と一緒にいる姿が見られれば、裁判から国民の注意をそらし、ネタニヤフ首相の地位を高めるのに役立つかもしれない。

トランプ大統領はネタニヤフ首相について、「イスラエルには素晴らしい仕事をした正しい指導者がいる」と述べ、これに対してネタニヤフ首相は、トランプ氏が就任する前日に発効した人質・停戦協定を締結したトランプ氏のリーダーシップを称賛した。「彼らがここにいてくれてうれしい」とネタニヤフ首相はトランプ大統領とその政権について述べた。

ネタニヤフ首相がイスラエル国外に旅行するのは、11月に国際刑事裁判所が、ガザ戦争中の人道に対する罪で、元国防相と殺害されたハマスの軍事指導者に逮捕状を発行して以来初めてだ。米国は、自国民や領土に対するICCの権限を認めていない。

ネタニヤフ首相は月曜日、ホワイトハウスの国家安全保障担当補佐官マイク・ウォルツ氏およびウィトコフ氏と会談し、停戦合意の次の段階を仲介するという困難な作業を開始した。ネタニヤフ首相は声明で、ウィトコフ氏およびウォルツ氏との会談は「前向きで友好的」だったと述べた。

イスラエルの指導者は、湾岸アラブ諸国が仲介するハマスとの間接交渉を継続するためカタールに代表団を派遣すると述べ、交渉が継続されることを初めて確認した。ネタニヤフ首相はまた、今週末にイスラエルに戻った際に、停戦の次の段階に対するイスラエルの要求について話し合うため安全保障閣僚を招集すると述べた。

一方、ウィトコフ氏は、停戦の次の段階について話し合うため、木曜日にフロリダでカタールの首相シェイク・モハメッド・ビン・アブドゥルラフマン・アル・サーニー氏と会う予定であると述べた。カタールとエジプトは紛争中ずっとハマスとの重要な仲介役を務めてきた。

ネタニヤフ首相は、停戦を破棄し、ハマスを排除するためにガザでの戦闘を再開するよう、与党連合の極右メンバーから強い圧力を受けている。ネタニヤフ首相の主要パートナーの一人であるベザレル・スモトリチ氏は、戦争が再開されなければ政府を打倒すると断言しており、そうなれば早期の選挙につながる可能性がある。

先月の停戦開始以来ガザの支配権を再び主張しているハマスは、戦争の終結とイスラエル軍の完全撤退がなければ第2段階で人質を解放しないと述べている。一方ネタニヤフ首相は、イスラエルはハマスに勝利し、戦争のきっかけとなった2023年10月7日の攻撃で捕らえられた人質全員を返還することに全力を尽くしていると主張している。

首相はまた、今回の訪問を利用して、イランに対して断固たる行動を取るようトランプ大統領に圧力をかけるとみられる。テヘランは、イスラエル軍がガザのハマスやレバノンのヒズボラ過激派を大幅に弱体化させたほか、自国の防空軍が壊滅するなど、一連の軍事的挫折に直面している。ネタニヤフ首相は、この瞬間がテヘランの核計画に断固たる対応をとる機会を作ったと考えている。

ネタニヤフ首相との会談に先立ち、トランプ大統領はイランへの経済的圧力を強めるとされる大統領令に署名した。「我々はイランに核兵器を持たせるつもりはない」とトランプ大統領は述べている。

以上
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現地記事転載:「ガザのパレスチナ人を追い出し、米が所有:トランプ大統領が驚愕の提案」(上)

2025-02-06 | 現地紙記事転載
(原題) Palestinians will be removed from Gaza and the US will own it: Trump
2025/2/5 Arab News (AP電)

 
ワシントン/リヤド:ドナルド・トランプ大統領は、ホワイトハウスでのイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相との会談冒頭、ガザ地区に住むパレスチナ人が他国に移住した後、米国が同地区を所有するとの挑発的な発言を行った。

「人々はガザに戻るべきではないと思う。今ガザに住むことはできない。別の場所が必要だ。人々が幸せになれる場所であるべきだ」とトランプ大統領は述べた。トランプ大統領と彼の上級顧問らは、暫定停戦協定で示された戦争で荒廃した地域の再建に3年から5年かかるというスケジュールは実現不可能だと主張した。

