石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

今週の各社プレスリリースから(7/10-7/16)

2011-07-16 | 今週のエネルギー関連新聞発表

7/15 昭和シェル石油    東亜石油京浜製油所扇町工場閉鎖の進捗 及び 2011年第3四半期国内向け原油処理計画について http://www.showa-shell.co.jp/press_release/pr2011/0715.html
7/15 伊藤忠商事    ブラジル・ペトロブラス社向け超大水深プレソルト層生産用FPSO事業に参画 http://www.itochu.co.jp/ja/news/2011/110715.html

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ニュースピックアップ:世界のメディアから(7月15日)

2011-07-15 | 今日のニュース

・バーナンキFRB議長の発言でWTI95ドルに下落。Brentとの値差は過去最高の23.57ドルに

 

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ニュースピックアップ:世界のメディアから(7月14日)

2011-07-15 | 今日のニュース

・IEA:来年の石油需要見通し、147万B/D増の9,100万B/D。

 

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ニュースピックアップ:世界のメディアから(7月13日)

2011-07-13 | 今日のニュース

・原油価格:ロンドンは上昇、ニューヨークは下落。Brent$117.02, WTI$96.11

・イラクの随伴ガスプロジェクト、Shell/三菱商事Gが漸く120億ドル契約調印

 

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ニュースピックアップ:世界のメディアから(7月12日)

2011-07-12 | 今日のニュース

・イラン、2015年までに石油増産のため180億ドル投資。中国SINOPECとのYadavaran共同開発は今秋生産開始。CNPCの南パルス、アザデガン開発遅延に苦情。 *

*石油の開発生産については「BP統計解説シリーズ」参照。

 http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/oil.html

 

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BPエネルギー統計2011年版解説シリーズ:天然ガス篇(7)

2011-07-10 | その他

(注)本稿は「マイ・ライブラリー(前田高行論稿集)」の下記URLで一括ご覧いただけます。

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0189BpGas2011.pdf

 

6.世界の天然ガス貿易(その3):パイプラインとLNGの比較

(1)天然ガス貿易の推移(1997~2010年)
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-3-91GasTradePipelineVsLng(1997-2010).pdf参照)
 パイプライン及びLNGによる天然ガスの合計貿易量は1997年にはパイプラインによるものが3,220億立方米(以下㎥)、LNGが1,110億㎥の合計4,330億㎥であり、パイプラインとLNGの比率はほぼ3:1の割合であった。この後、天然ガスの貿易は年率5%を超える伸びを示し、2000年には5,000億㎥、2005年には7,000億㎥、2008年に8,000億㎥を超え、2010年には1兆㎥にあと一歩の9,750億㎥に達している。1997年当時に比べ天然ガス貿易全体では2.3倍に増加しているが、近年はLNGによる貿易の伸びが大きく2010年には全貿易量に占めるLNGの比率が3割を超えた。

(2)主要な天然ガス輸出国(2010年)
 パイプラインとLNGを合わせた天然ガスの輸出が最も多いのはロシアの1,672億㎥(世界シェア17%)であり、第2位はノルウェー(1,006億㎥、シェア10%)であった。第3位の輸出国はカタールであり、輸出量は949億㎥(内訳、パイプライン192億㎥、LNG758億㎥)である。同国は昨年末までに大型LNG設備が相次いで完成し、英国向けの輸出量が飛躍的に増大した(詳細は下記4項参照)。
第4位はカナダの695億㎥で全量米国向けのパイプライン輸送によるものである。第5位のアルジェリアは558億㎥(内訳、パイプライン365億㎥、LNG193億㎥)を輸出している。同国はパイプラインとLNG輸出のバランスが取れており、他国の輸出がパイプライン又はLNGのいずれかに偏重していることに比べ特徴的である。ロシアからアルジェリアまでの上位5カ国で天然ガスの全貿易量の半分を占めている。

6位以下10位までは、インドネシア413億㎥(パイプライン99億㎥、LNG314億㎥)、オランダ364億㎥(全量パイプライン)、マレーシア291億㎥(LNG305億㎥、パイプラインで一部輸入)、ナイジェリア240億㎥(全量LNG)となっている。
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/1-D-3-96cGasExport2010(Pipeline+Lng).pdf 参照)
(注)天然ガス貿易では米国のようにカナダとの間で相互に輸出と輸入を行っている国、或いはロシアのように隣国のカザフスタンから天然ガスを受け入れ(輸入)、これを再輸出している国等がある。従って本項の輸出量はそれらを相殺したNETの輸出量である。(次項の輸入量についても同じ)

(3)主要な天然ガス輸入国(2010年)
 パイプラインとLNGを合わせた天然ガスの輸入が最も多いのは日本の935億㎥で全量LNGである。続く2位のドイツは781億㎥であり、こちらは全量パイプラインである。3位、第4位はイタリア及び米国でありそれぞれの輸入量は752億㎥(パイプラインによる輸入661億㎥、LNG輸入91億㎥)及び735億㎥(パイプライン629㎥、LNG106億㎥)である。(なお米国のGROSS輸入量はこれよりも大きい。上記(2)注参照)

5位から10位までは、5位フランス(PL 334億㎥、LNG 139億㎥、Total 474億㎥)、6位韓国(全量LNG444億㎥)、7位英国(PL 193億㎥、LNG 187億㎥、Total 380億㎥)、8位トルコ(PL 281億㎥、LNG 79億㎥、Total 360億㎥)、9位スペイン(PL 77億㎥、LNG 275億㎥、Total 353億㎥)、10位ウクライナ(全量PL 330億㎥)の順となっている。
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/1-D-3-97cGasImport2010(Pipeline+Lng).pdf 参照)

(4)拡大する輸出入量と多様化する貿易ルート(カタールと中国の例)
 天然ガスの需要は拡大の一途をたどっており、これに伴い世界各国でLNGの生産・出荷設備や受入設備の新増設が行われ、或いは国境をまたがるパイプラインが建設されつつある。この結果、天然ガスの貿易量は毎年大きく増加しており、また天然ガス貿易に関与する国も着実に増加している。ここではLNG輸出国として目覚ましい躍進を遂げているカタールと、その一方国内産のガスが不足し毎年輸入量が急増している中国について、それぞれ過去5年間(2006年~2010年)の輸出(入)量及び取引相手国の推移を取り上げてみよう。

(i) カタールの天然ガス輸出とその相手国
 2006年に311億㎥であったカタールの天然ガス輸出量は5年後の2010年には3倍の949億㎥に達している。この間の増加率は年間20%以上であり、2010年の場合は前年比40%と言う驚異的な増加率を示した。
 同国ではここ数年相次いで新規LNG生産出荷設備が立ち上がり、かねてから同国が標榜していたLNG年産7,700万トン体制が昨年末に完成した。これに伴いLNGの輸出先と輸出量が大幅に増加している。輸出相手国の数は2006年の6カ国から2010年には3倍近い16カ国に増えている。新規相手国の殆どはスポット輸出であるが、中には英国のように長期契約の国もある。2010年の英国へのLNG輸出は139億㎥に達し日本向け(102億㎥)を上回っている。
 またこの間にカタールとUAE及びオマーンを結ぶパイプライン(ドルフィン・パイプライン)も完成、生ガスの輸出が始まった。この結果2010年のUAE向け輸出量は174億㎥となり最大の輸出相手国となっている。
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-3-99bQatarGasExport06-10.pdf参照)

(ii) 中国の天然ガス輸入とその相手国
 中国は長らく天然ガスの自給体制を維持していたが、消費量が急増したため2007年には生産量が消費量を上回り天然ガスの純輸入国となっている。その後も同国の天然ガス需要は大幅に増加しているため、輸入量は44億㎥(07年)→76億㎥(09年)→164億㎥(10年)と激増している。このうちLNGについてはオーストラリア、インドネシア、マレーシア、カタールから長期契約で輸入すると同時に、スポット物を積極的に買い付けており2010年の輸入相手先は13カ国に達している。また中央アジアのトルクメニスタンと中国を結ぶパイプラインも2010年に完成、同国からの輸入量は36億㎥でオーストラリアに次ぐ第2位の輸入相手国となっている。
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-3-99cChinaGasImport06-10.pdf参照)

(天然ガス篇完)


