(第1回) 緊急会合の合意内容といくつかの疑問点
OPEC(石油輸出国機構)は、10月19日夜から20日未明にかけてカタルの首都ドーハで緊急会合(正式には「Consultative Meeting」)を開催、120万B/Dの減産を決定した。会議後のプレスリリースによれば、OPECはイラクを除く加盟10ヶ国の現在の合計生産量を2,750万B/Dと規定し、そこから120万B/Dを減産、10カ国の生産量を2,630万B/Dとしている。
減産する120万B/Dの国別内訳は、アルジェリア(59千B/D、以下同じ)、インドネシア(39)、イラン(176)、クウェイト(100)、リビア(72)、ナイジェリア(100)、カタル(35)、サウジアラビア(380)、UAE(101)及びベネズエラ(138)とされた。
プレスリリースでは、この暫定的な減産は11月1日から実施され、12月14日にナイジェリアのアブジャで開かれる臨時総会で見直すこととされている。
石油価格は7月に史上最高値をつけたあと急激に下落している。このような局面の中で9月中旬に開かれた第142回総会では、一部に減産を唱える加盟国もあったが、昨年7月に決定した生産枠(2,800万B/D)を維持することが決議された。しかしながらその後も石油価格は下落を続け、例えばニューヨーク原油市場の指標油種WTI (West Texas Intermediate)は、7月には78.4ドル(1バレル当り)であったものが10月初めには60ドルの大台を割り、3ヶ月の間に20%以上も値を下げた。
そしてOPECの生産量も2,800万B/Dの生産枠を下回る状態が続いた。このような状況に危機感を抱いたダウコル議長(ナイジェリア石油相)は加盟各国に緊急会合を呼びかけ、その結果が今回の合意となったものである。
しかしながら今回の合意に至る経緯と合意内容及び今後の見通し等については、いくつかの不透明な部分や疑問点が見受けられる。それを列挙すれば以下の5点に絞られるであろう。
疑問1:何故緊急会合が必要だったのか?
疑問2:何故生産枠の削減ではなく、生産量の削減としたのか?
疑問3:何故削減量を120万B/Dに決めたのか?
疑問4:どのような根拠で各国の削減量を決めたのか?
疑問5:今後のOPECと世界の石油市場はどうなるのか?
本稿ではこれらの疑問点について、各種外電の報道内容を検証しつつ、筆者なりの見解を順次述べてみたいと思う。
(今後の予定)
2.疑問1:何故緊急会合が必要だったのか?
3.疑問2:何故生産枠の削減ではなく、生産量の削減としたのか?
4.疑問3:何故削減量を120万B/Dに決めたのか?
5.疑問4:どのような根拠で各国の削減量を決めたのか?
6.疑問5:今後のOPECと世界の石油市場はどうなるのか?
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