Fish On The Boat

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『子どものための哲学対話』

2014-08-02 21:39:22 | 読書。
読書。
『子どものための哲学対話』 永井均 絵:内田かずひろ
を読んだ。

中学二年生の男の子とペネトレという名前の猫の哲学対話です。
空想を用いた思考実験を平易な言葉で伝えるもののようでもあります。

なかなか面白いトピックを2ページだとか3ページだとかで語り合い、
答えを出していく形式。
この、猫のペネトレがやっかい者で、ときに難癖のように、
常識から外れたことを平然とのたまったりしますが、
それが、この本の醍醐味であり、大体、常識ってなんだろう、
そんなものは正しいのかどうか、みたいな問答の連続なのです。

まず、「人間とは何のために生きているのか」という
問いから始まります。
宗教的ではなくて、哲学的な答えがさらりと述べられ、
それは「遊ぶため」だという。
遊ぶっていったって、ひまつぶしだとかぶらぶらするとか、
そういう意味ではないんですよね。
自分のしたいことをして、それに夢中になることが遊ぶということだそうです。
そして、その後はよくわからない、言葉自体は簡単なのにその論理がつかめない
言葉でけむに巻かれるようにその章は終わっていきます。

そういう、とっかかりまで作者が連れていってくれて、
あとは自分で考えましょう、というようなのが多かったような気がします。
与えてくれる知識もあるんだけれども、それよりか、
考えるようになるための導火線に火をつけられる感じがします。
これ、子どものための、って銘打たれていますけれど、
まじめな子どもだったら、勉強そっちのけで考えてしまって、
成績が落ちかねません。そこらへん、利口さも兼ね備える気持ちで、
本書を読む若い子にはいてほしいですね。

僕としては、「青い鳥」の話と、「社会契約」の話がなかでもよかったかなぁ。
とくに「青い鳥」は僕の第二作目の小説のネタとして小さくながらも扱ったような
感じもしていたりします(幸せを求めていなくなる女の子の名前がミチルでしたし)。

あと、上品と下品という概念が紹介されていましたが、
僕としてはもうなんでもいいやみたいな感じで読んでしまいました。
最終章によると、

__________

こういうはなしは、どれも、たまたまある場所に立った人にだけ、
意味を持つんだ。別の場所に立っている人には、無意味で、
ただ、ごちゃごちゃしているだけなんだ。
__________

ということだそうで、
つまり、僕が読んでいてすごくごちゃごちゃしているなと思った部分はけっこう
ありましたが、それを違う人が読むと、全く違う印象を持ちうるということですね。
人によっては、そのトピックに触れるのが、はやいとかおそいとかもあると
書いてありましたし、たまたまその分野のその問いの周辺を考えていた人には、
響くものだということだそうです。

最後、解説とあとがきは、大人の僕が読んでも、
ごちゃごちゃしていてわかりませんでした。
まぁ、室内の暑さのせいで頭を使いたくなかったのもあるかもしれませんが、
それはそれとしても、僕もまだまだ頭がかたいということなんですかね。
精進します。



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