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抜き書き帳『黄昏旅団』(その6)〈英訳付〉

2016年09月04日 | 小説・映画等に出てくる「たばこ」
【271ページ】
「あの人(ユキ・アキラ)はよく知っていました。ほとんどの人間は、自分がどう生きればいいのか、どんな望みを抱けばいいか、何を捨てて何を守ればいいか、そういうことを絶対的な誰かに教えてもらいたがっているんだって。他人に従属するのって、屈辱や苦痛にもさらされるけど、ある面では充足感や快楽にもつながるものだから。あの人は酸欠のようになった貧困者にたっぷりと救いや喜びをあたえて、次にそれらを奪いとって、内服薬のように適度に与えたり与えなかったりすることですっかり服従させてしまうの。そのためのツボのようなものをわきまえていて、それはときどき舌を巻くほどだった」

[ken]ここでの「人たらし術」については、哲学や心理学でも数多く語られてきた論点です。
具体的にはニーチェの「貴族と奴隷」論であり、心理学ではフロムの「自由からの逃走」にみられる根強い慣習であり、現代に至っても「指示待ち人間」として顕在化しているといえるでしょう。
私は何事においても「受動的」な傾向にあり、63年間を顧みても「能動的」に自分から仕掛けて成功した体験が皆無に近いのです。
この年齢になると、なおさら苦手なことに時間を割かず、好きなことに絞っていこうと思うのです。(つづく)



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