うっかりやってしまった。
通販で商品を頼んだ時に、うっかり違えて留守の日を時間指定してしまった。
気づいたのは、帰宅してポストに入っていた不在通知書を見た時。
あーやっちゃった。もうばかばかばか、私のばか。
常々、再配達をしなければいけなくなった配達員さんが気の毒だなあと思っていたので、自分が頼む時は必ず自宅に居て受け取るようにしていた。
それなのに時間指定を間違えてしまうとは、、、
仕方なく不在通知書を見ながら、電話で再度の配達を申し込んだ。
そして再配達を指定した時間。
玄関前にトラックが停まる音がしたので、チャイムが鳴る前に玄関の灯りをつけて、さらにドアに手をかけてスタンバイする。
そして、チャイムが鳴るか鳴らないかで速攻ドアを開ける。
すると、目の前に頼んだ荷物を持った配達員さんが立っておられた。
すぐに「手間をかけてしまってごめんなさーい」とあやまると、「なんも、なんも」と配達員さんがおっしゃってくれた。
ちなみに「なんも」と言うのは北海道や東北地方の方言らしく、意味は「気にしなくて大丈夫ですよ」といったニュアンスで使う。
普段、私もよく使っている言葉なのだが、これが方言だと知ったのは数年前のことだった。
長く東京に住んでいる高校時代の友人と電話で話している時に、友人から「なんもなんもって、すごく懐かしくて癒される。いい言葉だねー」と言われたことがあった。
いつも何気なく使っている言葉だったので、友人にあらためてそう言われても、その時はあまりピンとこなかったのだが、今回は「なんもなんも」にとても癒された。
荷物を受け取りながら「本当にごめんなさいね。時間指定までしていたのに留守にしちゃうなんて」と再び配達員さんにあやまると、「なんもなんもなんも。いやー留守なんて珍しい事もあるなと思っていたんですよ」と配達員さんがおっしゃってくれた。
そこで「それがうっかり日にちを間違えていて、留守の日に時間指定しちゃったんですよ。本当にすみませんでした」
そう言うと、、、
「なんもなんもなんもなんもなんも」
なんと、なんもの五連発!続けて「何度でも来ますから」とおっしゃって帰って行かれた。
友人が言っていた通り「なんも」って、とても優しくていい言葉だなあ、、、と、配達員さんのたくさんの「なんも」を聞いて思った。
ところで、こうして言葉には救われたり癒されたりする事があるが、反対に言葉によって傷つけられることも多くある。
特に最近はネット上での非難中傷で、自ら命を立ってしまうという話も聞く。
私の好きな中島みゆきさんが子どもの頃に、産婦人科の開業医だった父親から言われた言葉があるそうだ。
「刃物で切った傷なら薬で治せるけれど、言葉で切った傷につける薬はない」
そう言われて「切る言葉があるなら、傷を治す言葉もあるのではないか」と思ったことが、中島みゆきさんの歌作りの原点になっているそうだ。
「なんも」は傷を治す方の言葉だな、、、きっと。