トランプ大統領は以前、エジプトとヨルダンにガザ地区住民の再定住を求めていたが、両国はこの提案をきっぱりと拒否している。しかしトランプ氏は、両国及び名前は挙げなかったものの他の国々も、最終的にはパレスチナ人の受け入れに同意すると信じていると述べた。

「何十年もの間、ガザでは死ばかりだ。もし我々が美しい土地を手に入れ、人々が幸せに暮らせる素敵な家に永久に定住できれば、ガザで起きているような銃撃や殺害、ナイフで刺されて死ぬようなことはなくなる」とトランプ氏は述べた。

ホワイトハウスがガザの200万人以上の住民の将来に焦点を当てているのは、イスラエルとハマスの間で始まった停戦が危うい状況にあるからだ。ネタニヤフ首相は、ガザのハマス戦闘員との一時停戦を終わらせるよう求める右派連合と、残りの人質を取り戻し、15か月に及ぶ紛争を終わらせたいと願う戦争に疲れたイスラエル人からの相反する圧力に直面している。

トランプ大統領は、エジプトのアブドルファッターハ・エルシーシ大統領とヨルダンのアブドラ2世国王が最後にこの案を公に否定した後も、パレスチナ人のガザからの移住を強く求め続けている。サウジアラビア、アラブ首長国連邦、カタール、パレスチナ自治政府、アラブ連盟もエジプトとヨルダンに加わり、パレスチナ人をガザと占領下のヨルダン川西岸地区から移住させる計画を拒否している。

しかしトランプ大統領は、米国がエジプトとヨルダンに多額の援助を行っていることから、両国を説得して避難民の受け入れを認めさせることができると賭けているのかもしれない。ネタニヤフ政権の強硬右派メンバーは、避難民のパレスチナ人をガザから移住させるという要求を支持している。

トランプ大統領はまた、数十年にわたるイスラエルとパレスチナの紛争に対するより広範な二国家解決の一環として、独立したパレスチナ国家を再検討する可能性があることを示唆した。2020年に提示したパレスチナ国家設立を求める計画にまだコミットしているかと問われると、「多くの計画は時間とともに変わるものだ」と記者団に語った。

「私がホワイトハウスを去ってから多くの死者が出た。今、我々は以前とは違う状況に直面している。ある意味では良く、ある意味では悪くなっている。しかし、我々は非常に複雑で困難な状況に直面しており、それを解決していくつもりだ」とトランプ大統領は語った。

(続く)
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(SF小説) ナクバの東(66)

2025-02-06 | 荒葉一也SF小説

Part I:「イスラエル、イラン核施設を空爆す」(63)

第24章 米軍乗り出す(2)殺(や)られる前に殺(や)れ(1/2)
 
ペルシャ湾地域の混乱はイランの核開発疑惑問題に端を発した米国のイラン封じ込め政策によってさらにエスカレートした。イランが核開発で地域の主導権を握れば、中東全体が不安定になり、さらに将来イランの核兵器がイスラム・テロ組織に流れる恐れがある、というのが米国の理屈である。

しかし米国が本当に守ろうとしていた利益、それはイスラエルの安全保障であった。米国にとってはるか大西洋を隔て地球の裏側にあるとも言えるイスラエルそのものは経済的にはさほど大きな意味を持たない。それでも米国がイスラエルに肩入れするのは、政治家たちがイスラエル・ロビーの圧力に意のままに操られているためであり、また聖地エルサレムのあるイスラエルに対するキリスト教右派の過剰な思い入れのためであった。さらに9.11同時多発テロが米国民のアラブに対する嫌悪感を高めた。それを最大限に利用したのがイスラエルでありそのロビイスト達であった。

(続く)

荒葉一也
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中東とエネルギーのニュース(2月5日)

2025-02-05 | 今日のニュース
(エネルギー関連ニュース)
原油/天然ガス価格チャート:https://tradingeconomics.com/commodity/brent-crude-oil
(中東関連ニュース)



*外務省プレスリリース「第2回日・サウジアラビア外相級戦略対話」参照。




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現地記事転載:「ドローン界の王者バイカル社とトルコの防衛輸出企業群」

