アメリカの対シリア攻撃は、地域全体に核のカタストロフィーを引き起こしかねない。ダマスカスの攻撃の際に、市と近郊にある核施設が損壊する恐れがあるからだ。核施設自体が攻撃されなかったとしても、政府軍が敗北した場合、急進派が放射性物質を強奪する危険性もある。
ダマスカス近郊には、中国の建設した小型の原子炉が存在する。原子炉で使用されているウランは、核兵器製造に使用できる質のウランアルミニウム燃料で、中国の供給者は当時、原子炉の燃料用にシリアにと、こうしたウランを約1キロ分引き渡していた。
ロシア外務省のルカシェヴィチ公式報道官は、こうした理由でこの施設がダメージを受けた場合、正真正銘のカタストロフィーになるとして、次のように語っている。
「ダマスカス近郊の小型原子炉はニュートロンが保存されており、これに弾薬が故意に、または偶然にでも落ちた場合、その結果は誇張なしにカタストロフィー的なものとなる。この領域に隣接する場所は高濃度のウランに汚染されてしまうだろう。また事実上、被害の算出も、そしてコントロールも保障できず、施設内に残る核物質の保存もできなくなるに違いない」
公式報道官の発言だ。
さらにもう一つ危険なのはシリア攻撃の後、政府軍が核施設を管理できない状態になりかねないことだ。この場合、放射性物質は急進派らの手に渡ることだろう。急進派らは、こうした者から完全な核爆弾を作ることはできないだろうが、それでもそれから引き起こされる危険性は甚大なものになりかねない。
専門家のイーゴリ・ホフロフ氏はこうした危惧の念を示し、次のように語っている。
「シリアのこの原子炉は核爆弾製造のための技術を有していない。ですがこれを持ち入り汚い爆弾を作ることは可能だ。そして最も大事なのは、そう なった場合、この核物質は完全にコントロールを失うという点だろう。
はっきり言ってしまえば、ヨーロッパでも急進派との状況は非常に緊張していることを考えれば、この汚い爆弾はヨーロッパ人に対して使われる危 険性もあるのだ。ヨーロッパにはフランスなど、シリア攻撃に積極的な支持を示している国もあるが、そうした国も範疇に入りうるということだ」
専門家の発言だ。
核の直接的な危険性のほかに、シリア攻撃がもたらす間接的な危険もある。このキャンペーンはイランにとって、核兵器製造を開始する論拠を、えー根拠を十分に与えることになる。
この点から見ると、核を保有していなかったフセイン体制もカダフィー政権も北朝鮮の金体制と比べると、まだかわいいものだ。なぜ誰も北朝鮮を攻撃しようとはしないかといえば、それはみんなが、この国が原始的な核爆弾を有していることを知っているからだ。
アサド政権がアメリカによって転覆された場合、イランもついで強制的に民主化されることは間違いない。これを避けるためイランは核武装をしようとするだろう。もしこうした事態が起きた場合、ほかの限界の状態にある国も追従するだろうと予想される。こうなれば核の不拡散体制のことなど、みんな忘れ去ってしまうことだろう。
9月6日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル
ダマスカス近郊には、中国の建設した小型の原子炉が存在する。原子炉で使用されているウランは、核兵器製造に使用できる質のウランアルミニウム燃料で、中国の供給者は当時、原子炉の燃料用にシリアにと、こうしたウランを約1キロ分引き渡していた。
ロシア外務省のルカシェヴィチ公式報道官は、こうした理由でこの施設がダメージを受けた場合、正真正銘のカタストロフィーになるとして、次のように語っている。
「ダマスカス近郊の小型原子炉はニュートロンが保存されており、これに弾薬が故意に、または偶然にでも落ちた場合、その結果は誇張なしにカタストロフィー的なものとなる。この領域に隣接する場所は高濃度のウランに汚染されてしまうだろう。また事実上、被害の算出も、そしてコントロールも保障できず、施設内に残る核物質の保存もできなくなるに違いない」
公式報道官の発言だ。
さらにもう一つ危険なのはシリア攻撃の後、政府軍が核施設を管理できない状態になりかねないことだ。この場合、放射性物質は急進派らの手に渡ることだろう。急進派らは、こうした者から完全な核爆弾を作ることはできないだろうが、それでもそれから引き起こされる危険性は甚大なものになりかねない。
専門家のイーゴリ・ホフロフ氏はこうした危惧の念を示し、次のように語っている。
「シリアのこの原子炉は核爆弾製造のための技術を有していない。ですがこれを持ち入り汚い爆弾を作ることは可能だ。そして最も大事なのは、そう なった場合、この核物質は完全にコントロールを失うという点だろう。
はっきり言ってしまえば、ヨーロッパでも急進派との状況は非常に緊張していることを考えれば、この汚い爆弾はヨーロッパ人に対して使われる危 険性もあるのだ。ヨーロッパにはフランスなど、シリア攻撃に積極的な支持を示している国もあるが、そうした国も範疇に入りうるということだ」
専門家の発言だ。
核の直接的な危険性のほかに、シリア攻撃がもたらす間接的な危険もある。このキャンペーンはイランにとって、核兵器製造を開始する論拠を、えー根拠を十分に与えることになる。
この点から見ると、核を保有していなかったフセイン体制もカダフィー政権も北朝鮮の金体制と比べると、まだかわいいものだ。なぜ誰も北朝鮮を攻撃しようとはしないかといえば、それはみんなが、この国が原始的な核爆弾を有していることを知っているからだ。
アサド政権がアメリカによって転覆された場合、イランもついで強制的に民主化されることは間違いない。これを避けるためイランは核武装をしようとするだろう。もしこうした事態が起きた場合、ほかの限界の状態にある国も追従するだろうと予想される。こうなれば核の不拡散体制のことなど、みんな忘れ去ってしまうことだろう。
シリア アサド政権の40年史 (平凡社新書) | |
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9月6日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル