自然派ワインの「CPV ルクレアシオン試飲会」と同日、都内の別の場所で、
オレゴン・ワシントンワイン試飲会 が開催されました。
アメリカ北西部の太平洋地域に位置するこの2州は南北に隣接し、南がオレゴン州、北がワシントン州という位置関係です。
ワシントン州のワイン生産は、カリフォルニア州に次いで全米2位、オレゴン州は4位。
ちなみに、全米第3位のワイン生産地はニューヨーク州。
アメリカのワイン産業において、オレゴン州&ワシントン州は、非常に重要な産地なのです。
ワイン産業の規模としては、ワシントン州はオレゴン州のワイン生産量の4倍、ブドウ栽培面積では約2倍、ブドウ栽培者数は約3倍、ワイナリー数は、オレゴン州の605に対し、ワシントン州は850超。
面白いのは、アメリカの原産地呼称制度AVA(American Viticultural Areas)の数で、ワシントン州の13に対し、オレゴン州は17と、ここでのみオレゴン州が数字の上で上回っています。
※数字は2014年のデータ
以上のことから、オレゴン州の方が生産者の規模が小さく、AVAごとのワイン生産量もより少ないといえます。
ワシントン州とオレゴン州のワイン産地は、海岸線と平行に南北に走るカスケイド山脈によって、それぞれ分けられます。
ワシントン州のワイン産地は、カスケイド山脈より東側の内陸部に広がります。
内陸部は気温が上がります。日照が長く、夏は暑くなり、冬は氷点下にもなる寒い大陸性気候ですが、ブドウの生育期の昼夜の温度差が、ブドウ栽培にいい条件となります。
オレゴン州のワイン産地は、カスケイド山脈の西側、海寄りに、南北に広がっています。
海からの涼しい風が吹くため、内陸部のワシントン州のワイン産地よりも冷涼な気候となります。
よって、栽培されているブドウ品種もそれぞれ特徴があり、
ワシントン州では、ボルドー品種、ローヌ品種を中心とした数多くの品種が、
オレゴン州では、ピノ・ノワール、ピノ・グリ、シャルドネ、リースリングなどの品種を中心に栽培されています。
ワシントン州の方が北にあるのに、ブドウ品種が南北が逆転しているのが面白いですね。
さて、解説が長くなりましたが、これら2州の試飲会で出合ったワインをいくつかピックアップしてみましょう。
パシフック・リム ミスティックブレンド 2013 (ワシントン州、コロンビア・ヴァレー)
パシフィック・リム はさまざまなスタイルのリースリングワインをつくる生産者で、ここでも何度か取り上げてきましたが、これはかなりユニーク!
2月末より発売予定の新商品だそうですが、
リースリング75%にシュナン・ブラン25%をブレンドした白ワインです。
ちょっと甘目の味わいですが、リースリングらしさがちゃんとわかり、シュナンの風味もほんのり感じます。
面白いのが、タイの“Monsoon Valley”のワインのエチケットの雰囲気と似ていること。
※ボトル画像は
コチラ を参照ください
このミスティックブレンドも甘さがあるので、タイをはじめ、
東南アジア系のエスニック料理に合いそうだと思いました。
昼から気軽に楽しむのにも良さそうです。
日本では初登場になりますが、現地ではWhole Foods(スーパーマーケット)専用ワインとか。
※輸入元:株式会社協和興材 (参考上代:2300円)(税抜)
Evening Land Vineyards (オレゴン州、ウィラメット・ヴァレー)
左より)
Seven Springs Vineyard "La Source" Chardonnay 2011(AVA Eola-Amity Hills)
Pinot Noir Willamette Valley 2012(AVA Willamette Valley)
Seven Springs Vineyard "La Source" Pinot Noir 2011(AVA Eola-Amity Hills)
ブルゴーニュファンなら、
イヴニング・ランド・ヴィンヤーズの名前はすでに知っているかもしれません。
というのも、
ブルゴーニュのムルソーの著名生産者コント・ラフォンのドミニク・ラフォンが醸造コンサルタント として加わっているからです。
