ミーロの日記

日々の出来事をつれづれなるままに書き綴っています。

おもしろきこともなき世をおもしろく

2019-10-28 15:49:26 | 日記

紅葉が進み、赤や黄色に染まった街路樹が本当にきれいで、お天気もよかったため、いつもは車で行くお店に長女と二人で歩いて行くことにした。

歩く時はなるべく荷物は少なめにして、リュックをひとつだけ。中身はお財布とハンカチくらいなので、とても軽いのだが、これは若い長女に背負ってもらって、私は手ぶらで歩いた。

きれいに染まった紅葉を眺めながら、落ちている栗を踏まないように足取りも軽く長女と歩いていく。

歩いていると何だかウキウキしてきて、自然と歌を歌いたくなる。

「歩こう、歩こう~わたしは元気~♪」

もいないのをいいことに、長女と二人で歌を歌いながらふもとのお店まで歩いて行った。

お店でお目当てのガラスのポットを買い(急須が壊れてしまったので)、行く前に長女と約束をしていたお昼のお弁当を買った。

「何でも好きなお弁当を買っていいよ」と言っていたので、長女は迷いに迷っていた。

新鮮なネタがのった美味しそうなお鮨は、本物のお寿司屋さんが作ったものだが、値段も一人前1200円ほどする。う~ん、なかなかのお値段・・・

でも、きっとそれがいいと言うだろうな・・・と覚悟していたら、長女は税抜き価格398円のあんかけ焼きそばを選んだ。

長女曰く「あんかけ焼きそば、食べたかったんだ~」

よかった~とちょっとホッとしながら、私はサンドイッチを買った。

本当は、買った物を紅葉を見ながら外で食べたら最高だったのだけど、長女のあんかけ焼きそばはレンジで温めるものだったので、また歩いて家まで帰った。

たったこれだけのことなのだが、その日はとても良いことがあったかのようにずっと楽しい気分だった。

尊王攘夷の志士、高杉晋作の詠んだ歌に「おもしろきこともなき世をおもしろく」というのがある。

この歌に高杉晋作をかくまった歌人、野村望東尼が「すみなしものは心なりけり」と付け足した。

おもしろきこともなき世をおもしろく すみなしものは心なりけり

心がそれをおもしろいと思えば、どんなささやかなこともおもしろいと思える。

どんな時でも面白い、楽しいと思える心を持っていたいものだと思う。


 

 


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友人と会う

2019-10-23 15:14:11 | 介護

先日、20年近く会っていなかった友人二人と会って来た。

20年ぶりなのでお互いの顔がわかるかな~と、みんな同じことを思っていたらしいけど、一目ですぐに友人たちだとわかった。そして、向こうもわかってくれた・・・ホッ

そんな友人たちとの久しぶりの再会は、積もる話があり過ぎて、あっという間に時間が経った。

みんな基本は子どもを育てる(育てていた)主婦なので、昔とそんなに生活は変わってはいなかったが、今は子どもの手が離れ、パートに、趣味にと忙しく毎日を過ごしているとか。

しかし、子供の手は離れたが、老親の手が離れないのはみんな同じ。

自分や夫の親たちを見送って、残った老親の介護に忙しいと話すひとりの友人の話を聞きながら「どこも一緒だね」と言って互いをいたわりあって来た。

でも、久しぶりに友人たちに会って楽しい時間を過ごして、とても元気がもらえた。

特に最近はお姑さんの症状が急激に変わっていくので、夫との会話はいつもお姑さんのことになる。それは元気が出るような明るい話題ではなく、今後どんどん悪くなっていくということを想定した話なので、自然と気持ちも暗くなっていた。

しかし、友人たちとの再会でまた元気がでた~かな?

さて、お姑さんだが、先のブログ記事ではもう歩けないということを書いたが、それから数日も経たないうちにまた歩けるようになった。

歩けるようになったことは非常に喜ばしいことなのだが、これが夜昼問わず歩き回って暴れまわるので、事態は以前よりも深刻になった。

お姑さんは夜中に暴れたようで、翌朝、部屋の中は大変な事になっていたそうだ。

カーテンは引き千切られ、鉢植えはひっくり返り、部屋の中は物が散乱。

信心深いお姑さんがあれほど大切にしていた仏壇も、中の仏具や掛け軸があちこちに飛び散っているという惨状だったそうだ。

それから数日間、お姑さんは興奮状態が続き、奇声をあげたり他人に暴力行為をしたりと、とても正常だった頃のお姑さんとは思えないような行動を取り続けた。

夫は「まるで悪霊にでも憑りつかれているようだ」というし、たくさんの高齢者を見ている職員さんも「こんなに急に症状が悪化するのは珍しい」とおっしゃった。

というわけで、このような症状(特に他人に対する暴力)が続けば、現在の施設(高齢者住宅)に居るわけにはいかない。

また新しい施設を探さなければいけないのだが、今はどこも満員ですぐに移れる施設が無いのが現状だ。

お姑さんが入れるとしたら特別養護老人ホームかグループホームなのだが、どこも待機者が何十人といる。

では次の施設が決まるまで、いっそのこと入院したらどうだろうかと病院を訪ねたが、病院も認知症の高齢者や精神疾患をもつ患者さんが大勢待機しているとかで、入院はすぐにできないそうだ。

現在は主治医から出してもらった興奮を抑える薬を服用しているので、ここ数日は落ち着いている。

お姑さんはごくたまに我に返るのか「迷惑かけてごめんね」とか「人生はつまらない」とか、そんなことを言うそうだ。

このまま薬で落ち着けばよいのだけど。しかし、今は一刻も早く入れる施設を探している。

友人たちと老親のことを話していた時、ひとりの友人が言った。

「親たちは、まだなんとか見てくれる施設や人手があるけど、私たちの時はどうなるの?少子化だし、介護なんてしてもらえるんだろうか?」

たしかに今と同じ介護を考えれば難しいかもしれないが、その時は元気な老人が介護をする側になっているのかもしれないし、ロボットがもっと普及しているかもしれない。もしかしたら外国人の介護職も増えているのかもしれないから、なんとかなっている気もする。

しかしどちらにせよ、自分の健康は自分で守らないといけない。

いつまでも介護を必要としないくらい元気で、できれば介護する側の老人になって、ある日、コロリと死ぬ。いいな~、夢だわ、これ。

とかなんとか、そんな話をしながら楽しく友人たちとランチをしてきました。


 


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おつかい

2019-10-18 16:25:34 | 介護

お姑さんがいる高齢者住宅から電話がきた。

「食事が飲み込めなくなっているので、買ってきて欲しいものがあります」とのことだった。

その買ってきて欲しいものとは、食事を飲み込みやすくする為にとろみをつける介護用のパウダーと、薬も飲めないので混ぜて食べられるようにプリンやヨーグルトなど。

そして、お粥に添える海苔の佃煮や練り梅だった。

あれからお姑さんは急激に弱ってきた。

自分の足で歩くことはすでに難しく、食事もあまり摂らなくなった。

だから、もう夜中に起きてトイレを詰まらせるようなこともできない。

人間、こんなに急に弱るものなのかと思う。

父の時も徐々に食事が摂れなくなって、最期の方はとろみのついたミキサー食になったが、それでもこんなに急ではなかった。

食べ物を摂らなくなったらますます弱ってしまうのではないか。

なんとか食べられるようにしないと・・・と話したら夫が言った。

「ばあちゃん(お姑さん)はどう思っているのかわからないが、ばあちゃんの魂は、もうこれでいい、もう生きたくないと思っているんじゃないだろうか。だから本能が食事をするのを拒んでいるんだと思う。まぁ分からんけどな」

本当にそうなのだろうか。私もわからない。

取りあえず急いで買い物をして、頼まれたものを高齢者住宅へ持って行った。

お姑さんは日中デイサービスで見守りをしてもらっているので、部屋に居ないことは知っていた。

でも一応、職員さんに部屋にお姑さんがいるかを聞いてみた。

もしも居たら、少しだけ顔を見て声をかけたい気持ちがしていた。

でも、やっぱりいなかった。

残念なような、ちょっとホッとしたような、そんな複雑な気持ちで高齢者住宅をあとにした。


 


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函館へ

2019-10-16 16:02:58 | 旅行

台風が去って大きな被害が出ていること、被災者の方々には謹んでお見舞い申し上げます。

このような時にお気楽な記事を書くのがためらわれますが、ちょっと旅行をしてきたので、その時のことを書こうと思います。

台風が近づいていた日曜日、函館へ一泊で旅行をしてきた。

直前までキャンセルしようか迷ったものの、そのまま決行し、結局心配していた天気は崩れることなく観光することができた。

ところで函館はこれまで何度も行っている所で(中学の修学旅行でも行った)今回は何か所もまわらずに行きたい場所をしぼってのんびりと散策することにした。

まず車を函館山ロープウェイの近くにある無料駐車場に停めて(来年4月以降は有料になるとか)八幡坂近辺を歩いた。

この辺りは坂が多く、特に坂の上から一直線に海が見渡せる八幡坂が有名。その昔、食器用洗剤のCMにも使われていたという人気観光スポットです。

周辺にはハリストス正教会や旧イギリス領事館、神社など趣のある建物が並んでいる。

こちらがハリストス正教会。

拝観献金200円で聖堂の中を見ることができる。

聖堂の中には沢山の宗教画が飾られ、長きにわたって祈りの場として使われてきたためか、なにか見えない壁の様なものが聖堂の中に厚く堆積しているような気がして、敬意を持って聖堂の中を見学させてもらった。