2025-02-04 | 今日のニュース
(原題) Drone magnate Baykar remains Türkiye's top defense exporter in 2024
2025/2/2 Daily Sabah

 
トルコ防衛産業機構(SSB)によると、バイカル社は2024年に18億ドル強の輸出を達成し首位に立った。同社のハルク・バイラクタル最高経営責任者は「バイカルは世界の無人航空機輸出市場で文句なしのリーダーであり、ハイテク大国として収益の90%を輸出から生み出している」とXに投稿している。

トルコの防衛輸出は昨年、前年比で約30%増の71億5000万ドルと過去最高を記録したが、バイカルはその4分の1を占めることになる。トルコの防衛産業は近年輸出が上昇傾向にあり、2023年には55億ドルの輸出を達成している。

トルコの防衛・航空宇宙部門のトップ企業であるバイラクタルは、近年大きな注目と人気を集めている。同社のバイラクタルTB2戦闘用無人機は、ウクライナ軍がロシア軍に対して使用したほか、アゼルバイジャンや北アフリカでの作戦でも使用され、世界的に注目を集めている。

バイカルの世界規模での成功により、トルコは無人航空機輸出で米国、イスラエル、中国を追い抜いた。米国を拠点とするシンクタンク、新アメリカ安全保障センター(CNAS)が2024年9月に発表した報告書によると、トルコは世界の無人航空機輸出市場の65%を占めている。

新たな取り組み
バイカルは、その実績を基に、最近イタリアの航空大手ピアッジオ・エアロスペースを買収した。また、同国の別の有力防衛メーカー、レオナルドのCEOは、両社の協力の可能性を示唆している。レオナルドの株価は、バイカルとの提携やピアッジオ買収の可能性が報じられる中、1月に急騰した。

バイカル社はこれまでに、人気の高いバイラクタル TB2 について 34 か国と、また重戦闘機アキンチについて 10 か国と契約を結んでいる。同社は現在、ロシア初の航空母艦と無人戦闘機クズリエルマ向けにカスタマイズされたバイラクタル TB3 ドローンも開発中である。翼を折りたたむことができるバイラクタル TB3 ドローンは、昨年末、短滑走路の軍艦から離陸し着陸することに成功した世界初のドローンとなった。

その他の主要輸出企業
SSBが公開したリストによると、トルコで昨年防衛・航空分野で最も輸出額が多かった企業は、それぞれバイカル、TAI、ASFAT、MKE、ARCA Defense、TUSAŞ Engine Industries Inc. (TEI)、Aselsan、RAM Dış Tıcaret (Otokar)、Roketsan、Samsun Yurt Savunmaだった。輸出額で見ると、TAIがバイカルに続いて7億5000万ドル、ASFATが6億4400万ドルで3位である。


以上
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戦争特需で潤う世界の兵器メーカー(3完)

2025-02-04 | 今日のニュース
2.各国の主要軍需企業

 世界1位、2位の米国、中国に次ぐ国々の中からいくつかの国を取り上げて企業名および世界順位、軍需部門売上高並びに全売上高に占める軍需部門の比率をみると以下のとおりである。

(1) 日本
企業名               世界順位      軍需部門売上高     総売上高比率
三菱重工業            39位          38.9億ドル           12%
川崎重工業            65            20.6                       16%
富士通                   71            18.5                         6.9%
NEC                      91            11.4                         4.6%
三菱電機               96            10.5                         2.8%

(2) 韓国
企業名               世界順位      軍需部門売上高        総売上高比率
Hanwha Group          24位          57.1億ドル             9.3%
Korea Aerospace Ind. 56            22.9                  79.0
LIG Nex1                    76            17.7                 100.0
Hyundai Rotem          87            12.1                  44.0

(3) イスラエル
企業名                 世界順位      軍需部門売上高        総売上高比率
Elbit System               27位          53.8億ドル           90.0%
Israel Aerospace Ind. 34              44.9                      84.0   
Rafael                         42             37.3                       98.0

(4) インド
企業名                         世界順位      軍需部門売上高        総売上高比率
Hindustan Aeronautics     43位          37.1億ドル           95.0%
Bharat Electronics            67             19.4                       81.0
Mazagon Dock Shipbuild. 94            10.9                        95.0

