Fish On The Boat

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『縄文のくらしを掘る』

2009-11-18 20:03:09 | 読書。
読書。
『縄文のくらしを掘る』 阿部芳郎
を読んだ。

人類の、遺物がのこる段階での、ある意味、有史の初期の時代について
知りたいと思い、読んでみました。岩波ジュニア新書です。
石器時代を経て、土器を使うようになった祖先の暮らしぶりが
どう変わったかということを知るには良い本です。
まだ農耕はしていないけれど、狩猟、採集、漁撈を行い、
煮炊きなどをしはじめ、竪穴住居などを作って、一定の期間
定住するようになった人類の様子を著者が探ります。
とはいえ、タイトルにもあるように、考古学者としての著者が、
どう遺跡を発掘するかとか、土器を復元してどう使われたかを
研究したりと、6段階にわけられる縄文の歴史を、だいたいの西暦を
もちいて解説する本ではありません。
そういう解説書も読んでみたかったけど、それはいつか、機をあらためて、
そういった本にめぐりあったら読んでみます。

この本を読んだことをきっかけにして、中学の日本史の教科書を
開いてみました。唯一とってある教科書なんですよね。
ほかの教科書は捨ててしまったかなんかして、もう手元にありません。
この歳になって、惜しいことをしたなぁと残念な気持ちになります。
それで教科書を読んでみたらなかなか面白い読み物なんですよねぇ。
そのうち、この教科書を読書してみることもあるかもしれません。

話はもどって、この本ですが、貝塚の形成や土器の出土状況などから
縄文人の生活のありさまを想像したりしています。
その考え方が、縄文人と現代人はなんらかわるところなく、
ただ、科学的な知識などがなかっただけで、逆に自然に対する知識は
現代人よりも深かったというような観点で語られています。
どこにどんな貝が住んでいるかとか、どこでドングリだとかを
収集できるかとか、そういった知識はふんだんに持っているわけです。

縄文時代を迎えるにあたって、そのころの地球の温暖化が
大きな意味を持っているという点を見逃すことができないところでした。
気候の変動によって、現代にいたる発展の歴史の基盤が築かれたというわけで、
やっぱり、厳しい寒さの時代では、人間は発展できないんだなぁと
感じさせられました。そのうちまた氷河期が訪れるのかもしれませんが、
そうなったとき、進歩した人類はどう生活していくのか興味がわきます。
農耕が難しくなるだろうから、人口は激減するんだろうなぁ。
想像するだけでイヤな気持ちになりますね。
というか、それ以前に、今の人類は地球温暖化の問題に直面しているわけだから、
そんな氷河期うんぬんなんて考えている場合ではないのかもしれない。
縄文時代に現代の温暖化へ対処するヒントは隠されているのでしょうか。
人口に対して、自然の恵みがあふれていた時代ですからね、
今や、いろいろな消費を抑えようとしていますから、まったくヒントは
ないのかもしれない。ただ、キリスト教も仏教もイスラム教もない
時代に生きていた人類のあかしっていうものを知ることは、
むちゃな地球創世記みたいなものに毒されないためには必要なのかな。

古来の人間をしることは、人間の本質を知るうえで大切なのかもしれない。
考古学はそういった役の立ち方をするのかなぁなどと思いました。
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