本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

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BPエネルギー統計2011年版解説シリーズ:天然ガス篇(6)

2011-07-08 | その他

 

注)本稿は「マイ・ライブラリー(前田高行論稿集)」の下記URLで一括ご覧いただけます。

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0189BpGas2011.pdf

 

 

5.世界の天然ガス貿易(その2):LNGによる輸出入
 1964年、アルジェリアからフランス向けを皮切りに始まったLNG貿易は、近年輸出国、輸入国及び貿易量それぞれの面で急速に拡大している。2010年のLNG輸出国の数は17カ国、輸入国は22カ国に上り、それらの国々が取引したLNGの総量は2,976億立方米(以下㎥)に達した。貿易国のうち米国及びベルギーのように輸出・輸入の双方を行っている国を含めLNG貿易に関与する国は年々増加している。

(1)LNGの輸出国と輸出量
 (表http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/1-D-3-96bLngExport2010.pdf 参照)
まず輸出面で見ると、最大のLNG輸出国は中東のカタールであり、同国は昨年1年間で758億㎥を輸出、世界全体の輸出量の26%を占めている。前年(2009年)の輸出量495億㎥を50%上回る驚異的な増加であった。これはかねてから同国が標榜していたLNG年産7,700万トン体制が整ったことにより本格的な輸出の拡大に乗り出したためである。

カタールに続くのがインドネシアの314億㎥(シェア11%)、第3位はマレーシアの305億㎥(同10%)であり両国の輸出量は殆ど差が無い。これら3カ国で世界のLNG輸出の半分近くを占めている。第4位以下はオーストラリア254億㎥(同9%)、ナイジェリア239億㎥、トリニダード・トバゴ204億㎥、アルジェリア193億㎥、ロシア134億㎥、オマーン115億㎥となっており、以上の9カ国が年間輸出量100億㎥を超える国である。そのほかにLNGを輸出している国々はエジプト、ブルネイ、UAE、イエメン、エクアトール・ギニア、ノルウェー等である。

(2)LNGの輸入国と輸入量
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/1-D-3-97bLngImport2010.pdf 参照)
 次にLNGの輸入を国別で見ると、最大の輸入国は日本である。日本の2010年の輸入量は935億㎥で世界全体の31%を占めている。第2位は韓国の444億㎥(シェア15%)、第3位はスペイン275億㎥(シェア9%)であり、これら3カ国だけで世界のLNG輸入の56%に達する。3カ国に続くのが、英国(187億㎥)、台湾(149億㎥)、フランス(139億㎥)、中国(128億㎥)、インド(122億㎥)、米国(106億㎥)であり、以上9カ国が年間輸入量100億㎥を超えている。このほかLNGを輸入している国はイタリア、トルコ、ベルギー、メキシコなどである。

(3)1997年と2010年の貿易量と輸出入国の比較
(輸出図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-3-91bLngExport1997vs2010.pdf参照)
(輸入図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-3-91cLngImport1997vs2010.pdf参照)
  LNG貿易の拡大を1997年と2010年で比較すると、量的側面では1997年に1,113億㎥であった貿易量は、2010年には2.7倍の2,976億㎥に増加している。

輸出について見ると、LNGの輸出国の数は1997年には9カ国であったものが、2010年には17カ国に達している。1997年当時は国別輸出量ではインドネシアの357億㎥がもっとも多く、これに次ぐのがアルジェリア(243億㎥)、マレーシア(201億㎥)であり、この3カ国でLNG輸出全体の7割強を占めていた。カタールはこの年に始めて日本向けの輸出を開始したばかりであり、オーストラリア、ブルネイ、UAEの輸出量はカタールを上回っていた。

ところが2010年になると、上述の通りカタールが世界最大のLNG輸出国となり、97年に首位であったインドネシアは第2位となっている。輸出上位3カ国のが全輸出量に占める割合を見ると、1997年(インドネシア、アルジェリア及びマレーシア)の72%に対し2010年(カタール、インドネシア及びマレーシア)は46%にとどまっている。このことからLNG貿易が多様化したことがわかる。

