モリモリキッズ

信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

黄釣船 漂う先は 大瀑布(妻女山里山通信)

2009-09-06 | アウトドア・ネイチャーフォト
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 妻女山の上にあるノケダン(野毛壇)というところのエンジュ(槐)の林下に、ミズヒキに混じってキツリフネ(黄釣船草)の群落があります。桃紅色のツリフネソウは妖艶な三十路女の感じがしますが、黄色のキツリフネは華麗で軽快な、もっといえば軽薄な感じさえします。といってもレモン色のような未熟な感じではなく、やや橙色を帯びた年増の腰軽女という風情。黄色の花弁の中に紅色の雀斑(そばかす)があります。いずれも里山の晩夏から初秋に季節の移ろいを彩る花です。

 和名の黄釣船とは、ぶら下がる花を釣船(吊り舟)、あるいは花器の釣船にみたてたものですが、英名は、
Touch-me-not Balsam。ツリフネソウは、学名をImpatiens noli-tangereといいます。Impatiensは、「耐えきれない」の意で、noli-tangereは、「私に触れるな」ということ。触れると種が勢いよく弾けるホウセンカの仲間ならではの名前でしょう。和名とのギャップがありますが、花の印象としてはどちらも頷けるものがあります。

 沢筋の湿った場所や渓流沿いに咲く花なので、乾燥や強い陽射しにはめっぽう弱く、すぐに萎れてしまいます。そのだらしないことといったら…。この群落のキツリフネも強い晩夏の陽射しでかなり縮れており、撮影に適した花を探すのに苦労しました。森に響き渡る蝉時雨は、夏の始まりや最盛期のそれではなく、ヒグラシとミンミンゼミの混じった、それもどこか力強さに欠けた物悲しいものです。

 ツリフネソウの花は以外としぶとくて、残花になってしおれても落ちずについているものが多くあります。それでも、中には野分けなどでちぎれて渓流に飲み込まれるものもあります。流れる先は、落差20mほどの滝なのですが、小さな黄釣船にとっては大瀑布なわけです。藻屑と消える黄釣船の花か…。

★ネイチャーフォトは、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】をご覧ください。キノコ、変形菌(粘菌)、コケ、花、昆虫などのスーパーマクロ写真。滝、巨樹、森の写真、特殊な技法で作るパノラマ写真など。キノコ、粘菌、夏の花、昆虫、樹木、蝶などを更新しました。トレッキング・フォトルポにない写真も掲載してあります。

●いたずらメール対策で、コメントを事後承認制にしています。チェックしているつもりですが、もれて未読のままになっていたり、誤って消去してしまったものがあるようです。お心当たりの方にはお詫び申し上げます。
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