
昔、流行った「スポ根もの」のアニメ、『巨人の星』では、父親である星一徹が、自分の息子である星飛雄馬に対して、「飛雄馬よ、お前は輝く巨人の星になれ」と言い聞かせていました。
また、『タイガーマスク』では、伊達直人に対して、「虎だ 虎だ 虎になれ お前は虎になるのだ」と、レスラーを養成する「虎の穴」の主(ぬし)が鼓舞しました。
その結果、星飛雄馬は巨人軍のピッチャーになり、伊達直人は悪役プロレスラータイガーマスクになりました。
翻って、子どもは、知らず知らずのうちに親からのメッセージを受け取ります。
このメッセージとは、家庭での親から子どもへの平素の言葉であったり、非言語のメッセージであったり、または親自身の生き方を指します。
この点で、子どもがどんな大人になるかは、親が意識的に、無意識のうちに発している言葉や生き方から、どんな人生のシナリオを作り上げていくかで決まっていきます。
思春期とは、自我に目覚める時期です。
だから、自分を見つめ、自分がどう生きるかというシナリオを書く大切な時期です。
また試行錯誤を繰り返して、シナリオを書き換えたりしている時期でもあります。
ということですので、中学生の時期が子どもの一生にとって、いかに大切であるかをご理解いただけるでしょう。
幸いにして、乳幼児期から子どもにとって楽しく、幸せなシナリオを書き始めていたなら、シナリオは順調に仕上がっていきそうです。
しかし、もしもシナリオが子どもにとって好ましくない方向に向きそうなら、その流れを思春期のときに書き換えていかなければなりません。
もちろん、大人になってから、その人が自身で書き換えることもできます。
(ちょうどタイガーマスクが反則ばかりする悪役レスラーから、フェアプレイをする正統派レスラーに生まれ変わったように。)
しかし、一般的には、思春期はシナリオを書き換える最後の時期だと考えていいでしょう。
だから思春期の中学生の親御さんは、子どもの心に寄り添い、子どもと向き合い、子どもを包み込む子育てが必要になります。
それは、まとめていうと「あなたをのことを、何よりも大切に思っているよ」という言語的・非言語的メッセージです。
ときとして、言葉にして、「大切な私の子どもだよ」と機会を見つけ伝えます。
また、言葉にはしなくても、親が一生懸命に生きている姿や働くなかで充実した生活を送っている態度をわが子に示すことで、子どもはシナリオを作りあげます。