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モンゴル、拉致問題で日本を支援、日本にとって必要なのか

2013-09-20 | ラジオ
モンゴルのノロフ・アルタンフヤグ首相が先週末に東京を訪問したことは、多くの点で成功だったといえる。日本とモンゴルの協力関係発展について多くの合意が見られた。ただそのうちの一つは、日本とモンゴル双方にとってネガティブな結果を将来するのみならず、北東アジア全体にマイナスとなる恐れがある。
これは日本の拉致問題について、モンゴルとの間で定期会合を行うというものだ。日本とモンゴルのほか、この会合にはアメリカが参加する。

モスクワ国立国際関係大学・国際研究所のアンドレイ・イワノフ主任学術研究員は、拉致問題について日本政府が北朝鮮への圧力を増やそうとしていることは、人間的に理解できることだと指摘している。
「1970年代から1980年代にかけて、北朝鮮工作員が日本国民を拉致しようとしたことは、その家族や親族にとっては大きな悲劇だ。
長い間、北朝鮮はその犯行を認めず、日本政府が13人と主張する被害者らの返還要求に応じてきませんでした。しかし2002年9月、当時の小泉純一郎首相が北朝鮮を電撃訪問した際、北朝鮮の当時の指導者であった、金正日は自らの遺憾の意を表明し、拉致被害者らの引渡しを約束した。
これは日本側からの、多額の経済援助の申し出があったからこそ実現したものですが、それでも大きな外交的勝利と評価された。その後、拉致被害者5人が日本に帰国した。日朝関係が新しい幸福な時代を迎えたかに思えた。ただ北朝鮮が他の拉致被害者は死亡しており、引渡しは不可能としたことによって、新たな問題となってしまった」
イワノフ氏のコメントだ。

日本はその主張を受け入れなかった。日本の政治家やマスメディア関係者らは、北朝鮮が嘘をついていると非難した。北朝鮮が引渡しを拒否したのは、拉致被害者らが死亡したからではなく、日本に送り込まれた工作員の身柄を暴露する恐れがあるからだというのだ。
国民からの関心が非常に高まったため、政治家も冷静な判断ができず、この問題の虜となってしまった。日本政府のこの要求は、北京での6カ国協議を決裂の瀬戸際に追い込んだわけだが、日本は各国に対して、この問題での支持を求めている。今回はそれにモンゴルが応じたわけだ。

イワノフ氏は、モンゴルが北朝鮮と外交関係を持つのみならず、経済協力も発展させていると指摘している。
「モンゴルにとっては当然、日本との経済協力が必要ですから、日本からの要求を退けるわけにはいかなかったのです。ただ日本に実質的な支援を行うことも不可能でしょう。モンゴルには北朝鮮に圧力をかける手段がないばかりか、下手にこの問題を持ち出せば、北朝鮮との関係に深刻なダメージを与えてしまうことになる」
イワノフ氏のコメントだ。

日本政府を満足させるような解決策は存在しない。もしかすると北朝鮮が主張するように、他の拉致被害者は死亡しているのかもしれない。
さらにもしも日本の諜報機関、もしくはアメリカの諜報機関に正確な情報があるのあれば、第三国を経由するのではなく直接働きかけるべきだ。
今年5月、安倍首相は金正恩氏と会談する用意があると声明を表している。これは日朝関係のみならず、地域情勢全体にとって利益をもたらすことになるだろう。
ただ再び日本の政治家やマスメディアが、頑ななキャンペーンをはるのであれば、北朝鮮は今後、日本との対話を一切拒否することにもなりかねない。それは北朝鮮よりも日本にとって、さらには北東アジア情勢にとって、複雑な状況を生み出すこととなるだろう。

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光文社

9月16日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル