アーティストのJUJUさんは、デビューしてからしばらく曲がヒットせず、音楽事務所からは、次の曲が売れなかったら契約解除すると言い渡されていました。
次の曲は、『奇跡を望むなら・・・』でした。
あるとき、ステージで、この曲を聞いていたお客さんから、一つの声が届きました。
それは、「ありがとう」の一言でした。
彼女は「ハッ」としました。
それまで彼女は、たんに「歌が好きだから」とうたっていたのでした。
しかし、「ありがとう」の一言で、自分の歌が、聴く人を元気にして、自分が他者から感謝されることに気がついたのです。
これを契機に、彼女は自分が歌えることに感謝するようになりました。
その後、『奇跡を望むなら・・・』は、「泣ける歌」として紹介されるようなり、多くの人たちの支持を受け、ヒットしたのです。
客席から聞こえた「ありがとう」のつぶやきが、彼女の歌に対する捉え方を変え、彼女の生き方までを変えたのでした。
このエピソードから、人は誰かが自分を必要としていると感じたとき、自分の存在価値を知るのではないか、と私は思います。
教育的には、自分がだれかの役に立っていると感じる気持ちを、「自己効力感」とか「自己有能感」といいます。
職場体験の学習についていうなら、体験で職場の人に感謝され、「ありがとう」とか「あなたのおかげで、助かったよ。よくやってくれたね」という言葉。
このように中学生が言ってもらえたなら、本人たちにとって、これほどうれしいことはないでしょう。
私は経験上、いままでに職場体験学習を通して、そういった実例にいくつかであってきました。
人から感謝された生徒は、体験後もイキイキと意欲的に学校生活を送っていくに違いありません。