まずは、私のお気に入りの落語家さん、智丸さんの登場。得意の「転失気」、今回で四回目。変な力みもなく淡々と噺を紡いでいく智丸さん、ほんま好きですな。
何かの会にお伺いして、大ネタもみいてみたいですな。
こんな噺されているときの鶴二さん。お気楽さがふわりと出てきて楽しい高座に。でも後半の無言の行からは、仕草で落語を進めなくてはと、案外パントマイムのごとく、気を使うネタですな。
一度だけ先代の染丸さんで聴いたことがある、レアな演目「莨の火」。やはり林家のお家芸、うさぎさん、しっとりと聴かせてもらいましたで。顔もふっくらしてきて師匠の染丸さんに似てきたので「景清」「猿後家」「悋気の独楽」あたり聴いてみたいですな。
五、笑福亭鶴二・・・・「宿屋仇」
「井八!」と「源やんは色事師」のセリフが頭にこびりつく「宿屋仇」。でも、ええ歳の男がほたえることができる友というのはええもんでおますな。
天満天神繁昌亭
五、笑福亭鶴二・・・・「宿屋仇」
2021年12月5日(日)午後6:00開演
天満天神繁昌亭
一、桂白鹿・・・・・「時うどん」
どこかとぼけた味がある白鹿さん。アホが翌日行くうどん屋の屋号は「味わい企画」とはこんな遊びとは余裕、さりげなく宣伝するあたりはさすが筆頭弟子。「引っ張りな」の袂のキレはよろしおましたで。
二、笑福亭鶴二・・・「宿屋町」
「こぶ弁慶」につながる頭の大津の宿の喜六清八。電話もなかった時代、前もって予約するという習慣がなかったんで、その日に泊まり宿を探す。でも客引きと戯れながら宿を決める、これも旅の楽しみの一つだったんでしょうな。
私の独演会ではないので「時うどん」で充分ですのに、「へっつい幽霊」をと鶴二師匠のリクエストで、そこは上手くコンパクトまとめながら、」あのへっついのを返しに来る客がさけぶ「どーぐやゃ」。師匠の三喬さん、大師匠の松喬さんを彷彿、いやエスカレートして喬介さんの「どーぐやゃ」、大いに楽しませてもらいましたで。
近大仲間の四人さん。普段の鶴二さんがいかに親しみやすいか、喬介さんが入門したての時からの、鶴二さんへの憎めないタメグチのオンパレード。鶴太さんとかそんなのが集まってくるとか、でも沢山の噺家さんに噺つけられてるとか。やっぱり本寸法でそれでいて面白いですもんね。
五、旭堂南龍・・・・「扇の的」
「源平盛衰記」のきかせどころ屋島の決戦の「扇の的」。那須の十一番目の子である那須与一崇高が見事、扇の要を打ち抜く、そこに居合わせた源平の者たちも、客席の私たちも拍手喝采・・このハッピイエンドがよろしんですな。
2009年の鶴二独演会
2021年12月5日(日)午後6:00開演
天満天神繁昌亭
一、桂白鹿・・・・・「時うどん」
二、笑福亭鶴二・・・「宿屋町」
仲入り
五、旭堂南龍・・・・「扇の的」
当初5月1日で予定されていた鶴二さんの独演会、コロナの緊急事態宣言で中止に、今回も危ぶまれましたが開催でほっと。
まずは、恩狸さんの「狸賽」、ターちゃんの目のだし方も独特で、二は両眼ですが、一はケツの穴ではなく片眼。三は両眼を分身の術で倍にしてひとつつぶると、少しややこしいですが・・これが伏線、仕込みで。オチは・・お楽しみに是非恩狸さんの「狸賽」聞いてください。何にしても創意工夫、よろしおますな。
二、笑福亭鶴二・・・「遊山船」(鶴志兄さんを偲んで)
5月8日が兄弟子鶴志さんの命日、独演会が伸びたので少しずれましたが、鶴志さんを偲んでの落語会。兄さんに稽古をつけていただいた中から「遊山船」を。夏の風物詩みたいな夕涼み風景、鶴二さんのアホの喜ィ公の無邪気さ・・よろしおますな。
よかったですな。最高でおます春蝶さんの「やかん」。知らぬものはないと広言している隠居のもとへ無理難題を吹っかけてくる主人公。その質問が秀逸、春蝶さんのセンスが際立つ。後半は「やかん」の由来を語るのに隠居大好きなデタラメの講談で煙に巻こうとする。このくだりあの「狼講談」を彷彿させる。大熱演、一つの落語で二つの落語を聞いたような充実感、何度でも聞きたくなる、十八番とも云える春蝶さんの「やかん」でおました。
