Miaou:猫と一緒にフランス語

長い道のりを猫と共に行きつ戻りつ

仏独共同歴史教科書

2006-05-27 11:49:26 | フランス語
1日1つフランス語のニュースも読みましょうということで、今日は仏独共同歴史教科書についての記事を読みました。

今から3年前の2003年フランスのシラク大統領とドイツのシュレーダー首相(今のドイツは、アンジェラ・メルケル首相)が共同で「共同の歴史教科書を作る」と発表しました。
歴史はしばしば各国間の政治的な大きな争点になるため、2つの国が共通の歴史教科書を編纂することなど今までには例がありませんでした。
ここで、Le Figaroの記事は日本と韓国・中国、そしてパレスチナとイスラエルの例を挙げています。

Certains manuels japonais passent ainsi sous silence les exactions(暴虐、略奪) de l'impérialisme nippon, ce qui suscite(感情などを掻き立てる) les protestations récurrentes de la Chine et de la Corée. Des historiens israéliens et palestiniens ont récemment tenté l'expérience mais ils s'étaient contentés de juxtaposer(並置する) des versions contradictoires.

しかし仏独間には大きな困難もなく、主な論点は第二次世界大戦についてではなく、戦後アメリカが世界の中で果たしてきた役割への評価についてだったそうです。フランスはドイツをNATO支持者だとみていたし、ドイツはフランスが反アメリカのスタンスを取っていたとみなしていたのだそうです。

"les Français trouvaient les Allemands atlantistes(NATO主義者) et les Allemands estimaient que nous avions une vision antiaméricaine."

しかしこの点については、議論を尽くしバランスの取れた文章を作り上げるにまで至ったとか。

もひとつの思わぬ障害(autre pierre d'achoppement)は、以前の中央ヨーロッパの民主主義に関する部分で、ドイツはもっと批判的なアプローチをしたかったそうです。中央ヨーロッパってどこの国のことを言うのでしょうか?ルーマニアあたりでしょうか?

また、フランスではよく使われている laïcité(政治や教育が宗教から独立していること) や devoir de mémoire(記憶の義務??←意味不明 )をドイツ語に置き換えるのも大変だったそうです。

またフランスとドイツ、それぞれの国の歴史学習法の違いも見えて興味深いです。
フランスは文献や資料を調べていく方法(ワークショップってヤツですか?)をとるのに対して、ドイツでは歴史の物語を読むことや年表を追う方法をとるのだそうです。

Car les Français ont l'habitude de travailler sur des documents tandis que les Allemands préfèrent les récits et les chronologies. 

日本はドイツに近いですね。
それにしても、日本が韓国や中国の共同で歴史教科書を編纂できる日などやって来るのでしょうか・・・。




「戦場のアリア」の猫

2006-05-27 00:16:24 | 映画
やっと観てきました「戦場のアリア」

これは、第一次世界大戦中である1914年のクリスマスイヴの夜に起こった実話を基にした映画です。
フランス北部の最前線でにらみ合っていたフランス、スコットランド組とドイツ、それぞれの小隊がクリスマスイヴの夜から翌朝にかけてのほんの短い時間だけ銃を置き、一人一人の人間同士としての心を通わせた、その様子を描いています。
詳しいあらすじなどは、オフィシャルサイトにお任せするとして、やはり、猫好きのわたしとしましては、映画の中に出てきた猫が気になるのです。左の写真は塹壕の中でささやかなイヴの食事を楽しむフランス兵。スコットランド、ドイツの塹壕でもそれぞれにイヴの夜を祝っていました。スコットランド兵が、差し入れられたバグパイプを演奏したら、次はドイツの塹壕から徴兵されていたテノール歌手が「きよしこの夜」(だったと思うのですが・・・)を歌い、それにスコットランド塹壕からバグパイプの伴奏が付きます。それを耳にしたフランス兵は、塹壕の外で何が起こっているのか訝しがっています。
そんな、フランス兵の中で一番手前に座っている人の膝の上にいるのが茶トラ猫、名前はネストール。

この後、3つの隊のリーダーが中間地点で話し合い、「今晩は休戦しよう」ということとなります。そしてフランス軍中尉が部下に向かって「シャンパンとグラスをもってこい」と命令するのです。
そうか、フランスは楽器も歌も提供できない代わりに、シャンパン&ワインを提供するのか・・・とその時思いましたよ。   

さて、中間地点に集まった3つの国の兵隊さんたち。最初は警戒もしていたのですが、家族の写真を見せ合ったり、ワインで乾杯したりして、交流が始まります。
そして、ネストールですよ。あるドイツ兵が「これは、オレの猫、フェリックスだ」と言い始めます。しかし当然、フランス兵は「いや、これはネストールだ」と言って譲りません。
そう、この猫は両方の塹壕を行き来していたのです。

劇場で公開された映画では描かれてはいませんでしたが、この映画の監督クリスティアン・カリオン(Christian Carion)さんのインタビュー記事を読むと、この猫は悲惨な運命をたどるのです。
クリスマスの休戦から現実に戻ったフランス兵は「両国に通じていた」という罪で猫を殺してしまうのだそうです。監督は、”猫を殺すことによっても、戦争の不条理(l'absurdité)を表現したかった”のだそうです。劇場公開版ではその部分は描かれていませんが、DVDにはそのシーンも入れるとインタビューでは語っていました。

DVDは観ないよ・・・アタシ。

そうそう、思いもかけず私にとっては嬉しいサプライズ。Michel Serrault(ミッシェル・セロー)がドイツ軍に接収されたお屋敷の主役でちょこっと出演。エンドクレジットでは「特別出演」という分類でしたね。