兎角気が滅入るコロナウイルスの話題から離れてみよう:
有り難いことに私がこの話題を数年前に採り上げたところ、未だにアクセスがあると知ったので、もう少し解りやすく述べてみようと思い立った次第だ。こういう学校教育では簡単に教えられないだろう言葉を英語を真剣に学ぼうと思っておられる方々に、より良くご理解願えれば幸せである。
英語の汚い言葉(swearword)とは:
仮令戯れにでも使ってはならない「汚い言葉」なのである:
最初に強調しておきたいことは「この言葉を会話の中で使うことは、取りも直さず自分から『私は知的には下層階級です』と名乗ったのと同じだ」という点である。しかしながら、我が国の学校教育の英語教育では、この言葉とその社会的な評価と認識については教えていないようだ。だからこそ、知らずにアメリカ人の世界の飛び込んでいくと、“hell”だの“fuck”だのという言葉を聞かされて「これは格好が良いな」という類いの誤解をして真似したくなるもののようなのだ。真似てはならないのだ。
しかもその多くは俗語、隠語、符牒の意味である“slang”と混同して、スラングとは汚くて下品な言葉であると思い込んでしまっている場合が極めて多いので困る。そこでスラングの例を挙げておけば“cop”といえば「警察官」のことで“cabby”ならば「タクシーの運転手」で、“rooky”では「新入り、新米」となるので、汚い言葉とは全く異なるのだ。
古くは松本清張のような大作家も「スラング」を“swearword”と混同されていたし、最近では読売新聞社から巨人軍の球団代表を務めていた清武英利氏も週刊文春の連載では混同されていたので、これは芳しくないとあらためて痛感した次第。ここに再度 “swearword” とは」を語って見ようと思うに至ったのだ。念の為に申し上げておくと、この種の「汚い言葉」は我が国で尊敬されている大英帝国のQueen’s Englishにも厳然として存在している。
この言葉を多用する階層の連中の目的は、この言葉を使って自分の言いたいことを強勢するというか強調するので、確かに解りやすくはなるが、その時点で「品格」乃至は「品位」は放棄したことになってしまうのだ。余計なことかも知れないが「強勢」か「強調」に当たる英語は“stress”なのである。例えば“sentence stress”のように使われている。
そこで、先ずは数年前に纏めた「英語の言葉の分類」の中の“swearword”の項目を中心にして“swearword論”を展開していこう。私がswearwordに初めて接したのは1956年の未だ学生の頃に三越の銀座支店でアルバイトをしていた時だった。当時は朝鮮動乱の戦場から東京に休暇で来ている兵士たちにデイナーセット等の洋陶器を売る部署にいたので、それこそ朝から晩まで聞かされていた彼らの品位を欠く英語を聞かされていたのだった。。当初は何故“hell”だの“damn”が多用されるのかが解らなかったが、馴れるに従って何が言いたいのか察しがつくようになった。
Swearwordとは:
「汚い言葉」とするのが一般的なようだが、その解説に入る前に、この言葉についての私の苦い思い出を採り上げておきたい。
1972年8月に生まれて初めてMead Corp.の社員としてアメリカに出張し、帰路はカナダ西海岸のヴァンクーヴァーからとなった。そこで母親と家内に土産でも買うかと、空港の免税店立ち寄った。応対してくれた販売員はかなり高齢の日系の女性だった。これはと思った品物が予算を超過していたので、何気なく“Jesus Christ!” と口走った。
すると、その販売員がキッとなって急に日本語に変わり「貴方は何という言葉を使うのですか。少しくらい英語ができるからと言っていい気になって汚い言葉を使うとは何事ですか。即刻お止めなさい。私は戦争中にここで育ったために日本語も英語も中途半端になってしまったが、それでもswearwordを使ってはいけないくらいは心得ています。これから先は絶対に使わないようにしなさい」と将に声涙ともに下る忠告をされたというよりも叱責されたのだった。私は言葉もなかったほど恥じ入った。
また、ウエアーハウザーでは転出した直後に当時の副社長との打ち合わせ中に迂闊にも使った瞬間に激怒されて「苟も我が社の社員足るものが使うことなどあり得ない。今後私の面前で二度と使うな」と厳しく叱責されたのだった。
私が好んで採り上げる使い方の例に「沢尻エリカの“Oh, shit!”」と呼んできた例がある。彼女は「別に」だったかの一言で評判を落とし、語学留学と称してアメリカに渡った。その留学から帰って来た際に成田空港で記者たちに追い回されて逃げている時にハンドバッグを落としてしまった。そこで出た台詞が“Oh, shit!”だったのだ。アメリかではそういう言葉を多用する連中と交流があり、彼らの言葉を知らずに覚えたのだと解る。
“shit”は使ってはいけないとされているswearwordの代表的な例である。Oxfordはswearwordとは“A rude or offensive word, used especially to express anger.としているが、これでも未だ穏やかな言い方で、寧ろ弱いとすら考えてしまう。Websterは”to swear”を”Use profane or obscene language.”としている。
私は正直に言ってこの種の言葉が何であるかということを知らずに覚えていた。だが、知らないのは恐ろしいもので、一旦覚えると何となく使ってみたい誘惑に駆られるものなので怖いのだ。“swearword”は戦後の占領軍の兵士たちが使っていた為に、我が国でそういう類いの悪い言葉だと誰も知らぬ間に自然に広まったようだと、私は考えている。特に当時は「ゴッダメ」=“God damn it.”がその代表格だったようだと記憶する。英語が何であるか良く知られていなかったあの頃には、何の躊躇いもなくアメリカ人が使う言葉を真似していたのだと思っている。
何故いけないかは上に述べたように明かである。それは私が勤務していたような上場企業の本社組織に属する年俸制の社員ともなれば、公式非公式の場で使うことなど以ての外であり、人前では使うことなどあり得ないのだ。それだけでは具体性がない。これを使うと、言いたいことを強調できるのだが、それが同時に「語彙の貧弱さ」と「無教養」とを表し「お里が知れる」(既に指摘したように知的下層階級であると自称したのと同じ)ことになるのである。
そこで具体的な例を挙げるが、それを見ればslangとは明確に一線を画していると解ると思う。
shit.=「チクショウ」か「何だよ」辺りになるだろうが、下品である。
bull shit=これも「コンチクショウ」であり「この野郎」にもなるだろうか。“horse shit”と言う場合もある。
hell=意味を強めるときに使う。例文を挙げればHe is a hell of a salesman.=「彼は凄腕のセールスマンだ」なのだ。“hell of a driver”と言えば「運転が凄く上手い人」という具合だ。“heckとも言う場合もある。これは“What the heck.”のようになって「なんてこった」という意味になるようだ。
God damn it! これも「コンチクショウ」で、日本語でも余り褒められない表現だ。
Jesus Christ. =「なんてこった」か「コンチクショウ」辺りが訳語だろうか。
fuck→日本語に訳すのも躊躇うような言葉。fuckingとも言う。
ass hole=日本語にも「何とかの穴の小さい奴」という表現があるが、それとは意味が違うものの、汚い言葉の代表格であろう。
Oh, brother! =「何としたことか」とでも言おうか。
shithole=不潔(不快)極まる所なのだが、何とアメリカ合衆国の大統領ドナルド・トランプ氏が公開の席で使われて、我が国の無知なマスコミが「野外便所」と誤訳したのが記憶に新しい。
「オーマイガー」(=Oh, my God.のことらしい)が近頃テレビで大流行だが、これも好ましくない“swearword”だと知るべきだ。何故にテレビ局はタレントどもに言わせ多用するのかと思う。どうしても言いたければ “Oh my!” 辺りが限度だ。
汚い言葉の例はまだ山ほどあるとは思うが、書いているだけで気が滅入ってくるので、この辺で打ち止めにする。
要注意事項:
その言葉がswearwordかどうかの判断の基準には、先ず“four letter word”がある。これは4文字の言葉を指す。例えば上記の例にも4文字のものが幾つかある。次が動物である。そして最後に宗教関連である。その例は上に掲げたが“brother”もそのうちだろう。
この種の言葉は兎に角、気安く使わないように厳重に注意すべきである。迂闊に使えば上述のように品格の問題になるし、私が常にいう「支配階層」の人たちには相手にされなくなることは保証する。スラングについても時と場合を熟慮して使って欲しい。だが、例を挙げてくれなくてはどれがそうと解らないと言われそうだが、対策を述べておくに止める。
それは、数年前に気が付いたのだが、映画やテレビのドラマに出てくる警官や守衛等の役ではこの言葉が多用されている。私は口語を知ろうと思えば映画を見ると良いと言ってはきたが、英語を学ぼうと思って気安く副音声にしないことだ。私が最も巧みにswearwordを操っていると見た映画は、一寸古い例になるが、“Die hard 2”の空港警備隊のLorenzo隊長だった。この役者は日常生活でもこの言葉だけで暮らしているのかと思うほど巧みだった。
参考までにswearwordとは如何なる言葉かを知って置こうと思うのだったならば、このような映画のDVDかVideoを利用する手段もあると思う。相手が使ったと思えば“What do you mean by saying so?” か “What do you mean by using such an expression like hell of a salesperson?” とでも質問する方法もある。
有り難いことに私がこの話題を数年前に採り上げたところ、未だにアクセスがあると知ったので、もう少し解りやすく述べてみようと思い立った次第だ。こういう学校教育では簡単に教えられないだろう言葉を英語を真剣に学ぼうと思っておられる方々に、より良くご理解願えれば幸せである。
英語の汚い言葉(swearword)とは:
仮令戯れにでも使ってはならない「汚い言葉」なのである:
最初に強調しておきたいことは「この言葉を会話の中で使うことは、取りも直さず自分から『私は知的には下層階級です』と名乗ったのと同じだ」という点である。しかしながら、我が国の学校教育の英語教育では、この言葉とその社会的な評価と認識については教えていないようだ。だからこそ、知らずにアメリカ人の世界の飛び込んでいくと、“hell”だの“fuck”だのという言葉を聞かされて「これは格好が良いな」という類いの誤解をして真似したくなるもののようなのだ。真似てはならないのだ。
しかもその多くは俗語、隠語、符牒の意味である“slang”と混同して、スラングとは汚くて下品な言葉であると思い込んでしまっている場合が極めて多いので困る。そこでスラングの例を挙げておけば“cop”といえば「警察官」のことで“cabby”ならば「タクシーの運転手」で、“rooky”では「新入り、新米」となるので、汚い言葉とは全く異なるのだ。
古くは松本清張のような大作家も「スラング」を“swearword”と混同されていたし、最近では読売新聞社から巨人軍の球団代表を務めていた清武英利氏も週刊文春の連載では混同されていたので、これは芳しくないとあらためて痛感した次第。ここに再度 “swearword” とは」を語って見ようと思うに至ったのだ。念の為に申し上げておくと、この種の「汚い言葉」は我が国で尊敬されている大英帝国のQueen’s Englishにも厳然として存在している。
この言葉を多用する階層の連中の目的は、この言葉を使って自分の言いたいことを強勢するというか強調するので、確かに解りやすくはなるが、その時点で「品格」乃至は「品位」は放棄したことになってしまうのだ。余計なことかも知れないが「強勢」か「強調」に当たる英語は“stress”なのである。例えば“sentence stress”のように使われている。
そこで、先ずは数年前に纏めた「英語の言葉の分類」の中の“swearword”の項目を中心にして“swearword論”を展開していこう。私がswearwordに初めて接したのは1956年の未だ学生の頃に三越の銀座支店でアルバイトをしていた時だった。当時は朝鮮動乱の戦場から東京に休暇で来ている兵士たちにデイナーセット等の洋陶器を売る部署にいたので、それこそ朝から晩まで聞かされていた彼らの品位を欠く英語を聞かされていたのだった。。当初は何故“hell”だの“damn”が多用されるのかが解らなかったが、馴れるに従って何が言いたいのか察しがつくようになった。
Swearwordとは:
「汚い言葉」とするのが一般的なようだが、その解説に入る前に、この言葉についての私の苦い思い出を採り上げておきたい。
1972年8月に生まれて初めてMead Corp.の社員としてアメリカに出張し、帰路はカナダ西海岸のヴァンクーヴァーからとなった。そこで母親と家内に土産でも買うかと、空港の免税店立ち寄った。応対してくれた販売員はかなり高齢の日系の女性だった。これはと思った品物が予算を超過していたので、何気なく“Jesus Christ!” と口走った。
すると、その販売員がキッとなって急に日本語に変わり「貴方は何という言葉を使うのですか。少しくらい英語ができるからと言っていい気になって汚い言葉を使うとは何事ですか。即刻お止めなさい。私は戦争中にここで育ったために日本語も英語も中途半端になってしまったが、それでもswearwordを使ってはいけないくらいは心得ています。これから先は絶対に使わないようにしなさい」と将に声涙ともに下る忠告をされたというよりも叱責されたのだった。私は言葉もなかったほど恥じ入った。
また、ウエアーハウザーでは転出した直後に当時の副社長との打ち合わせ中に迂闊にも使った瞬間に激怒されて「苟も我が社の社員足るものが使うことなどあり得ない。今後私の面前で二度と使うな」と厳しく叱責されたのだった。
私が好んで採り上げる使い方の例に「沢尻エリカの“Oh, shit!”」と呼んできた例がある。彼女は「別に」だったかの一言で評判を落とし、語学留学と称してアメリカに渡った。その留学から帰って来た際に成田空港で記者たちに追い回されて逃げている時にハンドバッグを落としてしまった。そこで出た台詞が“Oh, shit!”だったのだ。アメリかではそういう言葉を多用する連中と交流があり、彼らの言葉を知らずに覚えたのだと解る。
“shit”は使ってはいけないとされているswearwordの代表的な例である。Oxfordはswearwordとは“A rude or offensive word, used especially to express anger.としているが、これでも未だ穏やかな言い方で、寧ろ弱いとすら考えてしまう。Websterは”to swear”を”Use profane or obscene language.”としている。
私は正直に言ってこの種の言葉が何であるかということを知らずに覚えていた。だが、知らないのは恐ろしいもので、一旦覚えると何となく使ってみたい誘惑に駆られるものなので怖いのだ。“swearword”は戦後の占領軍の兵士たちが使っていた為に、我が国でそういう類いの悪い言葉だと誰も知らぬ間に自然に広まったようだと、私は考えている。特に当時は「ゴッダメ」=“God damn it.”がその代表格だったようだと記憶する。英語が何であるか良く知られていなかったあの頃には、何の躊躇いもなくアメリカ人が使う言葉を真似していたのだと思っている。
何故いけないかは上に述べたように明かである。それは私が勤務していたような上場企業の本社組織に属する年俸制の社員ともなれば、公式非公式の場で使うことなど以ての外であり、人前では使うことなどあり得ないのだ。それだけでは具体性がない。これを使うと、言いたいことを強調できるのだが、それが同時に「語彙の貧弱さ」と「無教養」とを表し「お里が知れる」(既に指摘したように知的下層階級であると自称したのと同じ)ことになるのである。
そこで具体的な例を挙げるが、それを見ればslangとは明確に一線を画していると解ると思う。
shit.=「チクショウ」か「何だよ」辺りになるだろうが、下品である。
bull shit=これも「コンチクショウ」であり「この野郎」にもなるだろうか。“horse shit”と言う場合もある。
hell=意味を強めるときに使う。例文を挙げればHe is a hell of a salesman.=「彼は凄腕のセールスマンだ」なのだ。“hell of a driver”と言えば「運転が凄く上手い人」という具合だ。“heckとも言う場合もある。これは“What the heck.”のようになって「なんてこった」という意味になるようだ。
God damn it! これも「コンチクショウ」で、日本語でも余り褒められない表現だ。
Jesus Christ. =「なんてこった」か「コンチクショウ」辺りが訳語だろうか。
fuck→日本語に訳すのも躊躇うような言葉。fuckingとも言う。
ass hole=日本語にも「何とかの穴の小さい奴」という表現があるが、それとは意味が違うものの、汚い言葉の代表格であろう。
Oh, brother! =「何としたことか」とでも言おうか。
shithole=不潔(不快)極まる所なのだが、何とアメリカ合衆国の大統領ドナルド・トランプ氏が公開の席で使われて、我が国の無知なマスコミが「野外便所」と誤訳したのが記憶に新しい。
「オーマイガー」(=Oh, my God.のことらしい)が近頃テレビで大流行だが、これも好ましくない“swearword”だと知るべきだ。何故にテレビ局はタレントどもに言わせ多用するのかと思う。どうしても言いたければ “Oh my!” 辺りが限度だ。
汚い言葉の例はまだ山ほどあるとは思うが、書いているだけで気が滅入ってくるので、この辺で打ち止めにする。
要注意事項:
その言葉がswearwordかどうかの判断の基準には、先ず“four letter word”がある。これは4文字の言葉を指す。例えば上記の例にも4文字のものが幾つかある。次が動物である。そして最後に宗教関連である。その例は上に掲げたが“brother”もそのうちだろう。
この種の言葉は兎に角、気安く使わないように厳重に注意すべきである。迂闊に使えば上述のように品格の問題になるし、私が常にいう「支配階層」の人たちには相手にされなくなることは保証する。スラングについても時と場合を熟慮して使って欲しい。だが、例を挙げてくれなくてはどれがそうと解らないと言われそうだが、対策を述べておくに止める。
それは、数年前に気が付いたのだが、映画やテレビのドラマに出てくる警官や守衛等の役ではこの言葉が多用されている。私は口語を知ろうと思えば映画を見ると良いと言ってはきたが、英語を学ぼうと思って気安く副音声にしないことだ。私が最も巧みにswearwordを操っていると見た映画は、一寸古い例になるが、“Die hard 2”の空港警備隊のLorenzo隊長だった。この役者は日常生活でもこの言葉だけで暮らしているのかと思うほど巧みだった。
参考までにswearwordとは如何なる言葉かを知って置こうと思うのだったならば、このような映画のDVDかVideoを利用する手段もあると思う。相手が使ったと思えば“What do you mean by saying so?” か “What do you mean by using such an expression like hell of a salesperson?” とでも質問する方法もある。