 同様のことを輸入について比較すると、1997年には9カ国に過ぎなかったLNG輸入国の数が2010年には22カ国に増加している。1997年にLNGを最も多く輸入したのは日本の643億㎥であり、全世界(1,113億㎥)の実に6割を占めていた。そして日本に次いで輸入量が多かったのは韓国(157億㎥)であり、続いてフランス(92億㎥)、スペイン(67億㎥)、台湾(41億㎥)であった。これに対して2010年の日本の輸入量は1997年の約1.5倍の935億㎥に達しているが、世界輸入に占める割合は31%に低下している。この間、2位の韓国は2.8倍に増加している。中国は2006年に初めてLNGの輸入国となったが、わずか5年後の2010年には世界第7位のLNG輸入国となっている。輸入量第8位のインドもほぼ同様である。

(4)2006~2010年の輸出入量の推移
 2006年に2,111億㎥であった世界のLNG貿易は2007年には2,264億㎥に増加、2008年は停滞したものの、2009年は7.2%増の2,428億㎥となり、2010年は対前年比23%増の2,976億㎥に急増した。

これを輸出国別で見ると、カタールが5年間を通じて最大の輸出国であった。2006年にはインドネシア、マレーシアの2カ国との差は小さかったが、両国の輸出量が伸び悩む中で、カタールは5年間で2.4倍に急増している。この間の世界全体の増加率は1.4倍であり、カタールの成長は際立っている。
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-3-96aLngExport2006-10.pdf 参照)

一方輸入については5年間を通じて日本がLNG輸入量トップであり、2位韓国と2倍以上の差がある。但し韓国を含め日本以外の殆どの国は毎年LNG輸入量が大幅に増加している。特に中国と英国の伸びが目覚ましく、中国の場合は10億㎥(‘06年)→39億㎥(‘07年)→44億㎥(‘08年)→76億㎥(‘09年)→128億㎥(‘10年)と5年間で10倍以上に膨らんでいる。また英国の場合は’08年に10億㎥に過ぎなかった輸入量が‘10年には187億㎥となっている。同国は大型LNG受入設備を建設しカタールから多量のLNGを輸入する態勢を整えたのである。
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-3-97aLngImport2006-10.pdf 参照)

LNG貿易には輸出国におけるガス液化及び出荷設備の建設、LNG運搬船建造さらには輸入国におけるLNG受入設備および再ガス化設備の建設に巨額の投資が必要であるため、これまで普及のペースは遅かった。しかし天然ガスは石油や石炭に比べて環境負荷が低いとしてその評価が高まっており、また世界各国に出荷あるいは受入設備が次々と完成して、LNGのサプライ・チェーンが整備されつつある。LNG出荷設備の新設が輸入国の増加をもたらし、また出荷設備を新設して新たにLNG輸出に参入する国が生まれるなど、LNG貿易拡大の好循環が始まっている。LNG貿易は今後安定的に拡大するものと思われる。さらに輸出入国の数が増えることによりスポット市場も生まれており、今後国際的なLNG取引がますます盛んになることは間違いない。

(続く)

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

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ニュースピックアップ:世界のメディアから(7月8日)

2011-07-08 | 今日のニュース

・原油価格上昇、終値はWTI$98.19、Brent$117.28

・カタール、GTL製ナフサをアジア市場に投入、沸点は高目の180度

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BPエネルギー統計2011年版解説シリーズ:天然ガス篇(5)

2011-07-06 | その他

 

注)本稿は「マイ・ライブラリー(前田高行論稿集)」の下記URLで一括ご覧いただけます。

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0189BpGas2011.pdf

 

 

4.世界の天然ガス貿易(その1):パイプラインによる輸出入
 パイプラインによる天然ガス貿易の歴史は古く、現在はユーラシア大陸(ロシア・中央アジア~ヨーロッパ諸国)及び北米大陸(カナダ~米国)を中心に世界各地で広く行なわれている。2010年の貿易量は世界全体で6,776億立方メートル(以下㎥)であり、関与している国の数は80カ国に達する。これらの国の中には米国とカナダのように相互に輸出または輸入を行なっているケースやロシア或いはドイツのように他国産の天然ガスを中継貿易で第三国に輸出しているケースもある。

