新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

5月15日 その2 小池百合子東京都知事論

2020-05-15 08:51:25 | コラム
再選されるのを嫌う気はない:

正直に言えば「再選もまた致し方ないだろう」という思いである。東京都に再び住むようになって32年が過ぎた。だが、都知事が誰であろうと、都民としての法的や経済的な妙味というか有難味は取り立てて言うほどのものはなかったと思っている。石原慎太郎君にはその知名度と、同じ学校に昭和20年から通ったことと、同じ蹴球部員であったことからかなり期待した。だが、上記の点では何かあった訳ではなく、烏が確かに減ったなと感じてきただけかも知れない。要するに、自治体の首長には「民の竈に煙を立てる」ような役割はないと思った方が確実だと思っているのだ。

そこで小池さんだ。私は既に東京都知事としての彼女の評価は「豊洲移転問題でとちり、自前の政党の設立で失敗した失点を何とか取り戻して、プラスマイナスゼロに何とか持ってきた」と述べてあった。またオリンピックの開催問題が出てきてからの小池都知事の姿勢は「ただひたすらトランプ大統領も及ばないほどの、再選に向けての努力と格好付け」に徹底しているとみている。そこにこの新型コロナウイルス感染問題が生じたので、兎に角何が何でも後手・後手の継ぎ足し方式しか出来ない政府に先んじて対策案を続々と打ち出して、政府の「遅さ」を際立たせる手法に出た。

このような批判的な見方を避ければ、小池都知事の新型コロナウイルス対策は将に政府が真っ先に講ずべきだと思わせることを、絶好の時期を選んで先手を打って発表して「実に良くやってくださっている」と都民の中から評価が出てもおかしくはないと思わせると見てきた。しかも、東京都には新型コロナウイルス制圧対策用の「専門家会議」も「諮問委員会」も存在しないのだから、小池都知事の素早い対策案が大衆受けしても不思議はないと思っている。

しかも、報道によれば小池都知事は自民党の二階幹事長の支持を得て、党内には対抗馬が出てきそうにはない雰囲気まで醸し出すことに成功している。その上に都知事の選挙は7月であれば、如何に過去の実績で「後出しじゃんけんが有利」であっても、野党側にも小池さんに勝てそうな候補を出す意欲があるとの報道もない。犬猿の仲であるとかないとか言われている森喜朗組織委員会会長との関係も、著しく改善されたとかだ。

このような状況下では小池都知事の再選の確率は高いと思う。私は決して小池都知事を支持もしていないし、評価している訳でもない。だが、これまでに経験してきたように「何方が知事になられても日常生活に何らの影響はない」のである以上、小池さんの再選に苦情や異議を申し立てる必要はないと思っている。しかし、もしも二期目をやられるのであれば、これまでのように「口舌の徒」に徹してくれるのではなく、何でも良いから「これぞ小池改革」と賞賛できるような都民の生活に経済的な有難味を産み出す政策を実行してくれれば良いのだ。

小池さんに望むことは「良い格好ばかりしていると思わせないようにして、上の方ばかりを見ていないで、都民の生活にゆとりを持たせて、経済的にも何でも良いから満足させる政治姿勢を追求して欲しい」のである。頭の回転は速い小池さんは「都知事には誰がなっても同じ事」と読み切ってあるかも知れない。


安倍総理の緊急事態解除の記者会見に思う

2020-05-15 08:04:24 | コラム
何故、事前にあれほど会見の内容が報道されていたのか:

総理が何を言われるかと、幾つの県で解除されるかについては、マスコミ報道であらかた承知していたし、「何故、事前にあそこまで報道されたのか」と訝って見せた評論家までいた。そういう意味では、折角総理が懸命に説明されても「矢張りそうだったのか」と思わせられるような感覚で会見が始まった。正直に言って聞き流していた。だが、二次予算を急ぎ編成され1万5千円の件は関西の言葉で言う「聞き初め」だった。総理も懸念を表明された「気の緩み問題」は既に指摘してあったので、矢張りかと思った聞いたが、これは極めて重大な問題だと考えている。

新聞記者というの人たちは度しがたいなのと痛感したのが、何処の新聞社が記憶していないが「検察庁法改正案」について質問したのには、残念ながら呆れ返った。昨夜の会見はそういう目的で総理が国民に語りかけられた場ではないと確信していた。それにも拘わらずトクトクして質問するとは「あの場が予算委員会ではないくらいは承知しているか」と怒鳴りたくなった。家内ですら「何を訊いているのか」と笑っていた。

これもかなり本筋から外れていたことがあった。聞き取りにくい日本語で「何故航空便が滞留してインドネシア(と言ったと思うが)に届かないのか」と尋ねた外国人記者がいたこと。ICT化の時代にあっては、ほとんどの外国との交信がEmailで事足りるようになっている時に航空便が届かないという疑問には、大袈裟に言えば「目から鱗」的な感があり、虚を突かれたかと思った。総理は丁寧に「貨物便が飛んでいない外国もあるので、極力旅客便を活用するようジャパンポストに指示している」と答えておられたと記憶する。ウイルスの影響がここにも現れているかと知った次第。

私は安倍総理があのような深刻な表情で真剣に語りかけておられたのであるから、国民も総理のご努力に応えるべく「万が一にも気を緩ませるようなことなどないよう」に心して、これから先も厳格な生活態度を維持すべきだと痛感した。「天は自ら助くる者を助く」のだと自覚すべきだろう。

最後にまた西村康稔大臣の批判かと思われるのを覚悟で言うが、別途行われた会見だったのだろうが、西村氏は解除の基準の設定について聞かれて「専門家会議にお決め頂いた」と答えた。何度でも言う。彼は担当し決定する大臣であって、専門家会議は諮問機関だ。これでは本末転倒だと思う。更に言えば、総理の隣に座って尾身茂副座長が解説した内容は極めて政治的な判断であり、ご専門であるはずの医学や感染症学の問題ではないとしか聞こえなかった。

私はこの会議への過度の依存には疑問であると思うと繰り返して指摘したし、彼等に責任を持たせるような使い方はおかしいと思っている。何度でも言うが、私は専門家会議の権威者の方々に何かを委託した覚えはない。だが、安倍総理にも閣僚にも国会議員には付託していた。