イヴニング・ランドでは、AVA Eola-Amity Hills(AVA Willamette Valley内のAVA、2006年認定)にある
単一畑「Seven Springs Vineyard」(32ha)を自社畑として所有し、6つのエステートワインをこのセブン・スプリングス・ヴィンヤードから造っています。
セブン・スプリングスは
ビオディナミです。
セブン・スプリングスの
シャルドネ はボディに厚みがあり、酸もたっぷり。どこかブルゴーニュ的な印象で、ブラインドだったら、産地がどこかわかりにくいと思います。
シャルドネの植えられている区画は火山性土壌になります。
生産量は438ケースのみ。
このシャルドネを、本家ラフォンのシャルドネとでの贅沢な飲み比べをするもよし、純粋に、シャルドネだけに集中してストイックに飲むもよし。
このシャルドネの希望小売価格は8800円(税抜)
ある程度ブルゴーニュを飲んだ経験のある人じゃないと、もったいないでしょうけれど。
ただ、何の先入観もなく、真っさらな状態で向き合うのもいいかもしれませんが。
さすがにお値段はお安くはありませんけれどね。
ピノ・ノワール2種 では、やはり単一畑の
セブン・スプリングス・ヴィンヤードのワインの方が個性が強く表現されています。
スパイシー感があり、スーッとキレイに引いていく感じがします。
ここのピノ・ノワールの植えられている区画は砂利の多い土壌です。
生産量は1481ケースで、希望小売価格は9600円(税抜)。
Pinot Noir Willamette Valley 2012 のピノ・ノワールは、セブン・スプリングスの近くのエオラ・ヴィンヤードのブドウを使用。他の2つもこのピノも、フレンチオークを使用しています。
希望小売価格は4300円(税抜)
※イヴニング・ランドの輸入元:ワイン・イン・スタイル株式会社
ブルゴーニュの生産者がオレゴンで造るピノ・ノワールといえば、ボーヌのドルーアンが1987年に
「Domaine Drouhin Oregon」を設立しています。
※「Domaine Drouhin Oregon」については以前の記事を参照してください →
コチラ
これら2生産者の飲み比べ、なんていうのも面白いかもしれませんね。
ブルゴーニュ生産者がこぞって乗り出すオレゴンという土地は、ワインファンとしては、当然押さえておく産地でしょう。
ただ、やはりオレゴンならではの個性を探っていきたいものです。
Firesteed Pinot Noir “CITATION”2002(オレゴン州、ウィラメット・ヴァレー)
オレゴンの上等なピノ・ノワールは長期熟成にも耐えます。
ファイアースティードが良年のベストロットのピノ・ノワールを選んでボトリングしたもので、生産本数4500本という限定品。
すにで12年以上が経過していますが、いい感じに熟成してきていて旨い!まだまだその先も熟成も期待できそうです。
※輸入元:大榮産業株式会社 (希望小売価格:9000円)(税抜)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/48/cb/d43cb479da3b4fb4c29c6c28dd6611ca.jpg)
右)
Pepper Bridge Cabernet Sauvignon Walla Walla Valley 2005
(ワシントン州、ワラワラ・ヴァレー)
ワシントン州でも長期熟成するワインがつくられています。
ペッパー・ブリッジのカベルネ・ソーヴィニヨン2005年は、カベルネ88%+メルロ8%+マルベック3%+プティ・ヴェルド2%のブレンドのボルドースタイルのワインです。なめらかでバランスがよく、この2005年でようやく飲み頃に入ってきた状態です。
左のワインはメルロの2008年ですが、これはまだ若いと感じました。
これらは輸入元が自社セラーで寝かせておいたということですが、たしかに寝かせて正解。
※輸入元:株式会社デプトプランニング (参考上代:カベルネ8800円、メルロ7000円)(税別)
長くなってきたので、前後編に分けたいと思います。
続きは、また明日。
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