新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

5月13日 その2 感情論を排除する

2020-05-13 09:49:44 | コラム
テレビ局は感情的すぎる:

新型コロナウイルス制圧対策と言うべきか、特措法による自粛の要請が始まって以来、テレビでは運営が成り立たなくなる危険性が極めて高いと称して、食堂、レストラン、居酒屋等々が自粛営業により存続の危機に直面しているという類いの報道を連日のように採り上げている。特に一時は「居酒屋」というか、私は「飲み屋」だと思っている業種の苦境と、その対応策をこれでもかとばかりに採り上げてきた。既に述べたように、私には縁が皆無の業種なので「大変なのは解るが感情的だな。消えてしまえばマスコミ人も誰でも不便になると言いたいのか」程度の関心事だった。

そうは言うが、私は決して無関心だと言っているのではない。既に採り上げたが、日本大学危機管理学部の先崎教授が指摘されたように「コロナウイルス制圧後には世の中がどのように変わってしまうかは現時点では予測できない」のであって、制圧に時間がかかればかかるほど我が国の独特の文化で寧ろ歴史的な慣習に近いとすら思うことがある「5時過ぎたから一寸一杯」と言って皆で酒酌み交わして語り合い楽しむ為の機関(存在?)が消え去ってしまうかも知れないのだとは思う。これは車社会のアメリカやヨーロッパにはあり得ない風習である。

であればこそ、テレビ局を中心にしたメデイアがその存続の危機に接して、感情論に走るのは理解はできる。だが、彼らの採り上げ方は私には過剰にしか見えてこない。私がこれまでに何度か採り上げた英語の表現に“They are not making the things happening.”というのがある。無理に日本語にしてみれば「居酒屋や飲み屋が我が国の経済を支えているのでない」とでもすればお解り頂けると思う。これに対して端的で解りやすい例を挙げておけば「昨日の豊田章男社長のトヨタ自動車の決算発表をどのように聞くか」であろう。

トヨタの売上高は約30兆円だ。国家予算と対比した場合にどれほどの比率になるか考えて欲しい。GDPの何割を占めるかを考えて欲しい。来期の利益予想は対前年比△80%ほどだ。我が国の経済にどれほどの影響を与えるかなどは考えるまでもあるまい。他の解りやすい例では、ANAもJALも政府に数千億円の資金援助を求めているではないか。多くの百貨店は小池都知事の先走った自粛要請を受けて食料品売り場以外は休館したではないか。売上高が数十パーセント減少したではないか。ビジネスの世界では昇給も無きが如きで失業者は増えているではないか。

一方では鎖国状態の時代となって「インバウンド」とやらに依存してきた業種は困窮しているではないか。輸出も輸入も滞っているではないか。内需に依存してきた我が国の経済は停滞の止むなきに至ったではないか。こういう“We are making the things happening.”の柱だった経済と産業界が苦境に立たされているのは可哀想ではないのか。感情論を向ける先を誤って貰っては困るのだ。経済が立ち直ってから、始めて居酒屋や娯楽の業界が追随するのだと私は考えている。スポンサー企業を応援するのがマスメディアの務めではないのかな。


34県での解除の方向とか

2020-05-13 08:57:28 | コラム
西村康稔さん、焦っておられるのでは:

1~2日辺り前から「気の緩み」との懸念を表明する評論家等の意見を多く聞くようになった。ストレス(私は未だに「フラストレーション」の誤りだと信じているが)が貯まった者たちが自粛要請を無視して街中にも、ジョギングに、も食堂にも、勿論パチンコ屋にも出てきているとは承知している。これらの無謀に近い行動には多少は同情しても良い点はあるが、私は気の緩みもあれば、如何にも時期尚早だと思って見ている。未だに第二波が果たして襲ってくるのかどうかも判然としない時期では、こう言う行動は軽率だと思う。

ところが、西村康稔大臣は14日までに一部の県(多くの?)での解除を検討中だと語っていた。私は上記と同じ理由で賛成しかねる考え方だと思っている。確かに感染者がゼロとか少ない県は複数あるのは事実だ。何処かで専門家が指摘していたが、感染者が少ない地方では東京都とその周辺の県のように公共交通機関を利用した通勤も移動も少ないので、感染者が少ないのだという見解を表明していた。一つの尤もな考え方だと思う。私はそういう点を考慮しても、この時期に解除とは疑問ではないのかと思って見ている。西村氏は功を焦っておられるのかとも懸念している。

これまでに何度も指摘したことで、私は西村氏はその学歴と職歴が示すようにお勉強の秀才だと思って見ている。だが、これまでにこの重大な任務を担当されるに当たって「俺が責任者だ。俺が全責任を持って制圧法を決めるから、国民の皆様は黙って付いてきてください。悪いようにはしません」と言ったような、指導力を発揮するとか決意の表明はなく、唯々「専門家会議の意見を聞いて」を連発してこられた。ビジネスの世界ではこういう他人任せの管理職に惹かれて付いていこうという現象は余り起きないものだ。

私でさえ自粛要請を長く続ければ経済が動かないで、不況が深刻化するくらいのことは解っている。西村氏もその点を考慮されたのだろうと疑っている。そうであれば、「解除はもう少し延期するが、その間の対策として総理に第二次補正予算を可及的速やかに立てて頂くことを申請して、経済の面でも何とか支えていくようにするので、これまでの特措法の方針のように月末まで暫時ご辛抱願いたい」くらいのことを言えば良いのではなかっただろうか。解除したと思った途端に第二波が襲ってきたら「専門家会議に相談したのに」とでも釈明する気か。

私は毎日毎日ビクビクしながら極力家に籠もって、「慢性心不全」を抱えた身体を何とかして守ろうと努めている。そして一刻も早く新型コロナウイルス制圧対策が功を奏して気を緩めて外出可能になる日を楽しみにしている。だからこそ、西村氏に「急いては事をし損じる」という事態を引き起こしかねない決定を急いで欲しくないのだ。どうやら専門家会議ではなく、諮問委員会には経済学者も加えられるようだから、西村氏はこういう方々のご意見も十分且つ慎重に伺って「国家の大方針を自分で」決めて貰いたいと願っている。彼には功を焦って欲しくはない。