ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

米国ワイン産地で押さえるべきオレゴン&ワシントン【後編】

2015-02-04 10:47:00 | ワイン&酒
【前編】 より続きます。



Mouton Noir (オレゴン州、ウィラメット・ヴァレー)

「ムートン・ノワール」 (直訳で“黒い羊”)は、羊年にふさわしいワインかも?(笑)
契約農家からブドウを購入し、小規模生産者の共同施設ノースウェスト・ワインカンパニーで醸造するブランドで、NYのソムリエだったアンドレ・マックが2007年に立ち上げました。

思わず二度見してしまうのが、真ん中のボトル。
その名も「Mouton Noir Oregogne Pinot Noir 2012」

Oregogne -オレゴーニュ って、オレゴン Oregon + ブルゴーニュ Bourgogne !?
エチケットもブルゴーニュっぽいですし、栓も蝋で封をし、ブルゴーニュの銘醸ワインの雰囲気を漂わせています。

オレゴンのウィラメット・ヴァレー、AVAエオラ・アミティ・ヒルズにある標高の異なる2つの畑(ローズロック・ヴィンヤード、ゼナ・クラウン・ヴィンヤード)で栽培されたピノ・ノワールを使っています。

【前編】で紹介したイヴニング・ランドのセブン・スプリングス・ヴィンヤードも、AVAエオラ・アミティ・ヒルズ(AVA Eola-Amity Hills)にありました。
エオラ・アミティ・ヒルズは、ぜひ覚えておきたいAVA名です。

肝心の味わいは、残念ながら、試飲会の終盤だったので、すでにボトルが空でした。
ボトルに残ったわずかな香りを嗅いでみましたが、あまりにも微量すぎて捉えることができませんでした。
次はぜひどこかで口にできることを願っています。
(参考上代:6800円)(税別)

オレゴーニュの左右にあるワインも、ムートン・ノワールのワインです。

左)Mouton Noir Other People's Pinot(O.P.P) 2010
右)Mouton Noir Horseshoes and Handgrenades NV

「アザー・ピープルズ・ピノ(オー・ピー・ピー) 2010」は、ヒップホップグループのヒット曲名にちなんだ名前の赤ワイン。
ウィラメット・ヴァレー北部の3つのAVAにまたがる地区のピノ・ノワールを使用。栓はスクリューキャップ。(参考上代3400円)(税別)

「ホースシューズ・アンド・ハンドグレネイズ NV」は、「蹄鉄と手榴弾」という名前の赤ワインです。ノン・ヴィンテージ表記ですが、2010年のワインを使っています。
オレゴン州南部のシラーを主体に、ワシントン州のメルロとカベルネ・ソーヴィニヨンをブレンド。
(参考上代2800円)(税別)

「ムートン・ノワール」のワインは、どれも洒落っ気があって楽しい!
こういうワインをテーブルの上に置いたら、大いに盛り上がりそうでは?(笑)



左)Chehalem Three Vineyard Riesling 2012 (オレゴン州、ウィラメット・ヴァレー)
右)Chehalem Gruner Veltliner 2013 (オレゴン州、ウィラメット・ヴァレー)

白ワイン好きなら見逃せないのが、上記の2アイテム。
チュヘイラム は、ウィラメット・ヴァレーのAVAリボン・リッジに最初にブドウを植えたワイナリーです。

リースリングはミネラル感があり、酸もイキイキとして、リースリング好きのドストライクを突いてきます。さすがです。
グリュナー・フェルトリナーはオーストリアのブドウ品種。珍しいなぁと思ったら、まだまだオレゴンでは少ないようで、チュヘイラムがオレゴンでのパイオニアとか。リースリング(0.6g/L)よりもやや残糖を感じた(0.7g/L)のは、リースリングよりもやわらかな印象の酸のせいかもしれません。どちらもスクリューキャップ。
参考上代は、リースリングが3500円、グリュナーが3800円。(税別)

※ムートン・ノワール&チュヘイラムの輸入元:ヴィレッジ・セラーズ株式会社



今回、日本未輸入の生産者 9社が出展していました。
下記はインポーター募集中のワイナリーです。


Valley View Winery (Oregon)

オレゴンの最も南のAVAアップルゲート・ヴァレーに1972年創業のワイナリーです。
画像一番左の白の「Viognier 2013」(18ドル)が、華やかすぎず、酸が充分あり、エレガントなスタイルで気に入りました。



来日していた担当者が手にしているワイン「Valley View Winery Rouge Red NV」(12ドル)はコストコが取り扱っているので、日本のコストコでも入手可能だそうです。日本での価格は1000円台前半程度。気軽に楽しめるタイプです。



Omero Cellars (Oregon)

ウィラメット・ヴァレー北部の家族経営の生産者で、設立は2008年。
ビオディナミに取り組んでいます。
「Ribbon Ridge Pinot Noir 2012」(38ドル)が、果実味がよく熟し、かつモダンなスタイルに仕上がっていました。



Merriman Wines (Oregon)

ウィラメット・ヴァレーに2006年創業生産者。
注目は、AVA Yamhill-Carlton「Cummins Road Pinot Noir 2012」(25ドル)。
ウィラメット・ヴァレーの北西に位置するヤムヒム・カールトンは、2004年に認定されたAVAです。
畑はサステーナブル認証を取り、極小区画のブドウを仕込んでワインをつくります。
年間生産量はワイナリー全体で2000ケース。
クラシカルな雰囲気のエチケットにも心をくすぐられました。



Badger Mountain/Powers Winery (Washington)

淡いグリーンとブルーのエチケットが爽やかなボトルは、「Monde eau Wines」のオーガニックワインです。1982年創業で、有機栽培は1988年から開始。
白はシャルドネとリースリング、赤はカベルネ・ソーヴィニヨンとシラー(各10ドル)

全体的に軽いワインですが、この中で私のイチオシは「Monde eau Wines Riesling 2012」
ドライでスッキリした味わいで、ほどよい甘みがさりげなくあります。
春から夏の季節に、キリリと冷やして昼から。オーガニックカフェなどにも似合いそう。



同じ経営で別ワイナリーのPowersの方は、オーガニックではありません。
「Viognier 2013」がやわらくてうまみが乗り、このシリーズの中では気に入りました(おそらく13ドル?)。



Milbrandt Vineyards
Tradition Riesling 2013
 (Washington, Ancient Lakes)

ワイナリーは2005年創業ですが、ミルブラント・ヴィンヤーズのブランドを立ち上げたのは2007年6月。まだ若いブランドです。
このリースリングも若々しく、軽快なミネラル感があり、リースリングらしくて旨い!ドライタイプで、果実味がほんのり残ります。こういうリースリングが入ってくると嬉しいなぁ(14ドル)



オレゴン&ワシントンの2州を合わせると、多くのブドウ品種から多彩なワインが造られています。
新たなワイナリーやプロジェクトが次々と登場しているということは、この2州は、生産者にとって、大きなポテンシャルを感じる魅力的な土地なのでしょう。
われわれ消費者も、これからもオレゴン&ワシントン州から目が離せません。

コメント
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