鶴志兄さんを偲んでの座談会。春蝶さんは親父先代の春蝶が落ち込んだ時に、鶴志さんがヨイショで助けたとだから息子のお前がその負債を返せと・・、鶴二さん、呂好さん、白鹿さんは、皆東大阪の「ゆとりーと寄席」がらみ。白鹿さんな一度もなく名前で呼ばれたことは一なく、師匠の文鹿さんがらみで「線香」としか呼ばれたことがなかったと。鶴二さんは、地方へ二人で行った営業先で、鶴志兄さんが気分悪くされて当たり散らしたエピソードをご披露。皆さん鶴志師匠、怖かったですがその分優しさもあった師匠であったと、たっぷりに思い出を語る。
華やかな舞台とは裏腹に、役者の世界の「役付け」をめぐる中村仲蔵の葛藤を描く。芸事には「守・破・離」という言葉がありますが、創意工夫をするということ、ある日そのヒントを得るというのは、常に芸事を極めようと一心不乱に考えているからですな。黒羽二重の紋付に五分月代、大小赤の落とし差しに尻端折り、こわれた蛇の目傘の半開き。鶴二さんの定九郎の見場の良いこと、かっこよろしおま。・・・ほんま鶴二さんの「中村仲蔵」よろしおますで。
尚、中村仲蔵が「忠臣蔵」の定九郎で評判をとったのは1766年(明和3)九月の市村座。今から250年も前の出来事でおます。
一、桂恩狸・・・・・「狸賽」
二、笑福亭鶴二・・・「遊山船」(鶴志兄さんを偲んで)
三味線・・・・・・佐々木千華
古
笑福亭鶴二落語会~みさを寿司~2021.07.11
今日は、「持参金」ではないですが、お食事付きの落語会、いや落語付きの食事会、いずれにしても落語はたっぷりの「中村仲蔵」ですし、お食事は豪華幕の内に始り、上にぎり、大海老の天ぷら、そしてはものお吸い物とフルの寿司和風幕の内、美味しいし、楽しいし、満足度120%の鶴二さんの実家、“みさを寿司”での集い(落語会・食事会)でおました。
②、笑福亭鶴二落語会inみさを寿司
限定20名様のミニ落語会。
笑福亭鶴二落語会~みさを寿司~
2021年7月11日(日)午後3:00開演
北巽・みさを寿司
一、笑福亭鶴二・・・・「中村仲蔵」
③、豪華な幕の内
④、上にぎりと水菓子
⑤、はものお吸い物
この前に大海老と野菜の天ぷらがありました。
新生第12回・名人は誰だ?~2021.04.10
「まん防」の中、熱心な落語ファンが集まる。通常の6時開演、30分短縮の8時半終演のため、マクラも少なめに噺をじっくりと濃縮の高座が続く。この会、各人、各一門の匂いが明確にでておもしろおます。
一、笑福亭鶴太・・・・「平林」
話しっぷりは達者な鶴太さん。ただし訛りが気になるので、名鑑をみると九州飯塚の出身。船場、大阪、京阪神、関西、西日本、と大きくなればなるほど落語の世界から遠のくようで、ちょいと気になってしまいますな。先は長い落語家人生、上方落語の標準語、大阪弁、ものにして欲しいですな。
でも、高座は、明るく楽しい、鶴太さんの「平林」でおました。
二、桂梅團治・・・・・「ノンフィクション」
撮り鉄の梅団治さんの普段の一日を紹介。貨物列車などいつどこにどんな編成で列車が通ると、蛇の道はへびで情報を収集、朝駆け、夜がけで出掛けていく。落語でも師弟、撮り鉄でも師弟、でも撮り鉄での師匠は小梅さんとのうわさがありますが、いずれにしても親子で師弟とはある面羨ましくもありますな。
落語は、演者が楽しんでいる落語はこちらまで和んできますが、そういう意味で梅團治さんの「鉄道落語」まさに、鉄道用語一つ喋るだけでニコニコ、大いに楽しんでおられますな。
三、桂米輔・・・・・・「牛の丸子」
めったに高座にかかることのない「牛の丸子」、私も生喬さんで10年目に一度き聞いただけの珍品。ネットもSNSもなくて情報が限られていたからこそできた話。「大和炬燵」は使ったことも見たこともなかったですが、布団をかぶしたり、灯り取りに使ったり万能だったみたいですな。今のテレビのコマーシャルなど見ていたら、健康食品や化粧品、はたしてどれぐらいの効用があるのか疑問ですな。米輔さんの味のある一席でおましたで。
