★Massy’s Opinion
さて、僕がブログを書き始めて、もう15年になる。早いもんだし、色々なお友達が出来て、思わぬ世界が広がり、驚いている、と同時に大学の先生方とのお付き合いが増えて、今までの自動車販売の世界から違った見方や疑問も生まれてきた。僕のブログを始めた動機は、古くは1957年東京日産に入った時、1965年位から痛切にデイーラーの損益を考え始めた時の頃から始まっている。なぜならば、メーカーの褒賞金に経営が依存するようになってからだ。会社の同窓、同級の友人が「American Dealer」と言う本をどこからか手に入れてきて自分が読んだ後、僕に呉れた。今でも2階の書架に入っている。その本の中に、「デイーラーは新車の販売に頼っていてはダメ、部品、修理、中古車で固定費の70%を賄うべきだ」「それでなくては、安定した経営は出来ない」と書いてあった。新車は当たり外れがあるし、それに依存すると不安定経営になると言うことである。僕の親父が部品商や、修理工場を遣っていたので割合とこれらのことが理解できた。当時は第二次大戦後、メーカーも今の様に大規模でなく、車は輸入車か駐留外国人が帰国する時に置いていく車が、車を欲しがる人に対する供給源であった。親父は「よく修理屋は床屋と一緒だ」「一度にお客さんが来ると待ってもらわなければならない。どうしても波ができる波がなければ儲かるのに...」
とよく言っていた。当時のメーカーは、大量生産による原価低減とシェアーの拡大にマッシグラな時代だった。その中で、中古車、リースを経営の安定の柱にするべきだ。色んな新しい方式を考えたり、顧客管理を「お客様の簿価で管理する方法」を考えて実践して来たのだ。そして、その行きつく先が中古車の流通の奥の深さと発展途上国に対する輸出であった。そこで、又、行き当たったのが、「通行区分の世界統一」であり、さりとてすぐ出来るものではない、そこで、「2070年を目標に...」のサブタイトルをつけたのである。
ブログにアップしたのは、‘05年かな?それを見て技術系のジャーナリストで高斎さんという先生が「増田さんの言っていることと同じことを、熊本大学の外川と言う先生が朝日に書いているよ...」と教えてくれた。さっそく読んで、外川先生にブログを読んでくれとメールを入れたら「一度お会いしたい」と言うことになり我が家へ来られることになり、
北海学園大学の浅妻先生と来宅されたのである。それ以来、大学の先生とは色んな方とお会いしたり、先生という職種の在り方も知るようになった。一方、京都大学の塩地先生は、「自販連」の紹介で確か講師の時代に初めてお会いしている。それで、先生が教授になられた今日、京都大学大学院東アジア研究センターと言う組織を作られ、外部研究員制度が出来たのである。自動車流通に、問題が起こる都度、学識経験ある先生にお付き合い頂いている。加藤寛先生、下田先生、田川先生等であるが、塩地先生は今や次のテーマとして「島嶋国の廃棄自動車の産廃問題」を取り上げられている。僕は、「通行区分問題」では、随分、パブリックコメントを当該官庁に出したり、議員先生方にもお見せしたりしたが、「自動車に関する法律」は関係する処が多く皆さんよく理解していない。それでも、最近これらに関する図書が数冊発行されている。「自動運転問題」がマスコミで大きく取り上げられているが書いている記者が本当の処、良く解っていない。この10数年こんな先生方とのお付き合いをしていて解ったことは一つの本を纏め上げるのには「猛烈に時間が掛かる」と言うことである。
嬉しいことに最近僕の意見に近づきそうな本も多く出ているようになった。ちょっと発行日順に紹介しよう。
・2014・11・28 「左ハンドル国産車が日本を救う」小森正智・小森正隆
プレジデント社 タイトル的には全く僕の考え方と一緒、ただ中身的にはおそらく実務経験もない人が書いている物だろう。
・2016・5・10 「自動車委託生産開発のマネジメント」塩地洋 中山健一郎他
中央経済社 編集者以外に6人の先生方が書かれているがこれまで日本(他の国も同じ)の自動車産業が合併の繰り返し発達してきた過程の中ではこの分野で幾多の教訓を得て居る筈で興味深い。
・2017・6・8 「資源政策と環境政策」日本の自動車リサイクルを事例に 外川健一
原書房 外川先生の長年にわたる研究の集大成
・2017・6・18「自動車リユースとグローバル市場」中古車・中古部品の国際流通
浅妻・福田・外川・岡本共著 成山堂書店 いつもお目にかかる先生方の共著。膨大な調査研究による詳細なレポートである。特に「レモンの市場」と言われる中古車流通についてはディーラーの専門部署の人にも教材になる。
・2018・1・20 「自動運転と法」藤田友敬 有斐閣
昨今の自動運転についての報道は現行の日本の自動車を取り巻く法制についてあまりよく知らない人が書いていると思う。又,それくらい解りにくい。「通行区分の世界統一」も突きつめていくと日本の現行の自動車を取り巻く法律の無理解によるものが多い。完成検査問題も恐らくトップの人は「法の精神」をご存じなかったろう。理想的には、自動車の関連法律は世界統一されるべきだと思う。自動運転を研究している先生方とお話をしても痛切に感じる。今回このらの様なタイトルの本が発刊されたのは本当に嬉しい。