不適切な表現に該当する恐れがある内容を一部非表示にしています

たかたかのトレッキング

駆け足登山は卒業、これからは一日で登れる山を二日かけ自然と語らいながら自由気ままに登りたい。

(6)フランス・スイス紀行(20日間の旅) ツェルマット(4)

2011年01月10日 | 旅行
ウンターロートホルン→オーバーロートホルン登山口→オーバーロートホルン→登山口→氷河→フルーエ→スネガ


地下ケーブル、空中ケーブルと乗り継いでウンターロートホルンに降り立つと壮麗な展望と共に
これから目指すオーバーロートホルンの茶色い塊が立ちはだかった。
地下ケーブルであれほど居た観光客は其々の駅で散り足を延ばした者は私たちの外もう一組の日本人夫婦だけ。
その夫婦もエーデルバイスを見るためにティッシュ方面に下って行った。
オーバーロートホルンを登る者は誰もいない。

先ずはウンターロートホルンとオーバーロートホルンの鞍部に向かって下っていくと
砂礫の原には濃い藍色のゲンチアナが点々と咲きその向こうにはヴァイスホルンの白い峰
これぞスイスといった景観である。
ジグザグを何度か繰り返しフィンデルン氷河を臨む大地で休憩。

木一本生えていない荒涼とした山
岩屑と砂礫の違いは有るにしろ富士山もこんななのであろうが美しい花々がこちらには有る。
リュックを背負いいよいよ山頂に向かった。
ギラギラした太陽に身をスッポリ包まれての急登も空気が乾燥しているせいか汗が出ない。
だが、やたらと喉が渇く。

どうにか南東の肩に着くとミシャベル山群が競り上がってきた。
はやる気持ちを抑えきれず一気に山頂まで登ってしまおうと決意・・だが一挙に崩れた。
足元から左右に深く切れ落ちた岩が次のピークに向かっていたのだ。
そしてその稜線はリンプフィッシュホルンへと続いている。

カラカラと音をさせながら岩屑を踏みしめる道を花が彩っていた。
しかし足元の花を観賞するには余りにも登りがきつ過ぎた。
傾斜は益々増し見えているのに山頂になかなか手が届かない。
足が止まりそうになるのを堪えて上を目指す。ガンバレ



二人とも到達できた喜びよりも期待どおり、いや それ以上の大パノラマに気持ちが高揚し荒い息の中でただ茫然と佇むばかり。
ヴァリス山群、ミシャベル山群の名峰がズラリ私たちを取り囲んでいるのである。
岩の上から下を見下ろせば谷は深く切れ落ちその高度感も凄まじい。
とにかく落ちつけ落ちつけと自分に言い聞かせるが、あっちへ行ったり こっちへ行ったり
岩の上を右往左往するばかりだった。

オーバーロートホルンを後にフルーエに向かった。
風にのってカランコロンと鳴る鈴の音
陽は燦々と降り注ぎ緑の草原はあくまで広く、澄み切った草原の風が頬を撫でて通り過ぎていく。
30分ほど歩いたところで標識を左折
道は幅広の下りに転じ大きく右にカーブするあたり前方に いよいよ目指すフィンデルグレッチャーが見えてきた。



更に下った断崖絶壁から足元に目をやれば遥か下方の草原の中に赤と焦げ茶のFluhalp小屋
優しく蛇行する小川のほとりには一貼りのテント
その先には氷河が運んで来たモレーンが高く盛り上がりモンテローザの脇から白い固まりを流している。
さてさて、この断崖をどう下るか
しかし案ずる事はなく道は絶壁の腹に巧みに付けられており無事、緑の原に降り立つことができた。

私にとって初めて間近に見る氷河だ。
シャモニやゴルナーグラードでも見てはいるがこれ程の至近距離となると気持ちは舞い上がるばかり
暫く腰を下ろしてボーっと眺めていたい気持ちを殺してモレーン上を歩きながら振り返り振り返り氷河を後にした。



Fluhalp小屋を後にした後はステりぜーからネズミ返しで有名なフィンデルンを通ってツェルマットまで歩く予定だ。
マッターホルンを美しく投影しているステリぜー、うねるような緑の平原
私たちにとってごく当たり前の景色となった今
日本の限られた自然を思ったとき切ない気持ちを抱いてしまうのは私だけだろうか。
スイス全体が九州の広さ、そしてここは その一部なのである。

右上にスネガの駅 前方にエッケンの集落 ・・時刻は17時
このを超えて30分も歩けばフィンデルンの集落である。
体の疲れと時間がこのまま進むかスネガへ戻るか迷わせる。
「どうしよう、地下ケーブルで帰ろうか」
「それが正解かもしれないな」
二人の意見が一致したところで明るい草原のなかスネガに向かった。
今日も一日よく歩いた。







コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする