Fish On The Boat

書評中心のブログです。記事、それはまるで、釣り上げた魚たち ------Fish On The Boat。

『夏への扉』

2020-08-16 00:02:14 | 読書。
読書。
『夏への扉』 ロバート・A・ハインライン 福島正実 訳
を読んだ。

名作としてよく紹介されているSFの古典です。
1950年代に書かれた、1970年が舞台のお話。

技術者で、自分の会社も立ちあげたダンと愛猫のピート。
彼らはあるきっかけで、この小説世界では出はじめの技術となっている
冷凍睡眠に申し込みをして、
近未来に復活する手はずを整える。
しかし、酒飲みのダンが冷凍睡眠のために酒を飲むなと医者に警告され、
そのために正気に戻ったことで、
ダンの歩く運命の道は、
ジェットコースターのように跳ね返った道へと変貌していく……。

評価の高い作品ですし、安心して読めます。
後半の200ページほどは一気読みしたのですが、
どんどん読む目のスピードがあがっていって、
そのせいか、回りくどいなあとさらさら読んだ箇所もあったのですが、
ふつうに、「味わう読み方」をするなら、
回りくどく感じもせず、気になるものでもないのだろうなぁと思いました。

理工系の知識があってこその文章、
現代物理学について調べていないと書けないような箇所、
会社経営や株主などの実際面についての知識がなければ書きすすめられない部分、
そういった面はあって、
作家の知識量は当時20代で書いているのでなかなかのものなのですが、
読み手にまったくその手の知識がなければ四苦八苦するでしょう。
でも、ちょっとでもその手の記事や本を目にしたことがあるならば、
物語をしっかり受け止めることができるレベルだと思います。

僕としては、ヒロインの扱いがちょっと簡単すぎるように思えました。
キャラクターの厚みがないし、
ヒロインとして掲げられているだけで、
もっといえば、都合よく使われていやしないかな、とまで思ってしまいました。

まあでも、エンターテインメントでした。
しっかりドタバタを楽しめて、
収まるところに収まったな、という終わり方をします。
今度、日本版としてドラマ化されるんじゃなかったでしたっけ。
原作を昇華して、よりおもしろく仕上がっているといいですね。


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