(注)本稿の上中下は「前田高行論稿集 マイライブラリー」に一括掲載されています。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0221EnergySupplyDemandGap.pdf
3.消費量
(1)2010年
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-1-98a6CountriesOilGasProdCons2010.pdf 参照)
5カ国の中では米国の消費量が飛び抜けて高く2010年の石油・天然ガスの合計消費量は石油換算で3,092万B/Dであった。これは同年の世界全体の22%を占めている。米国に次ぐのが中国の1,094万B/D、ロシア1,034万B/Dでほぼ同量である。以下日本(608万B/D)、インド(439万B/D)、ブラジル(306万B/D)となっている。米国の消費量は中国の3倍弱、日本の5倍、インドの7倍に達している。
(2)2000年~2010年の消費量の推移
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-1-98c6CountriesOilGasCons2000-10.pdf 参照)
2000年から2010年までの各国消費量の推移を見ると、米国は毎年3千万B/Dを超える高い水準である。その他の5カ国では中国の伸びが著しく、2000年の同国の消費量は519万B/Dであり、ロシア(880万B/D)、日本(678万B/D)より少なかった。しかし2004年には日本を追い抜き世界第3位の消費国になり、さらに2010年にはロシアを上回り1,094万B/D(世界第2位)となっている。同国の消費量は過去10年間に2倍に増加した。
日本は6カ国の中では唯一10年間を通じて減少しており、2010年の消費量は2000年より10%減となっている。インドは中国と同様消費量が毎年増加しており、2010年には10年前に比べ1.6倍の439万B/Dに増加、今後もこのような増加傾向をたどれば近い将来日本を追い抜き世界第4位の消費国となる見込みである。
4.自給率(ロシアを除く5カ国)
生産量(上記2)を消費量(上記3)で割った数値が自給率である。ロシアは生産量が消費量の2倍あり、自給率は常時100%を上回っている。ここではロシアを除く5カ国の自給率を比べてみる。
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-1-98d6CountriesSupplyGap2000-10.pdf 参照)
(1)2010年
2010年の5カ国の自給率では、ブラジルが78%と最も高く、これに次ぐのが米国58%、中国52%、インド39%であり、日本のみが自給率ゼロである。石油・天然ガスの消費量が世界1位と2位の米国及び中国の自給率は5割を超えており、両国が消費量の半分を国産の石油・ガスで賄っていることは注目すべきである。またインドも4割のエネルギーを自給している。そのような中で世界第4位の消費国日本の自給率がゼロであることは極めて特異なことである。
(2)2000年~2010年の自給率の推移
2000年から2010年までの自給率の推移を見ると、ブラジルは2000年の自給率が64%であったが2005年には80%に達し、その後もその水準を維持している。同国は近年深海油田の開発が軌道に乗っており、今後更に自給率が上がるものと推測される。
これに対して中国は2000年には72%であった自給率が年々低下し2010年には52%になっている。同国の経済成長率は今後も高い水準を維持するものと思われ、それに伴ってエネルギーの需要も年々増加することは間違いない。そのため同国の自給率は今後もしばらくは低下し続けると考えられる。
一方米国は2007年を境に自給率が改善する傾向にあり2010年は58%となり、2001年の57%を上回り、過去10年間では最も高い。同国では近年シェールガスやオイルサンドなど非在来型と呼ばれる天然ガス及び石油資源の開発が盛んである。これらの活発な探鉱開発活動が自給率の向上につながっていることは大いに注目すべきであろう。またインドも2008年を底に自給率が改善しており今後の動向が興味深い。
(続く)
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