「やっぱり複合型デイサービスに行くようにしてよかったですね。
お父さん、ずいぶんお元気になられましたものね」
父の顔を見に行った時、施設の看護師さんにそう言われた。
確かに最近の父は顔色がいい。
相変わらず眠っている事も多いが、面会に行って話しかけると、ちゃんとした答えが返ってくるようになった。
父が複合型のデイサービスに行き始めたのは今月の初めからだ。
そこは普通のデイサービスに比べると介護度の重たい高齢者が多いのだが、職員さんの数も多いので細やかな介護を受けることができている。
そして何より良かったことは、経営母体が父の住む高齢者施設と同じだった為、父の顔見知りの職員さんが多いということで、父や家族にとっては安心感があった。
デイサービスで父の様子を覗いてみると、父は椅子に腰掛けたまま、テーブルに顔をうずめるようにしていた。
デイサービスの職員さんによると、午前中はこうして何とか椅子に座って、他の利用者さんと一緒に過ごし、午後からは別室のベッドで横になっているそうだ。
やはり父には一日を起きて過ごす体力は、もう残っていないのだろうと思う。
テーブルに顔を伏せる寸前でやっと椅子に座っているような父の姿に、もう寝かせてあげたほうがいいのではないだろうかとも思うのだが、父の主治医の先生からは「とにかく筋力をこれ以上落とさないためにも、起きている時間を作りましょう」と言われているし、父を見てくださっている職員さんたちも「できるだけ起きている時間を作らなければ、本当にこのまま寝たきりになってしまいます」と口をそろえておっしゃるので、家族としては「おまかせ」をすることに決めた。
しかしこうやって起きている時間が増えてから、父は食欲も出てきたし、会話も増えた。
そして、何より顔にツヤが出てきた。
デイサービスに行く前の父は食欲も会話も少なくなり、もうダメかと思われるような状態だったが、それに比べると現在はとても元気になったように見える。
やはり複合型デイサービスに入れたことは正解だった。
人によって色々なケースがあるとは思うが、父の場合は無理をさせても起こしていたほうが良かったことは間違いがなかった。
「お父さん、しわもなくてツヤツヤのお肌しているね。うらやましい~」
そう言ったら父は嬉しそうにニヤッと笑って、私が差し入れた好物の甘酒をグビッと飲んだ。
父の食欲が無くなったおかげで、元々軽度だったが糖尿病と言われて高かった血糖値が下がった。
それで血糖値を下げる薬を止める事ができて、甘酒などの糖分を摂るお許しが出たのだった。
また糖分を摂って血糖値が上がることも心配だが、正直もうここまできたら、身体に悪かろうがなんだろうが、父の好きな物を食べさせてあげたいと思う。
飲み込む力も弱くなっているので、喉に詰まらせるような物は食べさせられないが、ゼリーや飲み物などで父の好きそうなものはたまに持っていくようにしている。
そして、いつまでも父のこの嬉しそうな顔を見ていたいと思う。
・・が、いつかは誰もがいなくなる様に、父の笑顔をこの世で見られる時間も、残り少ないのかもしれない。
高齢者は短い時間にあっという間にガタガタと弱ることが多い。
「お父さん、ずいぶん弱ったよ。できれば近いうちに、また逢いに来たほうがいい」
離れて暮らす弟にそう電話をしたら、来月初めに来ることになった。
弟が久しぶりに来ることを話すと、父は目を見開いてうなずいていた。
やっぱり息子が帰ってくるのは嬉しいのだろうなぁ。
来月は久しぶりにきょうだい揃っての食事会をしようと思う。
お父さん、ずいぶんお元気になられましたものね」
父の顔を見に行った時、施設の看護師さんにそう言われた。
確かに最近の父は顔色がいい。
相変わらず眠っている事も多いが、面会に行って話しかけると、ちゃんとした答えが返ってくるようになった。
父が複合型のデイサービスに行き始めたのは今月の初めからだ。
そこは普通のデイサービスに比べると介護度の重たい高齢者が多いのだが、職員さんの数も多いので細やかな介護を受けることができている。
そして何より良かったことは、経営母体が父の住む高齢者施設と同じだった為、父の顔見知りの職員さんが多いということで、父や家族にとっては安心感があった。
デイサービスで父の様子を覗いてみると、父は椅子に腰掛けたまま、テーブルに顔をうずめるようにしていた。
デイサービスの職員さんによると、午前中はこうして何とか椅子に座って、他の利用者さんと一緒に過ごし、午後からは別室のベッドで横になっているそうだ。
やはり父には一日を起きて過ごす体力は、もう残っていないのだろうと思う。
テーブルに顔を伏せる寸前でやっと椅子に座っているような父の姿に、もう寝かせてあげたほうがいいのではないだろうかとも思うのだが、父の主治医の先生からは「とにかく筋力をこれ以上落とさないためにも、起きている時間を作りましょう」と言われているし、父を見てくださっている職員さんたちも「できるだけ起きている時間を作らなければ、本当にこのまま寝たきりになってしまいます」と口をそろえておっしゃるので、家族としては「おまかせ」をすることに決めた。
しかしこうやって起きている時間が増えてから、父は食欲も出てきたし、会話も増えた。
そして、何より顔にツヤが出てきた。
デイサービスに行く前の父は食欲も会話も少なくなり、もうダメかと思われるような状態だったが、それに比べると現在はとても元気になったように見える。
やはり複合型デイサービスに入れたことは正解だった。
人によって色々なケースがあるとは思うが、父の場合は無理をさせても起こしていたほうが良かったことは間違いがなかった。
「お父さん、しわもなくてツヤツヤのお肌しているね。うらやましい~」
そう言ったら父は嬉しそうにニヤッと笑って、私が差し入れた好物の甘酒をグビッと飲んだ。
父の食欲が無くなったおかげで、元々軽度だったが糖尿病と言われて高かった血糖値が下がった。
それで血糖値を下げる薬を止める事ができて、甘酒などの糖分を摂るお許しが出たのだった。
また糖分を摂って血糖値が上がることも心配だが、正直もうここまできたら、身体に悪かろうがなんだろうが、父の好きな物を食べさせてあげたいと思う。
飲み込む力も弱くなっているので、喉に詰まらせるような物は食べさせられないが、ゼリーや飲み物などで父の好きそうなものはたまに持っていくようにしている。
そして、いつまでも父のこの嬉しそうな顔を見ていたいと思う。
・・が、いつかは誰もがいなくなる様に、父の笑顔をこの世で見られる時間も、残り少ないのかもしれない。
高齢者は短い時間にあっという間にガタガタと弱ることが多い。
「お父さん、ずいぶん弱ったよ。できれば近いうちに、また逢いに来たほうがいい」
離れて暮らす弟にそう電話をしたら、来月初めに来ることになった。
弟が久しぶりに来ることを話すと、父は目を見開いてうなずいていた。
やっぱり息子が帰ってくるのは嬉しいのだろうなぁ。
来月は久しぶりにきょうだい揃っての食事会をしようと思う。