さて次に行ったのは、海を望む丘の上に建つカフェ「ティールーム夕日」

こちらに初めて来たのは、もう十年近く前で、その時にアンティークなお店の佇まいと目の前に広がる海の景色が素晴らしくて、今回もぜひ来たかった。

明治18年に函館検疫所として建てられた建物で、レトロな内装と目の前に広がる海の景色がゆったりとした気持ちにさせてくれる。


カフェの窓から見える景色。

集魚灯を下げたイカ釣り漁船が、沖に向かって次々に通り過ぎてゆく。

ゆったりとした時間が流れる。

ところで前回行った時はコーヒーやジュースなどのメニューだったが、今回はすべて日本茶のメニューに変わっていた。

五年前にオーナーが変わり、現在のオーナーさんが日本茶好きだった為、日本各地のお茶を取り揃えた「日本茶カフェ」にしたそうだ。

 

この地域の昆布を使った「昆布茶」↑

お代わり用の昆布が付いています~


鹿児島の霧島茶↑

お湯の入ったポットが一緒に出されて、自分でお湯を注いでお茶のお代わりができる。(お茶の淹れ方は、オーナーさんが教えてくれる)

お茶菓子もついて600円と主婦には嬉しいお値段。(お茶の種類によって値段が違います。ちなみに玉露は1000円)

