ごまめ~の~いちょかみ・Ⅱ

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つらい人生~噺の咄の話のはなし・春風亭一柳

2010-11-02 07:30:10 | 本の少し
噺の咄の話のはなし (1980年) (ヤゲンブラ選書)
春風亭 一柳
晩声社


「噺の咄の話のはなし」・春風亭一柳・・・・・・「つらい、人生ですなぁ」

前回読んだ、さん生(川柳)さんの「、ガーコン人生」に連れの好生(一柳)さんと
共に、師匠の円生さんに感情のもつれから、真打昇進も遅れ、結局遠ざけられる
存在になっていく。

落語界の師匠と弟子は親子、でも馬が合わないとかで、この関係が崩れると、
これは、悲劇としか言い様のないものになる。

でも、師弟間のもつれは、この世界では、どんな場合でも、弟子に非があると
考えるのが、常識になっている。それは、弟子の方から選んだことであり、
師匠の方から、決して、勧誘などした訳ではないからである。

ただ、師匠とうまく合わなくても、好きな落語を愛し、その腕を磨くことを
拠りどころにすれば、何も問題は無かったと思えるが、
それを、酒へと、自分の逃避の道を、結びつけたことが、つらい人生の始りである。

自分は悪くない、悪いのはすべて、師匠であり、周りのものである。
そして、そんな自分にも嫌気をさす、まさに、鬱病患者の典型症状である。

1979年9月、円生師匠は亡くなり、この本の最初の出だしで、
「うれしかった師匠の死」と書いているが、2年後の7月、追かけるように
一柳さんは、自宅であった団地の屋上より投身自殺で亡くなる・・
・・・・・・・享年45才であった。

「つらい、人生ですなぁ」





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1 コメント

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あの師匠も辛かったのでしょうけれども (明彦)
2010-11-04 00:30:36
この本を読んで一番やり切れなかったのは、プロの噺家という選ばれた存在(と、敢えて言います)になりながら、落語に対する情熱(特に語ることの喜び)が、全く伝わって来なかったことです。
同じ病気に苦しみ、同じような悲しい亡くなり方をしながら、一方では今なお大勢の人を楽しませ、決して忘れられることはない師匠もいる。
この差はどこから来たのかを、ごまめさんに教えて頂きました。
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