1010 Radio

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危機的状況を迎えたヨーロッパ向けのガス供給

2009-01-10 | ラジオ
ヨーロッパ諸国はウクライナ政府による卑劣な脅しの犠牲となっている。
ウクライナはロシア産ガスをヨーロッパ諸国に運ぶ、4本の戦略的ガスパ
イプラインのうち、最後の1本の稼動を停止した。
セルビア、クロアチア、ボスニア、マケドニアに対するロシア産のガスの
供給は完全にストップした。
またハンガリー、ギリシャ、ブルガリア、フランス、イタリア、オーストリア、
ポーランド等の国でもガスの供給量が大幅に削減されている。
そして7日以降ロシア産ガスのヨーロッパへの供給は、ベラルーシとトル
コを経由したルートによってのみ実現されている。

こうした状況の下ロシアのガス企業ガスプロム指導部が、この対応に迫ら
れている。
ガスプロム社長は6日夜、プーチン首相と会談を実施したなかで、ウクラ
イナが中ヨーロッパと西ヨーロッパの消費国へのガス供給を停止するので
あれば、ウクライナに向けてガスを輸送する意味が無いと述べた。
しかしこれはガスの通過に関する契約違反であり、またウクライナが批准
したエネルギー憲章にも違反するものだ。

このガス問題を解決するために国家間の高いレベルで、様々な方策が講
じられている。
7日夜、メドヴェージェフ大統領はウクライナのユシチェンコ大統領と電話会
談を実施し、ロシアのガスのヨーロッパ供給を早期再開するため緊急措置
を講じるよう求めた。
さらにメドヴェージェフ大統領はガスプロムと、ウクライナのナフトガス社との
間で、あらゆる特恵条件を取り除き、ヨーロッパと同様の価格で新たな契約
を締結すること、そして全ての当事者の参加の下でガス輸送の監視システ
ムを構築することを提案している。
そして8日ブリュッセルでは、この問題をめぐる話し合いが行われている。

一方こうしたなか7日、プーチン首相はガスパイプライン・ノースストリーム敷
設プロジェクトのオペレーター会社社長と会談し、そのなかで今回の事件は
ヨーロッパ諸国にガスを供給するための、別のルートを造り上げることが必要
だということを、改めて証明するものとなったと指摘した。
プーチン首相はさらに次の様に語っている。
「現在の状況はバルト海を通ってドイツに至る、ガスパイプライン・ノースストリ
ームの敷設計画が重要であることを再確認するものであり、ヨーロッパの消費
国はこのプロジェクトが必要なものであると認め、これが出来るだけ早く実現さ
れるべきだということを確信している」
プーチン首相はこの様に述べている。

一方ポーランドのミレル元首相もプーチン首相に対し、ヨーロッパはバルト海を
経由するルートを開設する必要性を改めて認識したと伝え、EUはウクライナの
政権争いの犠牲となってはならないとの考えを明らかにした。

一方一部の観測筋は、一見理解に苦しむ現在のウクライナの行動は、まもなく
任期を終えようとしている、アメリカのブッシュ大統領のヨーロッパへの最後の
贈り物だと指摘している。

ガスプロム―ロシア資源外交の背景
(ユーラシア・ブックレット)


酒井 明司
東洋書店


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1月8日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル