散歩の途中でご近所さんに会った。
私と同じ歳の彼女は、いつ会ってもおしゃれで素敵な装いをしている。
彼女が身につけているものは、決して名のあるブランドものではなくて、どこでも買えるものが多いのだが、彼女が身につけると途端におしゃれに見える。
きっとセンスがいいのだろう。
今日も素敵な和柄のスカートを身につけていた。
「素敵なスカートね」と言ったら「これは、古い着物をほどいて自分でスカートに作り直したの」と驚くべきことをいう。
彼女曰く、病気をしてから既製品が肌に合わず困っていたそうだ。
既製品を着ると途端に肌が痒くなるので、仕方なく自分で生地を探して服を作ったら、これがとても良くて、以来、自分で作るようになったそうだ。
「下着のパンツまで作るのよ。生地を買って作ったり、古い服をリメイクしたりするから、最近ではもう洋服は買わなくなっちゃった」
自分で洋服を作れるなんて本当にうらやましい。
自慢じゃないけど、私はお裁縫が大の苦手で、これまで人生の大作は、子どもの幼稚園バック。あとはお弁当入れも作ったかな。
でも制服の上に着るスモックは難度が高すぎて、既製品で許してもらった。
あーなんだか書いていて恥ずかしくなってきた。
こんな風だから自分で洋服を作るなんて考えたこともない。
でも、着ていない洋服や着物をリメイクできたらどんなに良いだろうと、箪笥の肥やしになっている自分の着物を思い浮かべてしまった。
ところで名誉挽回を狙って書くわけではないが、お裁縫は苦手だが、編み物は嫌いではない。というか、むしろ好きで、気が向くと編み針を持って何か編んでいる。
多分、無心に編み針を動かしている時間が好きなのだと思う。
昔はセーターも編んだが、今は靴下とか手袋とか小さな物を作ることが多い。
しかし今、ちょっと大きな物を作っている。
それはブランケット。
寒い日の夜に足にかけるブランドが欲しかった、、、なんて書くとカッコいいが、なんのことはない。余っていた毛糸がもったいなくて、ぐるぐる編んでいるうちに大きくなってきたので、ブランケットにしようと決めた。
寝る前のひととき無心に編み針を動かしていると、ざわついた気持ちが静かになる。
ところでこの前、持っていたミシンをついに処分した。
まだ動くのでもったいないと思うのと、昔亡き母が毎月細々と積立をして買ってくれたと思ったら、申し訳なくてなかなか処分する決心がつかなかった。
母はなぜ裁縫が苦手な娘にミシンを買い与えようと思ったのか、まさか娘が裁縫ができないことを見抜けていなかったのかなど今でも不思議なのだけど、2000円とか書かれた、たくさんの領収書の束を見ると、ミシンを有効に使いこなせなかった申し訳なさとありがたさで胸が一杯になる。
でもどう考えても今後使う可能性はなく、処分を決めてからリサイクル店をいくつか当たったのだけど、型が古すぎてどこも引き取ってもらなかったので処分を決めた。
もう一度、利用してあげたかったが仕方がない。
だからなのか、余っていた毛糸たちを有効に利用してあげたいという気持ちが強まったのかもしれない。
古い服や着物をリメイクするご近所さんも同じ想いなのかなと思ったり、これが終わったら手袋編もうかなと思ったりしながら、今日もせっせと編み針を動かしている。