(1) パイプラインによる天然ガスの輸出国とその量
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/1-D-3-96aGasNetExportByPipeline2010.pdf参照)
 パイプラインによる天然ガスの輸出量が最も多い国はロシアであり、2010年の輸出量は1,538億㎥であった。なおロシアはカザフスタン、ウズベキスタンなど中央アジアの複数の国から天然ガスを受け入れており(輸入)、上記輸出量はそれらを差し引いたNETの輸出量である(その他の国についても同様)。

ロシアに次いで多いのがノルウェーの959億㎥、第3位はカナダ(715億㎥)である。これら3カ国でパイプラインによる輸出量の5割を占めている。この3カ国に続いてアルジェリア(365億㎥)及びオランダ(364億㎥)がほぼ同量を輸出している。北アフリカに位置するアルジェリアは地中海を横断する海底パイプラインによって天然ガスをフランス、スペインなどのヨーロッパ諸国に輸出している。

6位から8位はトルクメニスタン(197億㎥)、カタール(192億㎥)、ウズベキスタン(136億㎥)である。このうちトルクメニスタンとウズベキスタンは中央アジアの産ガス国である。また中東のカタールはロシア、イランに次ぐ世界第3位の埋蔵量を誇っており(第1章「世界の天然ガス埋蔵量」参照)、天然ガスを液化したLNGとして日本などに輸出してきた。しかし近隣のUAE、オマーンの天然ガス需要が強いため、最近3カ国を結ぶ「ドルフィン・パイプライン」が建設され、両国への天然ガスの輸出が始まっている。UAE、オマーンは共に石油及び天然ガスを生産しているが、発電及び造水プラントの燃料としての天然ガスが自国産だけでは不足するためカタールから輸入しているのである。

(2) パイプラインによる天然ガスの輸入国とその量
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/1-D-3-97aGasNetImportByPipeline2010.pdf参照)
 2010年のパイプラインによる天然ガスの輸入量が最も多いのはドイツの781億㎥であった。これに次ぐのがイタリア(661億㎥)、米国629億㎥である。なお輸入量についても上記(1)の輸出量と同様NETの数値である。因みに米国の場合はカナダ及びメキシコから合わせて933億㎥を輸入しているが、同時にこれら2カ国に303億㎥を輸出している結果、NETの輸入量が629億㎥となっているのである。これら3カ国に次いでパイプラインによる天然ガスの輸入量が多いのは、フランス(334億㎥)、ウクライナ(330億㎥)、トルコ(281億㎥)である。

(3) パイプラインによる天然ガス輸出の推移(2006年~2010年)
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-3-99aGasPipelineTrade06-10.pdf参照)
 2006年に5,371億㎥であったパイプラインによる輸出量は、2007年には5,497億㎥に増え、その後も5,873億㎥(2008年)→6,338億㎥(2009年)→6,776億㎥(2010年)と毎年増え続け、特に2008年から2010年までは年率7%前後の高い伸びを見せている。

 国別で見るとロシアの過去5年間の輸出量は1,515億㎥(’06)→1,475億㎥(’07)→1,544億㎥(’08)→1,765億㎥(’09)→1,865億㎥(’10)であった(注、輸出量は上記(1)と異なりGROSSの量)。同国は5年間を通じて第2位のノルウェーを大きく引き離しトップであり、世界全体に占める割合は一定して27%前後であった。ノルウェーの輸出量も毎年アップしているが近年の伸び率は低く世界に占めるシェアは下落傾向である。カナダは2010年の輸出量が世界3位であるが、過去5年間の輸出量は変動が大きく、998億㎥(’06)→1,073億㎥(’07)→1,032億㎥(’08)→922億㎥(’09)→924億㎥(’10)であった。特に2008年、2009年の落ち込みが大きい。これは輸出先の米国でシェールガスの開発生産が本格化し、米国の天然ガス自給率が上がったためと考えられる。(第2章(3)「生産量が増加している国、減少している国」参照)

(続く)

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 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

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ニュースピックアップ:世界のメディアから(7月4日)

2011-07-05 | 今日のニュース

・日本向けLNG急増でタンカー用船料、2003年以来の高値に。

・存在感が増す国営石油会社、民間国際石油会社と微妙な関係:Petroleum Economist誌

 

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