ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

中国の農薬問題

2008-02-10 21:55:46 | 雑記
農薬入り餃子事件に関しては、まだまだ解明には時間がかかりそうですので、それは横に置いといて、

あるところで、「ワイン用のぶどうに農薬をバシャバシャかけても問題なさそうだ・・・」と書かれているのを見たので、中国での農薬の扱われ方について、私なりの思うところをちょっと書き綴ってみたいと思います。



現在、ワインの世界では、「オーガニック」や「ビオディナミ」といった風が吹いていて、できるだけ農薬に頼らない農業にシフトしてきています。
それは他の農作物でも同じで、できれだけケミカルなものを使わない傾向にあり、また、トレサビリティの明確な農作物の方が、多少値段は高くても選ばれるようになってきている状況かと思います。

そんな中、農作物に農薬をバシャバシャかける中国のやり方というのは、やはりどこかで軌道修正しなければいけないのではないでしょうか。


農薬バシャバシャの問題はいくつもあり、

1)禁止されている農薬がヤミで出回っていること

2)その農薬が禁止されていることを知らずに使っている場合があること

3)何も知らずに、制限以上の濃度や容量を使っていること

4)その農薬の危険度を知らないまま、自らも浴びる危険がある状態で使っていること


1)と2)については、「安くて何にでもよくきく薬がある」という評判のものが、禁止されているにもかかわらず、手軽に買える状態にあるようで、知識がなければ、そりゃ飛びつくわ・・・と思います。

3と4)は、使っている農民も非常に危険だということです。
日本での散布風景を思い浮かべると、首から上に何か被り、マスクやメガネをかけ、雨合羽みたいなものを着て長靴を履き、完全防備で臨みますが、中国の農民は、夏なら上半身裸、下は短パンのみで、足元はビーチサンダルという海辺のリゾートスタイルというのが多く、これでは、自分も農薬を浴びてしまいます。


農作物と人間に農薬がたっぷり振り掛けられ、地面に浸みこんだ農薬は地下水を汚染し、それを飲む動物や人間を汚染することになります。
しかも、超高濃度で。



この農薬汚染のせいで、中国の農村部でホルモン異常の子供たちが多く見られる、という報告も上がっています。


中国の農薬問題のポイントは、
農薬の正しい知識が人々にちゃんと知らされていないこと(教育)に加え、
その管理がズサンである、ということに尽きるのではないでしょうか。


今回の餃子問題で、その混入経路を解明するのはもちろんですが、ぜひ上記の問題点も同時に見直してほしいと思っている私です。

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