「もとより、いわゆる自然現象に属する意味および言語は大なる普遍性をもっている。しかもなお、その普遍性たるや決して絶対的のものではない。例えばフランス語の cielとか boisとかいう語を英語の sky, wood、ドイツ語の Himmel, Waldと比較する場合に、その意味内容は必ずしも全然同一のものではない。これはその国土に住んだことのある者は誰しも直ちに了解することである。 Le ciel est triste et beauの cielと、 What shapes of sky or plain?の skyと、 Der bestirnte Himmel über mirの Himmelとは、国土と住民とによっておのおのその内容に特殊の規定を受けている。自然現象に関する言葉でさえ既にかようであるから、まして社会の特殊な現象に関する語は他国語に意味の上での厳密なる対当者を見出す」