外に出るたびに、何処で見ているのかわからないが、飛んで来てあとをついてくるカラスがいる。
このカラスとの出会いは、たぶん二年前。
「たぶん」というのは、カラスはみんな黒くて見分けがつかないからなのだが、思いおこせば二年前の冬に、賞味期限間近の非常食用の乾パンをカラスにあげたことがある。
もちろんカラスに餌をあげてはいけないとは思うが、カラス以外の野鳥には餌をあげて、カラスにだけあげないというのも不公平だ。
食べるものが少ない真冬の時期、カラスだってお腹を空かせているだろう。餌を探して公共のゴミ捨て場を荒らされるよりはいいかと、乾パンを3回くらい与えた。多分、飛んでくるのは、この時のカラスではないかと思う。
でも本当は、最初からカラスに乾パンをあげようと思っていたわけじゃない。
備蓄してあった乾パンの賞味期限が迫っていたので開けて食べてみたものの、不味くて家族は誰も手をつけず、捨てるのがもったいなかったというのが理由だった。
それにしても、あまり大きな声では言えないが、この乾パンは非常事態の時に避難してきた人に自治体が配る乾パンなのだそうだ。
これを配られてもなあ、、、というのが食べてみての感想だった。
背に腹はかえられぬ、お腹が空いていれば何だって美味しいのかもしれないが、地震などの大災害で精神的にも参っている身で、このパサパサで冷たい乾パンを食べるのはキツい。できれば温かいものが食べたい。
いや、それはあまりにも贅沢だと言うならば、せめてもう少し喉の通りが良いものにして欲しい。
な〜んてね。そういうものは、やはり自分で備蓄すべきなのだと思う。
話が外れてしまったが、カラスに話を戻す。
一昨年の冬に乾パンをあげたカラスは、その後はもう食べ物は与えなかったが、それから私の姿を見つけると飛んで来るようになった。
その度にカラスに話しかけた。
最初は「ごめんね、もう乾パンは無いんだよ」だったが、そのうち「今日もかわいいね〜」とか「羽根が綺麗だね」とか、「いいお天気だね」とか、世間話とか、、、
はたから見れば、完全にあぶない人だと思う。
そんなカラスとのつきあいが2年近くになるが、最近とても距離が縮まった。
今朝は、手を伸ばせば身体に触れられるくらいの距離まで来てくれた。
あまりに近いので腕を出したら乗ってくれるかもしれないと思ったが、そこは超えてはいけない一線?なので、かろうじて理性で押さえた。(笑)
間近で見たカラスくん(ちゃん?)は、けっこう大きかった。
くちばしも黒くて強そうだし、黒光りしている羽根も強そうだ。
でもパサパサに毛羽立っている頭の毛がチャーミングで、大きな目がクリクリしていて可愛かった。
「今日も相変わらずかわいいね」と話しかけたら家に入るまでずっと後をついてきた。
野生のカラスの寿命は10〜15年なのだとか。
出会ってから二回目の冬も無事に乗り越えてくれた。
これからもずっと元気で、遊びに来て欲しいと願っている。わたしの友だち、、、