Fish On The Boat

書評中心のブログです。記事、それはまるで、釣り上げた魚たち ------Fish On The Boat。

『かないくん』

2014-03-15 19:07:28 | 読書。
読書。
『かないくん』 谷川俊太郎:作  松本大洋:絵
を読んだ。

言葉のほうが先に出来上がって、
それから絵が描かれたそうですが、
言葉と絵の双方、
威張ることなく媚びることなく、
尖ることなくダレルことなく、
初めから一つのものであったかのように、
そこにありました。

この絵本の中で発せられた言葉には、
温度があるかのよう。
吐く息や、声の響きの輪郭が、文字になったかのよう。
そんな言葉が語っていく。

この絵本の絵は、そういった言葉に、
張り合うでもなく、よいしょするでもなく、
引き立て役を引き受けたわけでもなく、
しっかり、言葉の柔らかさとシンクロして
情景をあらわしている。
それは、一緒にダンスを踊るようでもあり、
餅をつきあうようでもある。

言葉というのが縦の糸で、
絵が横の糸で、
丁寧に織られてできた素敵な織物のように、
大事にしたくなる、そんな絵本です。

「死ぬとどうなるの?」
と帯に書かれていますが、
読むとそのテーマからまず感じるものがあるでしょう。
そして、感じるものが薄っぺらじゃなくて、
「うまくいえないけれどもしっかりある」ことがわかるのではないか。

昨今、迅速主義が流行り、
すぐに答えを言え、意見を言え、考えを述べよ、
と迫られることが多くなりました。
もしも、すぐに言えなければ、意見がない、考えがないとみなされてしまう。
でも、感じたことが醸成して言葉になるまでには時間がかかるものです。
早急に言葉にしてしまったら、失われるものがあって、
それが実はとても尊いものだったりする。
だから、この絵本を読んだ人は、
すぐに答えを出そうしなくていいんだと思います。
しっかり感じていれば、ある日、あっ、という感じで言葉になって
でてきたりします。
それをお楽しみにするといいんじゃないかな。

好い絵本、素敵な絵本、すごい絵本。
まるで、無機質じゃない、生きている絵本でした。
「死」っていうものも、無機質じゃないのかもしれない、
そう思えてしまいました。

この絵本の中で発せられた言葉には、温度があるかのよう。吐く息や、声の響きの輪郭が、文字になったかのよう。そんな言葉が語っていく。この絵本の絵は、そういった言葉に、張り合うでもなく、よいしょするでもなく、引き立て役を引き受けたわけでもなく、しっかり、言葉の柔らかさとシンクロして情景をあらわしている。それは、一緒にダンスを踊るようでもあり、餅をつきあうようでもある。「死ぬとどうなるの?」と帯に書かれていますが、読むとそのテーマからまず感じるものがあるでしょう。そして、感じるものが薄っぺらじゃなくて、「うまくいえないけれどもしっかりある」ことがわかるのではないか。昨今、迅速主義が流行り、すぐに答えを言え、意見を言え、考えを述べよ、と迫られることが多くなりました。もしも、すぐに言えなければ、意見がない、考えがないとみなされてしまう。でも、感じたことが醸成して言葉になるまでには時間がかかるものです。早急に言葉にしてしまったら、失われるものがあって、それが実はとても尊いものだったりする。だから、この絵本を読んだ人は、すぐに答えを出そうしなくていいんだと思います。しっかり感じていれば、ある日、あっ、という感じで言葉になってでてきたりします。それをお楽しみにするといいんじゃないかな。好い絵本、素敵な絵本、すごい絵本。まるで、無機質じゃない、生きている絵本でした。「死」っていうものも、無機質じゃないのかもしれない、そう思えてしまいました。
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