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ロシアのイメージの起源を探るウラジミル・メンジースキー

2010-04-03 | ラジオ
「ロシアは理性では理解できない」これは19世紀のロシアの詩人フョードル・チュッチェフの有名な言葉だ。
しかしロシアの歴史家や哲学者、ジャーナリストや作家達はロシアの過去と現在を考察し 未来を予想しようと試みている。

3月15日に幕を閉じた第13回書籍見本市ロシアの本では、ロシアに付いての多くの書籍が紹介された。
そんな作品の一つが政治学者でジャーナリストの、ウラジミル・メンジースキー氏の「ロシアに付いての神話」というシリーズものの書籍だ。

ロシア・ロシア人の様々な特長に付いて考察するこのシリーズ本は、すでに売り上げランキングで上位に入り、大きな論争を呼んでいる。
作者のメンジースキー氏は、この本の中で否定的なロシア人の神話の謎解きに挑んでいる。
メンジースキー氏は、これまで作り上げられてきた安易で族っぽいロシアのイメージと言うものに付いては、かなり以前から外国でもそしてロシアの中でも、歴史的分析を詳細に行う必要があったと指摘し、払拭しがたいステレオタイプは未来の発展に脅威を齎すものだと語っている。

この様なロシアに対するイメージは、一体どのようにして生まれたのだろうか。
メンジースキー氏は次のように語っている。
「意識的に作られたものもあれば、自然に生まれたものもある。
例えばロシアは恐ろしい、という基本的なイメージ、これはアングロサクソンジンの考え方で、政治家や軍、政権にとって非常に有益で、かつ膨大な経済的利益を齎す。
一方、自然に生まれるイメージというものに付いては、残念ながら私たち自身もそれを信じている部分があるのだ」
メンジースキー氏は、この様に話している。

その他メンジースキー氏の本の中で、ロシア人の特徴としてテーマに挙がっているのは、理解出来ない精神性、忍耐強さ、怠惰、惨酷さ、そして民主問題などだ。
これに付いてメンジースキー氏は次のように語っている。
「歴史的にロシア人が大酒のみだったというのは間違いだ。
100年前ロシアはアルコールの摂取量が少ない国の2位にランキングされていたのだ。
しかし19世紀末、共同体が崩壊し農民達が都会で暮らすようになり、娯楽も無く仕事も辛かったことから酒を呑むようになり、その割合はゆっくりながらも次第に多くなっていったのだ。
そして1990年代のペレストロイカの時代には記録的な量になった」
メンジースキー氏は、この様に話している。

一方メンジースキー氏はロシア人に、自分を卑下する傾向があることは、歴史家のニコライ・カラムジンがすでに19世紀に指摘していると述べ、ロシア人が自分達を尊敬するようになるためには、歴史を正しく評価する必要があるとの確信を示している。
メンジースキー氏はこの本は何よりも、ロシアの歴史は世界一惨酷で血に塗れ、またロシア人は毎朝歯を磨かず(?)からウオッカを呑んでいると、未だに信じている外国人のために書かれているように、思われているかも知れないが実際には、私達ロシア人のため歴史の真実を見分けるために必要なのだと語っている。

(?)は聴き取れない

ロシア人しか知らない本当のロシア
(日経プレミアシリーズ)


井本 沙織
日本経済新聞出版社


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3月16日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル