ごまめ~の~いちょかみ・Ⅱ

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らくご小僧~立川志らく

2011-10-18 05:56:53 | 本の少し
らくご小僧
クリエータ―情報なし
新潮社

☆☆

これもまた、才能がほとばしった、立川志らくの本。
少年時代から、落語家入門を決心するまでの、出来事を落語の、なぞなえて進めていく。
いかに、落語が普段の生活に浸透しているか、またその後の志らくの古典落語が現代に活き活きと新鮮に投影されているのが解る。

好きな女の子との想い、妄想は「湯屋番」であり、人にさからわない友達、出井君紹介では「太鼓持ち」
癇癪持ちの山田君は「大工調べ」、林間学校での大騒ぎは「宿屋仇」と次々、落語の世界が現在に、今の出来事を、落語の世界に。
行ったり来たり、自在にタイムトリップさせてくれる。

友達に仕返しをするがそこからの教訓は「天災」であり、ピアノ先生の怒りは「堪忍袋」で紹介。
自分小さい時分の我儘ぶりは「初天神」になぞなえ、タレントになるべく、日大芸術学部を目指す気持ちは、一途であり、
映画小僧、落語小僧として、真直ぐな信念をもった者が登場する「井戸の茶碗」がでてくる。

尻尾が生えてくる奇病の為入院、動物園の狐にピーナッツをぶつけ、その祟りと、まるで「王子の狐」。
最後には、十代目金原亭馬生と、立川談志に出会うところで、終わる。

でも、凄いのは、あとがき・・・。

この本を読んできたきた読者に、ちゃんと、オチが用意されている。

この「らくご小僧」に書いた内容は、ほとんど事実である。だから、これは小説ではない。
ならば、ノンフィクションかというと、そうでもない。
それは、登場人物の大半が架空の人物だからで(ええ、そうなんだ)、家族、落語家については、すべて事実(ええ、どこまでがほんと)。

夢と現実を狭間を彷徨わせる、志らくの術に、してやられたという心境、でもほのぼのした心地良さが残る。

そして、志らくさん、次は一人前の落語家になるまでの、続編は必ず書くと・・・今から、楽しみである。


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