ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

ぜひ輸入してほしいシャンパーニュ2軒

2015-02-25 18:01:51 | ワイン&酒
先週、都内で シャンパーニュ・デ・ヴィニュロン 来日試飲会がありました。

“シャンパーニュ・デ・ヴィニュロン -Champagne de Vignerons” を直訳すると、“ブドウ農家のシャンパーニュ”。

フランスのシャンパーニュ地方の約5000の独立したブドウ栽培者やワイン生産者、醸造組合、ワイン製造機関などで構成されるグループで、2001年にシャンパーニュブドウ栽培・醸造組合(SVG:Syndicat General des Vignerons de la Champagne)により設立されました。

SGVが保証するシャンパーニュには、下記のひし形のロゴマークをボトルに表記(裏ラベル or ボトルネックにシール貼付 or ワイヤーキャップのコルク部分)することができます。


ひし形のロゴマークが目印

今回紹介されたのは 11のシャンパーニュ生産者
一部を除き、日本未輸入のところがほとんどで、輸入元を求めて来日しました。

モンターニュ・ド・ランス、ヴァレ・ド・ラ・マルヌ、コート・デ・ブラン、コート・デ・バールの4生産地域の中で、試飲して、これはぜひ日本でも飲みたいと思ったのが、ヴァレ・ド・ラ・マルヌの西部の地域の生産者です。

ヴァレ・ド・ラ・マルヌでは東部のエペルネがよく知られていますが、パリに近い西部のシャトー・ティエリーの町の周辺もシャンパーニュの名産地です。
ブドウとしては、ピノ・ムニエが多く栽培されています。

その中で、私がプッシュしたい造り手のひとつが、シャトー・ティエリーの南西、つまり、かなりパリ寄りのSaulchery(ソルシェリ)の Champagne Pierre Laurent (ピエール・ロラン)です。


Champagne Pierre Laurent Rose / Brut

じんわりおいしく、やさしい味、なじみ感のあるブリュット
スーッとよどみなく入ってくる、ピュアなロゼ



シャルドネ100%のBlanc de Blancs も、ミネラル感がありながら、ふっくらやさしく、ジューシーです。
Millesime 2004 はいまだ新鮮さがあり、繊細な酸が申し分ありません。これなら繊細な料理と合わせたいですね。
スッキリした甘さのDemi-Secはフォアグラに。


希望があれば、デザインボトルやミュズレ(キャップ)もオリジナルで作れるそうです


ピエール家5代目のLaurent Pierreさんは30歳

2007年に自身のブランドを起こし、2010年から販売を始めた若手です。
ロランさんによると、除草剤は3年、殺虫剤は10年使用しておらず、畑は馬で耕します。


彼の胸に輝くメダルは “Confrerie Pinot Meunier du Charly sur Marne”

シャルリー・シュル・マルヌの“ピノ・ムニエ軍団”的な?(笑)
シャルリー・シュル・マルヌ周辺(ロランさんのソルシェリも含まれているようです)の約
30の、ピノ・ムニエを愛するシャンパーニュ生産者で構成されているようです。



シャトー・ティエリーの西部は、東部に比べると気温も高く、ブドウがよく熟します。
そのため、ワインの味わいも、ピュアでやさしく感じます。

シャンパーニュにストイックさを求めたい人もいると思いますが、飲んで素直においしい、と思うのは、こういうジューシーでなじみのいいタイプでは?
ジューシーなタイプのワインは、日本の食にもよく合います。

ロランさんのシャンパーニュはまだ日本では取扱いがありません。
ぜひ、どこかの輸入元に引いてほしいものです。



もうひとつ、シャトー・ティエリーの南西の生産者を紹介します。
ロランさんのメダルに書かれていた、シャルリー・シュル・マルヌChampagne Gratiot-Pilliere(グラシオ・ピリエール)で、ここも Confrerie Pinot Meunier du Charly sur Marneの一員です。


Champagne Gratiot-Pilliere  Extra Brut Tradition 2009 / Brut Rose

エクストラ・ブリュットは、ピノ・ムニエ75%、シャルドネ%、ピノ・ノワール%というブレンドで、ふわっとしたタッチがやわらかく、ワイン的な味わいのシャンパーニュ。

ピノ・ムニエ80%、シャルドネ20%のロゼは、果実味がとてもジューシーで、果皮がプチンとはじけるようなハツラツ感があります。赤いベリー類がふんわり広がり、余韻も長く、これもいいですね。

どちらも飲み疲れせず、明るく、やさしく、これも好きなタイプ。
ピノ・ムニエの比率が高いせいもあるでしょう。
グラシオ・ピリエールは、全体生産量の80%がピノ・ムニエです。

ここは1657年から続く家族経営の生産者ですが、瓶詰めを始めたのは1960年代で、グラシオ・ピリエールとして立ち上げたのは1969年になります。

余談ですが、Confrerie Pinot Meunierのメンバー表を見ると、“Gratiot”と付く生産者が多くいましたので、この地ではポピュラーな名前なのかもしれません。
ですから、似たような名前のシャンパーニュと間違えないように。


華やかな雰囲気のボトルです

ブースにいらした輸出担当者のクリステル・グラシオさんによると、生産量の74%は国内消費で、輸出はまだ少ないとのこと。
ここもパリに近いため(ロランさんのソルシェリより約3km西)、パリの地酒的な存在として、パリを中心に飲まれているようです。実際、週末には車でパリから買いに来る人も多いとか。

ロランさんのところもすぐここからすぐ近くですし、私がもしパリに住んでいたら、毎週でもこの2軒に買い出しに行きたいくらいです(笑)

もちろん、それは無理ですから、グラシオ・ピリエールもピエル・ロランも、ぜひどこかに輸入してほしいところです。


この記事を読んでいる輸入元の皆さま、ぜひご検討を。

Champagne Pierre Laurent
http://www.champagnepierrelaurent.fr/

Champagne Gratiot-Pilliere
http://www.champagne-gratiot-pilliere.com/

コメント
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