四、桂阿か枝・・・・・「近日息子」
もう阿か枝さんの50歳とか、結構好きな「近日息子」、あの長屋の連中がことばの間違いに謝らない男に文句を言い立てるところがミソ。ここのところ、言葉は悪いがガラの悪い落語家さんの方がストレートにおもしろい、そこでいうと阿か枝さん、生粋の品の良さが出てしまって上品ですな。でも、今度「百年目」されるとか、ゲストが春若さん、直伝の「百年目」ですか、こういう話はたのしみですな。
五、桂春若・・・・・・「子ほめ」
師匠の三代目につけていただいた「子ほめ」、今日はその通りにさせていただきますといいながら、時事ネタを随所にほり込みながら、楽しんでおられる余裕の一席。ベテランの前座噺はやはりおもしろいですな。
この会でも、開口一番の次の方には、前座噺、積極的にかけて欲しいですな。
六、笑福亭鶴二・・・・「中村仲蔵」
大当たり・・鶴二さんの「中村仲蔵」、大当たり。
仲蔵の奥さんよろしいな、旦那を励まし、旦那を遠回しに諭す。男ってやはり認めて貰いたいという動物、それが得られないときは失意のどん底、一番近くにいる師匠であり、一番のファンである、そういう意味で良い女房でおますな。
仲蔵が芸を磨き、役の工夫をして「五段目」の斧定九郎の役作りをするところ、踊りの素養のある鶴二さん、きれいな立ち姿、かっこいいですな。「百年目」「らくだ」に続いて聞きたい大ネタまた一つ「中村仲蔵」できましたな。
新生第12回・名人は誰だ?
2021年4月10日(土)午後6:00開演
天満天神繁昌亭
一、笑福亭鶴太・・・・「開口一番」
二、桂梅團治・・・・・「ノンフィクション」
三、桂米輔・・・・・・「牛の丸子」
四、桂阿か枝・・・・・「近日息子」
仲入り
五、桂春若・・・・・・「子ほめ」
六、笑福亭鶴二・・・・「中村仲蔵」
三味線・・・・入谷和女
笑福亭鶴二独演会~2021.02.20
今日はコロナ緊急事態宣言中なので、6時30分開演の仲入りなしの9時終演、実質90分の時短での独演会。
時間に制限のある中で急ぐこともなく堂々の一席、この度胸の良さ貴重ですな。回数が増えるにつれて、顔にも、台詞にも、すべてに余裕がでてきてこちらもじっくり落語が聞けるように・・・「東の旅・発端」、「煮売屋」、次回は「平林」とかドンドン成長する夢二さんますます楽しみですな。
前座噺の「時うどん」、時短の中でも大いに遊ばれて逆に新鮮な一席。ベテランの演じる前座噺・・たまにはさんで貰うのもよろしおますな。
でも、途中の喜撰での鶴二さんのええ声、いつもなら拍手がわくところですが、時短で先を急いているようで客も拍手は遠慮しましたな。最後は鶴二さん得意の「すり鉢」で喜ぃ公が屋根の上に上がるまでたっぷりと・・時短ながら、じっくりと聞かせてもらいましたで。
兄弟子の新治さんが良く演じられる「狼講釈」。やはりニセ講釈師が、立て弁で五目講釈を読むところ、汗が飛び散るぐらいの紫さんの全力投球のパワーあって見ごたえあり、立て弁はいつ聞いても感心の一言ですな。
このまえ、動楽亭で聞いたばかりの「不動坊」。いまから思うとこの日の独演会用に時短バージョンの練習だったんですな。噺を短くする、これだけでも噺家さんの技量とセンスが伺えますな。さすが鶴二さん濃縮還元100%の笑いでしたが、私は自然100%のの、風が舞うようなほほんとした落語が好みですな。
笑福亭鶴二独演会
2020年2月20日(土)午後6:30開演
天満天神繁昌亭
一、笑福亭夢二・・・・・・・・「煮売屋」
二、笑福亭鶴二・・・・・・・・「時うどん」
三、笑福亭鶴二・・・・・・・・「稽古屋」
四、露の紫・・・・・・・・・・・・「狼講釈」
五、笑福亭鶴二・・・・・・・・「不動坊」
三味線・・・佐々木千華 鳴り物・・・桂白鹿、桂雪鹿
独演会だけに、いっぱいのお祝いのお花
松竹と吉本と米朝事務所が花の競演、一堂に介するとは。
開場前に満員御礼・札止めでおます。
良い演者が揃うと、ファンは押しかけますな。
私も1時丁度に着いたのに43番目(定員50名)にギリギリセーフ。
「落語初心者なんですが、お尋ねしても良いですかと」いろんなことを尋ねてこられる。コロナで家に居て初めて落語に出会っておもしろかったと・・・。
聞くと南天さん、一之輔、はたまた志ん朝さんまでが気に入ったと、なかなかの筋の良さ・・上方には真打ち制度がないことや、前座さんは羽織は着れないとか、今日の各落語家さんの中トリ、モタレ、大トリとか出番での噺の選び方、お役目とか、いろんなことお話させてもらいました。
美人のお嬢さんにあれこれ喋っていると、開演前の時間もあっという間に過ぎましたな・・・沢山落語聞いて、大いに落語好きになって欲しいですな。
さすが米朝一門の前座らしく、高座に上がるなりマクラもなしに男が飛び込んでくるところからスタート、「鳥の捕り方をいろいろと考えてますのや」、ああお父さん枝雀さんの十八番「鷺とり」。庭いちめんの雀から、田んぼの鷺、そして北野の円頓寺の鷺まで、宙天高く浮かびあがるとこまで、きっちと演じる。
ところどころに、ちらりと見える枝雀さんの匂い、この後のニワカで遊ぶりょうばさんのフルバージョンの「鷺とり」早くみたいですな。
私も染左さんんで一度しか聞いたことのない珍しい噺を、二乗さん。終わった後に後ろのお客さん「二乗さん、上手いな」の一言。途中の「オッサンとこの嫁はん」のフレーズだけが印象に残るぐらいなんでもないところを膨らまして笑いを取る、ほんま控えめながらも独特のええ味が出てきましたな、まさに実力発揮の一席でおます。
三、桂しん吉・・・・「駅名選定委員会」
「乗り鉄」で師匠以上に出てくる梅団治さんとの「鉄ちゃん」仲間のハナシ。
関空快速は323系と昔の環状線は201系とか車両の番号が飛び交いマニアックブリ発揮。
そして噺は久しぶりにおなじみの環状線の各駅の名前をリニュアルしようと集まった「駅名選定委員会」。二年後にはうめきた地下駅、北梅田駅(仮称)ができるらしいが、しん吉さん公私ともどもワクワクですな。
四、笑福亭鶴二・・・「不動坊」
米朝一門の中に文珍さんと飛び込んだ鶴二さん。そこは笑福亭のおもしろさをと、中トリながら時間を意識してあちらこちらを端居りながらの「不動坊」、でもグイグイとおもしろさだけは充分押し出しながらの一席。遊芸稼ぎ人ではオチの説明が必要なんで、幽霊役を講釈師を落語家に変えてのオチに・・・。普段は端麗に見えている鶴二さんですが、米朝一門に囲まれると、笑福亭の骨太ぶりがやはり際立ちますな。
今週20日は繁昌亭で独演会、そこでも「不動坊」、フルバージョン堪能致しますで・・・。
五、桂南天・・・・・「時うどん」
モタレ役の南天さん、そこは軽く「時うどん」ですが、米朝一門のひとりで食べるのではなく,喜六、清八、のふたりバージョン。もちろん、南天ワールド全開に、喜六が翌日ひとりで行ってうどん屋に「おつれさんもつけましょか」というくだりで、「ここに居てるんやから、ちゃんとここを見て言うていや」
「軽い噺でも思ってたんですが、こうして前のモタレ役の南天さんが敢えて軽い噺でつないでくれたので、きっちとした噺しますわ」と、お茶屋のはなしを始めるので、「茶屋迎い」かと思いきや「子ども、定、定吉」、ええ、「たちきり」や、文珍さんの「立ち切れ線香」が聞けるとは、笑いは少ないが船場の若旦那と芸妓小糸との悲恋物語、しんみりと聞かせてもらいました。
終わったら、隣のお嬢さんが涙ぐんでるのを見てこちらまでグッときましたな、コロナ禍で人との関りが避けられていますが、やはり心の襞にしみいる落語の世界ってよろしおますな。
2021年02月16日(火)午後2:00開演
一、桂りょうば・・・「鷺とり」
三、桂しん吉・・・・「駅名選定委員会」
四、笑福亭鶴二・・・「不動坊」
仲入り
五、桂南天・・・・・「時うどん」
最期はきっちり、お酒のお噂で・・・「猫の災難」。