高島平発・文化的居場所「ミストラル」への夢

地域をファッション・音楽・お酒の“文化”の力で元気に!……地元に文化的な居場所作りを模索しています。

もしも佐藤可士和が「省エネルック」をプロデュースしていたら・・・。

2007年09月10日 21時30分25秒 | ●美意識・ファッション・デザイン私的考察
気に入った本に出会えると何冊も買い、人にプレゼントしたくなることがあります。

そんな思いで最近、pen BOOKS発行の「1冊まるごと佐藤可士和」を読んでいます。

彼の名前を知らなくても手掛けた広告を見れば、どなたご存知だと思いますが、博報堂を退社後、「サムライ」を設立してアートディレクションから、プロダクトデザインまでこなす、いま最も力のあるクリエーターと云えるでしょう。

古くはHONDAのステップワゴンの広告で話題になり、キリンチビレモン、キリン極生、SMAPのキャンペーン、ユニクロのニューヨーク進出、明治学院等のブランディングからアートディレクション、携帯のFOMA N702iD 、キッズケータイSA800iのプロダクトデザインなど、成功させたジャンルは多方面にわたります。

本当のデザインとは得意先の理念や、商品ビジョン、業界ポジショニング等を理解した上で、一般消費者への企業のブランドイメージ構築から効果的な購買促進を図るものだと思うのですが、彼の成功はその“企業と消費者の背景”の理解に他ならないと思います。

彼のようなクリエーターがたくさんいたら、世の中がデザインの力でもっと楽しくなるのでしょうね。

そして、今年のような暑い夏になると思い返すのですが、第2次オイルショック後の1979年に登場した、あのスーツの袖を半分に切った「省エネルック」のことを・・・。

一体誰があんなデザインしたのだろうと考えちゃいます。とにかく、なんとも“奇妙”で“短絡的発想”の代物でした。

まあ、150年前の背広の原型になった「ラウンド・ジャケット」から、時間をかけて洗練させていったスーツのバランスを、安易に壊したのだから格好いい訳ありません。
日本の着物を暑いからといって、ヒジやヒザのところでカットしたようなものですから。(事実、伊勢丹で売れたのは5着だけだったとか・・・)

オマケにネクタイ代わりにコーディネート例とされた、怪しげなペンダントだけが生き残り、今や“老人らしさ”をより演出するファッションの1アイテムに。

もしも佐藤可士和が「省エネルック」をプロデュースしていたら、文化後進国を露呈しなくて済んだのでは?

佐藤可士和の活躍を見るにつけ、そんな思いを強くした今年の夏でした。

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