①あの人は、早合点が多い。だからよく失敗する。
②あの人は早合点が多い人だとすれば、失敗をよくすることになる。
たとえ、「よく失敗をする」という同じ判断をしたとしても、①と②ではずいぶん意味あいが違います。
「〜だとすれば」という言い方は、はじめから決めつけをしているわけではありません。
一つの条件のもとで考えるとこうなりますというのが②です。
①のような固定的な見方は、思い込みや偏見につながることがあります。
ときには、自分の考えが思い込みやひとりよがりになっていないか、自らを顧みたいのです。
学校の先生が、「あいつは(私自身は、生徒のことを「あいつ」と表現するのも、好ましくないと考えています)こういう生徒だから・・・」と、同僚に話していることがあります。
その見方がきめつけになっていないか、自分のその生徒とのかかわりと自分の見方をふりかえることが、必要になります。
山田太一さんは、いみじくも『路上のボールペン』のなかで、次の通り述べられています。
それは多くの考えの中の一つの考えなのであるから、「だから」という言葉で結論と結びつけてはいけない。「そうだとすれば」という保留をつけなければならない。
①の表現は、私もですが、結論を導くときに私たちがよく使います。
私たちが陥りやすい誤りを、一歩踏みとどまらせてくれる教えだと思います。