昆布茶ももちろん美味しかったのだがこれがまぁ緑茶の美味しいことと言ったらなかった。

適度な渋みの中に、まろやかな甘さがあって、こんなに日本茶って美味しいものだったのかと、まるで初めて日本茶を味わったような感動をおぼえた。

店の周囲は外人墓地と海しかないのだが、この日は次々とお客さんが来て席が空くのを待っていた。でも人気があるのは分かる・・・うんうん

ところで幕末に横浜や神戸と同時期に開港した函館は、異国情緒のある建物が多い。

また瓦屋根の家や松など日本らしさもあって、瓦屋根など無い道央で育った者の目には新鮮に映る街だ。

たった一泊だったけれど、なんだか遠くまで行ってきたような気持ちにさせてくれた函館でした。



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循環

2019-10-10 16:08:08 | 日記

今日は久しぶりに暖かい日だったので庭仕事をした。

種がこぼれて、庭じゃない場所に育った芝桜とエリカを庭に移植し、ついでに他の植物たちにも肥料をあげた。

無心に土や植物をさわっていると、時間を忘れる。

気が付けば一時間なんてあっという間に過ぎる。

同じように庭仕事をしていると時間を忘れるという方が、タイマーを持って庭に出るとおっしゃっていた。

毎日、10分間セットして、タイマーが鳴ったらおしまいにするのだとか。なるほど、それは良い考え。次の予定がある時にやってみよう。

でも、今日は時間がたっぷりある。

10分とは言わずに気の済むまで外にいようと思った。

さて無心に土を掘っていたら、どこからか「こんにちは」という声がした。

見上げると、そこにはご近所の方で、会ったらいつもお話をする中国人のワンさんが立っていた。

彼女は昨年、研究者として勤めていた会社を辞めて、自宅の庭で野菜や果物を育て始めた。

彼女も天気がいいので庭仕事をしようと外に出ていたらしい。

今年の夏、ワンさんの庭では、立派なカボチャやナスが見事にできていた。

会社を辞めて初めての年に、こんな立派な野菜が作れるなんてすごい。

野菜作りは前もやっていたのかと聞いてみたら、なんとこんなに野菜を作ったのは初めてなのだと言う。

「他にも作りましたが、たくさん失敗したよ。だから勉強したね。まだまだ勉強途中だから、うまくいかないこともたくさんありますねー」とワンさんは教えてくれた。

さすがは研究者。野菜作りも納得できるものができるまで勉強、勉強なのだ。

「じゃあ、今度野菜の作り方教えて下さい」とちゃっかりお願いしたら、笑顔で「いいよ。来年にはもっと分かるようになっているから教えられるよ」と言ってくれた。

そんなワンさんが、今やっているのは肥料作りだそうで、枯れ葉にキノコを混ぜて肥料を作るのだという。

キノコは、ワンさんがその昔研究していたもので、最近森の中でたくさんのキノコを見つけたのだそうだ。

「そのキノコは、食べられるかどうかわからないよ。でも、きっと食べられないねー。それを採ってきて刻んで混ぜると、よく腐るよ」

腐る??あぁ、枯れ葉が腐って肥料になるということね。了解。

実は、私も去年まで畑に穴を掘って集めた枯れ葉を埋めていたのだが、そこにキノコを入れるといいのかーと納得する。

「自然はすごいね。無駄なくちゃんと循環しているものね」と言ったら、ワンさんも「すごいよ。自然はすごい」と言った。

庭仕事をしていたら、視界にきれいな赤いものが飛んで来たのが見えた。

真っ赤なもみじの葉っぱ。かわいいな~

ところで樹木は老廃物を葉に貯めておいて、落葉することで排泄しているのだとか。

そして落ち葉は、木の根元にたまり、土の微生物によって腐葉土となり、豊かな土壌が作られる。その栄養を吸い上げた樹木が、再び春に芽吹くという自然の見事なサイクル。

また樹木があることで昆虫や動物たち、そして人間も生かされているのだなぁ。自然は無駄なく循環している。

さてと、芝桜とエリカの植え替え完了。来年の春には、きれいな花を咲かせてくれるかな。

 


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人間ドック

2019-10-07 16:04:31 | 健康

先日、人間ドックを受けてきた。

昨年の人間ドックは、興味本位から新しい医療機関に変えてみたのだが、そこでの胃カメラ検査が今まで受けてきた中でもトップクラスの辛さだったため、今年はまた例年受けているところに戻した。

と言っても検査してくれる医師は、どのような方なのか行って見なければわからないのだが。

そこの医療機関では、胃カメラ検査は数々の検査の一番最後にすることになっているのだが、次々と他の検査を終えながら近づいてくる胃カメラを思うと憂鬱になった。

何度も胃カメラをやめようかなと思っているうちに、ついに運命の時がきてしまった。

もうこうなったら受けるしかない・・・

看護師さんに喉の麻酔をしてもらってから、しばらくして名前を呼ばれた。

戦々恐々と検査室に入ると、待っていたのは、年の頃は息子と変わらない若い医師だった。

「だ、だいじょうぶかな・・」と一瞬不安になったが、これがまぁとても上手だった。

昨年の胃カメラの辛さは何だったのかと思うほどスムーズだった。

「ため息をつくように息を吐いて。一番狭い所をカメラが通りますよ。ここを抜けたらラクになりますからね~・・・はい、通った!もうだいじょうぶですよ。そのまま呼吸してくださいね~」

技術的なことはわからないが、緊張をほぐすような声かけをし続けてくれて、モニターに映った胃の内部をずっと実況中継してくれるので、そちらに集中しているうちに難なく検査は終わった。

来年もぜひ、この先生に検査をして頂きたいと心から思う・・・

胃カメラ検査の結果だが、これが驚いたことにまったくの異常なしだった。

これまでは、必ず胃のどこかに炎症が見られたのだが、今年はそれがないそうで、特に生活は変わっていないし、どうしてだろうと思ったら、昨年と変わったことがひとつだけあった。

それは、昨年の10月からお姑さんが高齢者住宅へ入ったこと。

やっぱりストレスになっていたのだなぁと思う。

と言うわけで、人間ドックの話からお姑さんのその後の話に変わるのだが、あれからお姑さんの状態がやや改善してきた。

医師から「ナトリウムを多めに摂らせてください」との指示で、梅干を食べさせていたところ、意識障害が改善してきたのだが、やはり少し前の元気だった時に比べると認知症はより進み、椅子から立ち上がれないほど足が弱った。

以上のようなことで、施設の職員さんだけでは手が足りない為、しばらく家族が介助に行くことになった。

私も行くべきか迷ったが、自分自身の(胃の)為にも行かない方がいいだろう思った。それは夫や義姉たちにお任せすることにして、私は裏方に徹することにした。

また部屋を汚してしまった場合のレスキューやら今後の介護についての情報収集など、裏方としてできることをやろうと思う。

そのようなことで、今年も無事に人間ドックが終った。

これが終ると、冬がもうすぐやって来る。

 

 

 


