(注)HP「中東と石油」で「BPレポート解説シリーズ:石油+天然ガス篇(2008年版)」の全文を一括でご覧いただけます。
BPの「BP Statistical Report of World Energy 2008」をもとに本シリーズではこれまで石油及び天然ガスの埋蔵量、生産量、消費量等のデータを抜粋して解説したが、最後に石油と天然ガスを合わせた形でその埋蔵量、生産量及び消費量についての解説を試みる。なお天然ガスから石油への換算率は10億立方メートル=629万バレル(1兆立方メートル=62.9億バレル)である。
石油+天然ガス篇(1):世界の石油と天然ガスの埋蔵量
1.2007年末の石油と天然ガスの地域別合計埋蔵量
2007年末の世界の石油埋蔵量は1兆2,379億バレルであるが、これに対して天然ガスの埋蔵量は177兆立方メートル(以下㎥)であり、これは石油に換算すると1兆1,156億バレルとなり、石油の埋蔵量は天然ガスよりやや多いことがわかる。両者を合わせた合計埋蔵量は2兆3,535億バレルとなる。
これを地域別に見ると(上図参照。拡大図はhttp://menadatabase.hp.infoseek.co.jp/2-D-1-96a-Oil&Gas-Reseve-by.gif)、中東が世界全体の埋蔵量の半分(51%)を占めており、次いで欧州・ユーラシアが22%であり、この両地域で世界の埋蔵量のほぼ4分の3を占めている。その他の地域についてはアフリカ9%、中南米7%、アジア・大洋州6%、北米5%となっている。
地域別の石油と天然ガスの内訳では(詳細は表「石油・天然ガスの地域別合計埋蔵量(2007年末)」http://menadatabase.hp.infoseek.co.jp/1-D-1-96a-Oil&Gas-reserve-b.gif参照)、中東は石油の世界シェアが61%であり天然ガスのシェアは41%である。いずれも地域別の一位ではあるが天然ガスのシェアは小さい。これに対し欧州・ユーラシア地域は石油のシェアは中東の五分の一以下であるが天然ガスのシェアは34%と中東に比べて遜色がない。
2.国別埋蔵量(上位20カ国)
埋蔵量を国別に見ると(詳細は表「石油・天然ガスの合計埋蔵量上位20カ国(2007年末)」http://menadatabase.hp.infoseek.co.jp/1-D-1-96b-Oil&Gas-reserve-b.gif参照)、原油と天然ガスの合計埋蔵量が最も多い国はロシアの3,603億バレルであり、世界全体の15.3%を占めている。ロシアは石油埋蔵量では世界7位(794億バレル)であるが、天然ガスの埋蔵量(44.65兆㎥、石油換算2,808億バレル)が非常に多いため合計埋蔵量では世界一となっている。2位と3位はそれぞれイラン及びサウジアラビアとなっており、両国の埋蔵量はイラン3,133億バレル、サウジアラビア3,093億バレルである。サウジアラビアは石油埋蔵量(2,642億バレル)が世界1位であるが、天然ガスは石油の6分の1(石油換算451億バレル)であり、これに対してイランは石油の埋蔵量はサウジアラビアの半分であるが(1,384億バレル)、石油を上回る天然ガスの埋蔵量(石油換算1,749億バレル)を有するため、石油と天然ガスの合計埋蔵量ではサウジアラビアより若干多い。
これら3カ国に続くのがカタルである。同国の場合石油の埋蔵量(274億バレル)は世界13位であるが、天然ガスはロシア、イランに次ぐ埋蔵量(石油換算1,610億バレル)を有しているため、合計埋蔵量では世界第4位である。これら上位4カ国だけで世界シェア合計は50%近くに達し、石油及び天然ガス資源が一部の国に偏在していることがわかる。
5位から10位まではUAE(石油換算合計1,361億バレル、以下同じ)、イラク(同1,349億バレル)、ベネズエラ(同1,194億バレル)、クウェイト(同1,127億バレル)、ナイジェリア(同695億バレル)、米国(同670億バレル)と続いている。クウェイトは石油こそ世界第4位の埋蔵量(1,015億バレル)であるが、天然ガスの埋蔵量が世界18位と非常に少ない。
これら上位10カ国の世界シェア合計は77%であり、世界の石油・天然ガス埋蔵量の4分の3をこれら10カ国が握っているのである。
3.可採年数の推移
2007年末の石油と天然ガス全体の可採年数は49年である。石油の可採年数42年よりも長く、天然ガスの60年よりは短い。1980年以降2007年末までの推移をみると(詳細はグラフ「石油と天然ガスの可採年数(1980~2007年)http://menadatabase.hp.infoseek.co.jp/2-D-1-96b-Oil&Gas-reserve-h.gif参照」)、1980年の可採年数は37年であった。この年の石油の可採年数は29年であり天然ガスの57年のほぼ2分の1であった。当時は天然ガスに比べ石油の生産量が格段に多かったため石油と天然ガスを合わせた可採年数は石油に近い数値となっている。その後80年代は石油の可採年数の増加に歩調をあわせ80年代末には可採年数は50年に延びている。90年代以降2007年末まで、石油と天然ガス合計の可採年数はほぼ横ばいの状態を続けている。ただし天然ガスの可採年数が2001年の69年をピークに年々低下しているため、石油の可採年数がほとんど変わらない(40年強)にもかかわらず、石油と天然ガスを合わせた可採年数も2002年以降は毎年少しづつ低下している。
(石油+天然ガス篇第1回完)
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