朝、起きてカーテンを開けると、ベランダに必ず虫がいる。
いるというよりは、むしろ転がっていると言った方が正しく、瀕死もしくは絶命した状態で発見する。
すぐ目の前が森林なので、虫はもうたくさんいて、夜間にカーテンの隙間から洩れた灯りに誘われて飛んでくるのだろう。
それにしても飛んでくるのはよいが、灯りを消したら即座に森へ帰ってくれたらいいのにと思う。
いつまでもベランダに居るものだから、夏の朝の日差しに焼かれて弱ってしまうのかもしれない。
ベランダによく居るのは、背中がきれいに光った虫で、コガネムシだろうか?
それから私が子どもだった頃は虫捕りと言えばこれ!と言うほど、特に男の子に人気だったクワガタも、ひと夏に二回くらい居る。
クワガタ好きの子どもがいたら喜ぶだろうなあと思いながら、つまんで森に帰してくる。
またクワガタもさる事ながら、これまでベランダで見つけて一番興奮したのはカブトムシで、小ぶりだったものの、ちゃんと一本の角がある正真正銘のカブトムシだった。
それまでカブトムシは北海道にはいないと言われていたので、見つけた時は嬉しかった。
しばらく家族で眺めた後、クワガタ同様に森へ帰してきた。
ところで、セミが今年は少ないとネットで読んだが、あまりそうは感じないくらい、セミもベランダに居ることが多い。
そして、こちらはほとんどが瀕死の状態で見つかる。
セミの寿命は成虫になって一週間くらい、幼虫の時期は7年以上ということで、ついに7年と一週間の寿命を終えようとしているセミが、最期に選んだ死に場所が、我が家のベランダだったかと思ったら、無下にはできない様な気がする。
とはいえ、できれば森の中で一生を終えてほしいと思う。セミの亡骸を運ぶのは、あまり気持ちがいいものでは無い。
そういえば晩年の義母がセミ好きで、掃除に入った義母の部屋で、沢山の死んだセミのコレクションを見つけた時には、悲鳴をあげそうになったものだった。今となっては、ちょっと懐かしいけど、、、
そんなわけで、ベランダに虫が飛んでくるのは、だいたい夜と決まっていたのだけど、今日は日中にセミが飛んできた。
窓ガラスに虫が当たる音がして、外を見たらセミがいた。
虫嫌いの方は閲覧注意。
ひっくり返ったまま、羽をバタバタさせていたので元に戻してあげたら、元気に森の方へ飛んで行った。よかった、、、
森林のそばに住んでいると、もう虫との共存は仕方がない。
虫は森林にとって無くてはならない存在。
昆虫は、森の中を飛び回って花粉を運び、また成虫は森に住む鳥や小動物の食糧になる。
森林近くに住まわせてもらっている人間は、せめて森林の生態系を壊さないようにしないと、、、と思いつつ、飛んできた昆虫をせっせと森へ帰している。