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朝の電話

2019-10-02 15:44:38 | 介護

昨日の朝、9時になるのを待っていたかのように電話が鳴った。

父の時のトラウマなのか、朝の電話はいまだにどきっとする。

もしかして・・・と思ったら、やはりそうだった。

朝一番にかかってくる高齢者施設からの電話は、大抵あまりよい話しではない。

お姑さんに何かあったのだろうかと、緊張する。

電話の内容は、お姑さんが自室のトイレを詰まらせてしまったということだった。

置いてあった消臭剤のビーズを(2個あった)お姑さんがすべてトイレに流してしまい、トイレが詰まって水が溢れ出したとのこと。

あふれた水は部屋の外の廊下まで流れ出し、真下の部屋の天井からも水が落ちていると、施設の職員さんが冷静に話された。

「それは大変!すぐ行きます」と答えたら、実は問題はそれだけではなかった。

それは、数日前からお姑さんの行動が、いつもと違っておかしいということだった。

 数日前の夜中、お姑さんの部屋で大きな物音がするので、隣の部屋の人がお姑さんの部屋をのぞいた所、部屋の床には食器が散らばり、真っ暗な部屋の中に上半身裸のお姑さんが呆然と立っていたのだとか。

「どうしたの?」と聞いても答えられず、本人もよく分かっていなかったらしい。

 暑かったからパジャマを脱いだのだろうか?床の物はどうしようと思ったのかな?

職員さんの話を聞きながら、そんな考えが頭の中でぐるぐる回っていた。

そして、今回も夜明け前のまだ暗い時間、真下の部屋の人から水が落ちてくると通報を受けた職員さんが、お姑さんの部屋に駆けつけると、5センチも水がたまった真っ暗な部屋の中でぼーっと立っているお姑さんの姿を見つけたそうだ。

どちらも夜明け前のことだが、実は数日前からまた「眠れない」という訴えがしばしば起こるようになっていたらしく、寝ぼけたような状態になっていたのだろうか。

夜中に何をしているのかわからなくなってしまうという話も驚いたのだが、最後にもっとショックな話を聞かされた。

それは、食事の時に箸の使い方が突然わからなくなってしまったことと、食事の食べ方もわからなくなったという話。

「いつまでも食事に手を付けないので、箸を持たせてお味噌汁を飲むように勧めたところ、お味噌汁を口に含んだまではよかったのですが、飲み込むことをせず、うがいを始めてしまったんです」

そこまで聞くと、居ても立っても居られなくなった。

「すぐに行きます」と言って施設に向かうことにした。

とりあえず夫にも電話をしなければ・・・夫に電話をすると、市内に住んでいる二人の姉たちにも連絡すると言ってくれた。

夫に連絡をした後、すぐにお姑さんのいる施設に向かった。

お姑さんの施設に行くのは久しぶりで、物盗られ症状がひどくなってからずっと行くのをやめていた。でも、今はそんなことはどうでもよかった。

今できることを精一杯やらなければ、絶対に後悔する・・・なんて大げさだが、その時は本当にそんな気持ちで車を走らせていた。

「部屋の片づけと、危険で本人をひとりにできないので来てください」と職員さんから言われたのだが、施設に着いてみるとお姑さんはデイサービスの方で見てもらっていたので、部屋の片づけをすることにした。

置いてあった家具に5センチほどの高さまで水の跡が残っていて、職員さんの言っていた部屋に5センチも水がたまったという話は本当だったんだと驚いた。

しかし、幸いなことに詰まっていたトイレは元通りになり、水がついた天井や床、壁なども被害は深刻ではなかったため、修理費などはいらないとのことだった。(このような時の為に、お姑さん用の保険に入っているが、今回は使わずに済んだ)

その後、義姉たちも到着して3人で片づけをして、途中で夫も駆けつけてきたので、私はそこで帰宅した。

夫が帰宅してから話を聞いた所、急きょ主治医の先生の診察を受けることになったとか。

主治医のお話によると、数日前に本人から眠れないという訴えが何度もあった為、睡眠薬の量を増やしたそうだ。

もしかしたら、そのせいで一時的に意識障害が起きる「せん妄」が現れたのかもしれないとのことで、睡眠薬の量を減らして様子をみることになったようだ。

睡眠薬は不眠を訴える高齢者には有効だが、高齢になると代謝が落ちる為、薬の効き目が長く続いてしまうらしい。

やはり睡眠薬など脳に作用する薬は、単純に素人考えだが、こわいなと思う。

今後、薬を減らすことで、お姑さんの状態がすこしでも良くなってほしいと願っている。




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