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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

天鵞絨に 染みる群青 瓦茸(妻女山里山通信)

2009-09-12 | アウトドア・ネイチャーフォト
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 信州の里山も幾たびかの秋雨ですっかり秋模様となりました。妻女山から少し奥へ行くと様々な秋の植物や菌類が迎えてくれます。まずは林道沿いに咲くマルバフジバカマ(丸葉藤袴)。明治時代に北アメリカから輸入され野生化した帰化植物ですが、すでに信濃の里山に馴染んでしまっています。まだ咲き始めですが、道沿いに純白の花が満開になると、とても目を惹きます。

 そして、わずかに二本だけ咲いていたノダケ(野竹)。高原で見られるシシウドの仲間でセリ科ですが、珍しく赤紫の花をつけます。雄しべが銀白色に光って、これも美しい花です。古くから根を生薬として用いたようです。野竹といいますが、特に竹と間違えるような形態ではありません。

 薄暗い自然林の林下に一輪だけ咲いていたのは、腐生植物のシャクジョウソウ(錫杖草)。同じイチヤクソウ科のギンリョウソウやアキノギンリョウソウはよく見かけますが、シャクジョウソウは始めて見つけました。錫杖とは、僧や修験者が持つ金属の輪がついた杖で、熊避けや虫除けの他、武器にもなる杖です。

 林道脇の斜面に見つけたのは、オシロイシメジ(白粉占地)。食べている地方もあるようですが、中毒例も報告されているので食べない方が無難でしょう。特に美味しいという話も聞いたことはありません。同様にこれからはシロノハイイロシメジというキノコもたくさん出るのですが、これはホイル焼きにすると旨いらしいのですが、これも人によってはあたるらしく、保健所では食べないようにと言っているそうです。

 倒木に生えていたのは、クジラタケ(鯨茸)。なぜ鯨とつくのかは不明です。形態からは鯨を連想させるものは全くありません。椎茸のほだ木に大量発生しますが、そうすると椎茸が全く採れなくなってしまいます。駆除されることはあっても、固くて食べられないし、薬用にもならないので、見向きもされないちょっと可哀想な白色腐朽菌です。

 最後は、林道脇のヤマフジのつるに発見した幅5センチほどの大きな虫コブです。切断すると虫があけた穴がありました。ヤマフジの葉には、タマバエの一種の幼虫が作るヤマフジハイボフシという虫こぶができます。ヤマフジハフクレフシというのもあるそうですが、いずれも葉で、つるに作るものは始めて見ました。

 その他には、ヤマハギの花が再び咲き始めました。萩は梅雨と初秋の二回咲きます。キブシやクララ、キリの実がなっていました。まだ緑が多い山の中で小さくもミズヒキの赤が際立っています。山桜の葉はそろそろ黄色や赤に染まり始めました。わが家の山栗が大きく実っています。クヌギの樹液にオオスズメバチが集まっていました。

「天鵞絨に 染みる群青 瓦茸」   林風
秋雨が降ると傘の表面が天鵞絨(ビロード)状に光るカワラタケに、見る見る雨露がしみ込んで群青色に染めていきます。群青色は底なしの色で、秋雨毎に少しずつ秋は深まっていきます。

★ネイチャーフォトは、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】をご覧ください。キノコ、変形菌(粘菌)、コケ、花、昆虫などのスーパーマクロ写真。滝、巨樹、森の写真、特殊な技法で作るパノラマ写真など。キノコ、粘菌、夏の花、昆虫、樹木、蝶などを更新しました。トレッキング・フォトルポにない写真も掲載してあります。
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