ごまめ~の~いちょかみ・Ⅱ

趣味(落語と本)の話と大好きなうどんを中心に、ごまめになってもいちょかみで幅広くお届け

ハナシのはじまりか~明烏

2010-11-17 06:33:36 | 本の少し
明烏 落語小説傑作集 (集英社文庫)
小松 左京
集英社

☆☆

落語にちなんだ噺が四作。本の題になっている、「明烏」よりも、
二作目の「天神山縁糸?w環」(てんじんやまえにしえのおだまき)が、
おもしろい。

ここにでてくる、桂文都は、桂米朝氏であり、
大杉先生は、作者自身の、小松左京氏である。

この二人が落語の世界で、絡む、場所は「天神山」の舞台、一心寺で、
小糸の墓を探す。落語会でのネタは「立ち切れ」・・・そして舞台の上で
三味線の音が・・・・。

TVの「ちりとてちん」、や田中啓文さんの「笑酔亭梅寿、ハナシシリーズ」の
原型は、この左京さんの「天神山縁糸?w環」にありとみた。

大森望さんが、後ろの解説にて、コンパクトに述べられているので、
そのまま写させていただくと、

「天神山縁糸?w環」、問題小説1975年11月号初出
上方落語の「天神山」と「立ち切れ」を組み合わせ、落語という芸能の本質に
迫りつう、楽屋噺まで、盛り込んで、現代的な人情噺に仕立て上げた奇蹟の様な
傑作。のちに上方落語界初の人間国宝となる・桂米朝の至芸を活写した落語論
としても出色の出来ばえだ。小松作品のみならず、落語をモチーフにした
あらゆる短編小説の中でも、これに太刀打ちできる作品はいくつもないだろう。
上方落語ファンを自任しながこの傑作を未読の方がいたら、この一編のため
だけにでも本書を購入する価値があ・・・・・と。・・・べた誉めである。

「ハナシ」のはじまりは、この「明烏」か・まずは、読むべし。


コメント (3)
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