(5) トルコ
企業名                      世界順位      軍需部門売上高        総売上高比率
ASELSAN                    54位          24.4億ドル           95.0%
Baykar                          69            19.0                       95.0
Turkish Aerospace Ind. 78            17.0                       77.0


以上

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
     前田 高行     〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
                   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
                   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

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(SF小説) ナクバの東(65)

2025-02-04 | 今日のニュース
Part I:「イスラエル、イラン核施設を空爆す」(62)

第23章 米軍乗り出す(1)アル・ウデイド空軍基地(3/3)

 
このため米国はその後のイラン・イラク戦争では軍事偵察衛星によりイランの動きを探り、その情報をイラクに流しイラン叩きを支援した。当時のイラクのフセイン独裁政権は米国にとって到底受け入れがたいものであったが、「敵(イラン)の敵(イラク)は味方」と言う訳だ。そのことが結果的にフセイン政権を助長させ、後のクウェイト侵攻、湾岸戦争さらにはイラク解放戦争へとつながったのは歴史の皮肉という他はない。

このようにイラン及びアラブ諸国に対する限り米国外交は行き当たりばったりであり地域に混乱をもたらした罪は大きい。しかし米国の外交は別の意味では一貫していた。イスラエルを支えること、そのことこそが米国の中東における絶対的ともいえる外交方針だったからである。それが中東に更なる混乱をもたらしていることも間違いのない事実なのであるが--------。

(続く)


荒葉一也
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戦争特需で潤う世界の兵器メーカー(2)

2025-02-03 | 今日のニュース
2.国別企業数とその合計売上高

 兵器メーカートップ100社の国別分布をみると、最も多いのは米国の41社である。世界全体の4割強を占めており、米国が世界一の兵器生産国と言えよう。ちなみに41社の売上総額は3,170億ドルに達し、100社総売上高の50%を占めており、金額面での世界シェアはさらに大きい。

 米国を含み2社以上リストアップされている国と各国の合計売上高は以下の通りである。


国名            企業数        合計売上高  金額ベース順位
米国            41            316,750百万ドル 1位
中国              9            102,890               2
英国                   7             47,680                3
フランス           5             25,530                 4
日本                  5               9,990                11
韓国                  4             10,980                 9
ドイツ              4             10,670                10
(汎ヨーロッパ)  3             20,990                6
イスラエル      3             13,600                  8
インド             3               6,740                12
トルコ             3               6,040                13
ロシア             2             25,500                  5
イタリア         2             15,210                  7

(注)「汎ヨーロッパ」はヨーロッパの複数国をまたぐ多国籍企業であり具体的にはAirbus社など。

上記のほかに1社のみリストアップされているのは、スウェーデン、台湾、シンガポール、ウクライナ、ポーランド、ノルウェー、カナダ、チェコ及びスペインの9か国がある。

 米国は企業数、金額ベースとも最も大きく、企業数では4割を超え、金額ベースでは5割を超えている。米国は高価な兵器の製造で他国を圧倒していることがわかる。米国に次いで企業数が多いのは中国の9社であり、先に触れたとおり世界トップ10に3社が入っている。ただし金額ベースでは全体の16%にとどまっており小型あるいは通常型兵器の生産が主流を占めていると考えられる。

 3位、4位は英国及びフランスである。このほか6位、7位、10位に汎ヨーロッパ企業、イタリア及びドイツが入っており、西欧は兵器の一大生産拠点と言えよう。伝統的な兵器生産国であるロシアは世界7位のRostecを含め2社が世界上位100社に入っている。他国に比べ企業数が少なく、兵器の製造が一部企業に独占されているようである。

 売上高8位はイスラエル、第9位は韓国である。人口規模の小さい両国は軍需産業に力を入れているようである。ちなみに日本は世界11位(5社、売上合計100億ドル)、インドは12位(同、3社、67億ドル)であり、その他の国々はトルコ(13位、3社、60億ドル)、ウクライナ(17位、1社、22億ドル)、チェコ(21位、1社、12億ドル)などである。

(続く)

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
     前田 高行     〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
                   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
                   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

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