第四次川中島合戦の時に武田別働隊の一軍が大嵐の峯から妻女山(斎場山)へ攻め込む際に通ったかもしれない鞍骨城跡へ、久しぶりに登りました。鞍骨山は、標高798m。別名に倉骨山、鞍掛山、鞍橋山、清野山などがあります。村上義清の家臣だった清野氏の山城で、上杉景勝の会津移封に伴ってこの地を去り廃城になったといわれています。道中、猛毒の山鳥兜が初秋の風に揺れていました。
鞍骨城跡へは、妻女山展望台から登ります。駐車場奥から右の林道に入り、10~15分で東風越という峠。右へ行くと2分で謙信本陣の斎場山ですが、鞍骨城へは左の道をとります。約5分で堂平大塚古墳の標柱。この左手の平地が陣場平といい、上杉謙信が陣城を建てたと伝わる場所です。さらに10分ほど登ると林道から分かれて天城山登山口。尾根を登ること15~20分で天城山と鞍骨城分岐。巻き道を使って二本松峠へ(天城山経由でも行けます)。峠から標識に従って、三つの掘切を超えて15~20分歩くと鞍骨城の麓に着きます。目の前に高さ50mの鞍骨城跡がそびえたちます。城跡へは、左から巻くように登り、腰郭を二つクリアします。二つ目の腰郭で右手にまわり、登りきると南面にある虎口です。妻女山から鞍骨山頂までは、約90~110分ぐらいです。
山頂は、冬枯れの時以外は眺望がありませんが、山頂から東へヤセ尾根を30mほど行くと、二カ所続けて展望が開ける狭い場所があります。天城山方面から来た場合は、山頂を越えてこのヤセ尾根展望地まで行かれることをお勧めします。眼下に川中島、妻女山、海津城の絶景が見渡せます。遠くに茶臼山と北アルプスも見えます。謙信公に想いをはせ、川中島を見渡した兼続の気分が味わえるかもしれません。また、運がよければニホンカモシカとも遇えるでしょう。運が悪ければ月の輪熊と遇えるかもしれません。
1583年(天正十一)7月上野国から佐久郡を経て小県郡に侵入した北条氏直は、小県方面の諸士に服属を求めました。その勢の強大なのを見て、真田昌幸をはじめ祢津、望月氏など氏直に臣属を約します。
武田氏の旧臣であった春日弾正忠は、先に上杉景勝に属して海津城将として在城していましたが、北条氏直の小県侵入により、武田氏の旧臣の多くがこれに従ったので、真田昌幸と密かに通じ、氏直を川中島方面に引入れ景勝と戦わせ、自身は海津城から氏直に呼応して景勝に叛き、氏直に勝利を導こうとしました、しかしこれは事前に発覚して、弾正忠は捕えられ殺されました。このとき景勝は氏直の川中島出陣に備えて海津城を出て清野鞍掛山(鞍骨山)の麓赤坂山(妻女山)に陣したとも伝えられています。その時に、鞍骨城には直江兼続が布陣したともいわれています。
鞍骨城は、旧埴科郡の山城の中で最大のものです。本郭は、西辺20m、南辺17m、北辺9.7mの不整方形。西方に脇郭と副郭、さらにその西に大郭と狭長な郭があり、堀切を隔てて平坦部が続きます。本郭の南方に井戸の段郭があり、その下にまた井戸のある腰郭があります。その南方に箕状の段郭が階段式に4つ連立しています。本郭の北東には土塁があり、外側は石積みになっています。南面に比べて北面は険しく傾斜が急です。このため南面が大手とされたようです。この城は、清野氏の要害であったことは間違いありませんが、永正年中(1504-1520)清野山城守勝照の築城説については明証がありません。
清野村誌によると、「村の北の方、字中沖にあり。往古本村領主清野氏数代之に居す。年月不詳。清野某海津に移り、該地に倉庫を建つ。此時より禽の倉屋敷と称す。天文、弘治中、清野山城守武田氏に敗られ、越後に逃走するに及び武田氏の有となり、天正十年三月武田勝頼滅び、織田信長の臣森長可の有となり、六月信長弑せされ長可西上するに至り、七月上杉景勝の所有となり、某幕下清野左衛門尉宗頼、該地に移り居住すと言う。管窺武鑑に七月四郡(埴科・更級・水内・高井)上杉景勝の有となり、清野左衛門尉を、猿ケ馬場の隣地、竜王城に移とあり。一時此処に居せしか不詳。後真田氏領分の時に至り寛永中焼亡す。後真田氏の臣高久某此域に居住し、邸地に天満宮を観請す。弘化二乙己四月村民清野氏の碑を建つ。」ということです。
清野氏については、「清野氏と戦国時代」をお読みください。
*3枚目の写真、斎場山は手前の尾根ではなく、その向こう側の尾根にあり、山頂のみが少し見えています。
●鞍骨城跡トレッキング・ルポ
■06/12/31 妻女山から陣場平、天城山、鞍骨城往復。
■08/12/30 象山から鞍骨城、斎場山、薬師山のルポ。
■09/01/18 鷲尾城跡から鞍骨城跡、御姫山、妻女山。
■09/03/01 倉科三滝から鏡台山、御姫山、鞍骨城跡、妻女山。別働隊のルート?
■09/04/12 妻女山から陣場平、天城山、鞍骨城、妻女山。
★古城巡りは、【MORI MORI KIDS(低山トレッキング・フォトレポート)】をご覧ください。尼巌山城跡・狼煙山砦跡・県山城跡などもあります。