こういう了見 | |
クリエーター情報なし | |
WAVE出版 |
東京の噺家さん、古今亭菊之丞さんの本。
生で聴いた事もないのに、なぜか、図書館で手にしてしまった本。
平成三年入門、まだ40才、現役で、本音を書けば、あとあと支障があるのに
芸能生活20年をあからさまに述べている。
師匠は、圓菊さん。特に三年間の前座時代は、師匠の小言を一手に引き受ける。
兄弟子にも怒られっぱなし。普通なら辞めてしまう様な扱いにも絶え抜く。
辞めようと思ったことはないが、死のうと思ったことはあると、
そんな時、おかみさんは、察知して、「あんた、つらい?」、はい、と小声で答えると、
「稽古してりゃ忘れちゃうのよ、稽古してりゃ」・・さらりと一言。
一生懸命稽古してみたら、その間だけはつらいことを忘れちゃう。
稽古をしていれば、自分がどんなに落語が好きだったかを改めて感じることができる。
理不尽なことだらけではあるけれど、我慢するしかない。
どんなことにも対応できるようにするのが修業なんです。
その裏にあるのは、「落語が好き」という気持ちだけです・・と。
稽古をつけてもらうのもひと苦労、でも師匠圓菊の言葉で一番心に残っているのが、
「落語は演じるな、語るな、しゃべれ」。技術論はいっぱいあるけれど、師匠のは究極の一言です。
上方でもそうですが、前座時代、要領も覚えも悪い、いつ辞めても構わない様な落語家さんが
時が経てば、師匠の本筋を継承しているのは、よく目にすることですが・・・。
こういう了見、とはどういう了見・・・・「江戸の匂い」色気と艶を感じさせる菊之丞さん。
読めば、ますます、生の高座が楽しみになりましたな・・・。
にほんブログ村に参加中。
クリックで応援、よろしくでおます。
↓↓↓
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます