石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

BPエネルギー統計レポート2013年版解説シリーズ:天然ガス篇19貿易量(5)

2013-08-12 | その他

 

(注)本シリーズ「BPレポート天然ガス篇」は「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。

 

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0275BpGas2013.pdf

 

 

(3) LNG貿易(続き)
(圧倒的なシェアを占める日本!)
(3-3) 2006年~2012年の国別輸入量の推移
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/2-4-G04.pdf 参照)
 LNG輸入の全体量は2006年の2,111億㎥から2012年には1.6倍の3,279億㎥に増加している。7年間を通じて国別輸入量が最も多いのは日本であり、2006年の819億㎥から2012年には1.5倍の1,188億㎥に増加している。この間2009年を除けば毎年増加しており、特に2011年、2012年のタイ前年伸び率は14.4%及び11.1%と2年連続で二桁の大幅な伸びを示している。これは言うまでもなく原発の運転停止による火力発電用LNGの輸入が急増したからである。この状況は今後もしばらく続き日本のLNG輸入は高止まりするものと考えられる。過去7年間における日本のLNG輸入が世界全体に占める割合は2008年の41%をピークに2010年には一旦31%に下がったが、その後再び上昇傾向にあり、2012年の日本のシェアは36%である。

 日本に次いで輸入量が多いのは韓国であるが日本との差は大きい。同国の輸入量は2006年341億㎥であり、2012年には497億㎥に増加しているが、日本の半分以下であり世界の輸入量に占める割合は15%である。日本が当分の間LNG輸入量世界一であり続けることは間違いない。

 LNGの輸入でここ数年大きな存在感を示しているのは英国である。同国のLNG輸入量は2008年には10億㎥にすぎなかったが2009年には一挙に103億㎥に急増、2011年には253億㎥で輸入全体の7.7%を占めるに至っている。英国はこれまでは北海油田からの随伴ガスにより国内のガス需要を賄っていたが、油田が枯渇しつつある。このため同国は安定的な天然ガス供給源としてカタールとの合弁で2009年にウェールズ州サウス・フックにLNG受入基地を建設している。

 この他の主なLNG輸入国はスペイン、インド、中国、台湾であり、上位7か国のうち4カ国(日本、韓国、中国、台湾)は極東アジアの工業国である。日本、韓国及び台湾は国内にガス資源が殆ど無く、またパイプラインで近隣国から輸入する手段もないため天然ガスをLNGに依存しているのである。なお2000年には10カ国にとどまっていたLNGの輸入国の数は30カ国近くに増加している。現在LNG受入設備を建設中の国もあり、今後LNG輸入国はさらに多様化するであろう。

(続く)

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 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

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