TakaPの数学日記

数学を教えていて感じたことや日常の感想などを記録しました。

数学について

2006年09月01日 20時05分07秒 | 数学
 今野さんから「素数に関する式」
について、こんなコメントをいただいた。

>数学者は本当に「クソの役にもたたない」ことを考えているんですね。ちょっと見直してしまいます。やっぱり「物理学者」や「化学者」とはちがいますね。

 実は、私もそう思っていた。大学の工学部を目指していた私は2年浪人の末、工学部を落ちまくってやっとこさっとこ数学科に落ち着いたのだった。数学さえやっておけば、起死回生で工学への道も開けるかと思った。ところが、実際に数学を学んでみるととんでもなかった。
 微積分などは応用がきくし、高校の延長だったので楽しかった。重積分や微分方程式、偏微分なども習ってみると楽しい。数列や関数の収束がε(エプシロン)δ(デルタ)で語られることも面白かった。きっと工学への道も開けるのだと思った。
 ところがである。数学で別の分野があった。それが集合、写像、位相などであった。また線形数学、行列、行列式、ベクトル空間などにはまいった。抽象的すぎた。この分野は2年目にしてやっと単位が取れたほどである。それでも「分かる」ということはすばらしいことである。次第次第に数学にひかれていった。

 昔話はそのくらいにしておく。私はいわゆる「整数論」や素数に関するこの分野の話は好きではなかった。単なる「数遊びの延長」だと思ったからだ。
 双子素数、友愛数、完全数などの話も、役に立たないものだという感想を持っていた。
「博士の愛した数式」という小説の取材で、著者(小川洋子氏)が数学者(藤原正彦氏)と対談をしたことは以前にブログで書いた。

 ところが実は「クソの役にもたたない」ことがとんでもないところで実用性を持つことがあるのだ。役に立つ数学ばかりを追究しても結局は役に立たないで終わってしまうこともある。数学の発想の自由なところに、新たな飛躍の根源があると言っていいと思う。
 確率なんて、はじめは賭け事の得意な数学者カルダノが考えたものだった。ところが今では保険会社の利益を計算することに使われている。物理学では量子力学に応用されている。確率微分方程式というものは「相場」に使われている。
 リーマン幾何学というものがあった。ガウスの曲面論を発展させたものである。これはやがて一般相対性理論に応用され、「宇宙論」「ブラックホール」などの研究に使われている。リーマンがそんな応用があるなんて知るよしもなかったはずである。
 線形数学を発展させたものに線形計画法というのがある。これは今では企業での利益計算に応用されている。ある航空会社では最大利益をあげるための方程式を作り、それにしたがってダイヤ、整備、人的配置を計算し決定するということを聞いたことがある。そのときの変数は2000以上。計算はもちろんコンピューターで計算するとのことである。
 連立方程式。何のことはないたいした応用はなさそうだ。ところが医学の分野でコンピューターによるCTなど画像解析に使われている。
 こうしたことが実現する背景は数学の自由な発想にある。何の役にも立たないが自由な発想で考えることが大事なのだと思う。
 双子素数、友愛数、完全数など数の遊びに過ぎないが、そういうことを発想することこそが数学の数学たるところだと思う。
 
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素数に関する式2

2006年09月01日 18時47分53秒 | 数学


これが答です。

1から素数の逆数をひいた数の逆数の積が、自然数の逆数の和になります。
どうしてこうなるのでしょうか。
自然数の逆数のs乗の和を変数sのゼータ関数というそうです。
ちなみに,自然数の逆数の2乗の和は収束し,円周率の2乗の6分の1であることが知られています。
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