たかたかのトレッキング

駆け足登山は卒業、これからは一日で登れる山を二日かけ自然と語らいながら自由気ままに登りたい。

(2)背戸峨廊・スッテンコロリン

2021年10月03日 | 心に残る思い出の山

続き

美しい姿の鹿の子滝

長い鎖と鉄梯子で高巻く途中で見られる見返りの滝と続き三連の滝で美の饗宴は締め括られた。

辿って来た道を思い起こせば切り立った岸壁から垂直に落下する滝、岩にぶつかって曲折し飛沫を上げてなだれ落ちる滝、岩を抱く様にトラバースすれば、いきなり立ち塞がる様な大きな滝が現れたり長梯子登りや足元に白い怒涛が打ち寄せる水面ギリギリを鎖に掴まって歩かされたり実に変化に富んだ飽きる事の無かった5キロに及ぶハイクだった。

しかし、こんな小さな山からどうにしてこれ程も豊富な水が生まれるのだろう? ヒンヤリした空気の中、滝を目の前に温かいコーンスープを飲みながら私はそんな事を考えていた。

 

三連の滝を後に左に急登するとやがて人声も遠ざかり嘘の様な静寂に包まれた。20分もしない内に道は穏やかになり晩秋の良さが感じ取れる原生林の中を縫う様に歩いた。穏やかなシットリした道だった。

やがて直径80㎝近い松の大木がいたる所で枝を広げ「もしや!」と目は松の根元に注がれる。後ろから雄さんが「登山道脇に在る筈がないだろう」。それもそうだと思いながらも腐りかけた落ち葉がモッコリしていれば杖で探ってみたくなる。 前方に馬酔木のトンネルにこぼれる陽光がまだら模様を描いていた。

二日間に渡る程良い緊張も漸く終わり川の流れを耳に下れば登山者と観光客で賑わう第二駐車場だ。芋煮会には一足遅く後片付けの最中だった。国道に戻り第一駐車場に置ききれない車がズラリと並ぶ間を通って郡山方面に向かう。左に流れる川は渓谷が美しい夏井川で有り一番の見所である竜場の滝辺りには観光客が大勢、美観に酔っていた。しかし背戸峨廊とは大違い。ビニール袋に詰めたゴミがあちこちに散乱していて気分が悪い。だが流れ下るブルーの水は白い岩肌に映えて美しい。

 

(忘れてしまいましたが左奥に落ちているのが竜場の滝と思います)

少し先では楓の紅葉が全くほかの色を交えない深紅一色で渓谷沿いに自然の並木を作りフィナーレに相応しい風景を見せてくれた。