~空からの贈りもの~

「森のこもれび」の山崎直のブログです。

思い出

2010-04-27 21:16:58 | 日記
尼崎の脱線事故から5年目を迎えた日、事故で娘さんを亡くした
お父さんの手記が載ってました。
あの日から、娘さんに毎日手紙を書いているというお父さんです。
お嬢さんの部屋も部屋のカレンダーも、あの日のままだそうです。
お父さんは、悲しみは少しも減らず、娘の思い出がだんだん薄れて
行くことがとても辛いと書いていました。
私も、同じように思っていた時があります。
9歳で兄を失った弟の兄への記憶が、どんどん無くなっていくのです。
不安になった私は、お兄ちゃんと貴方はこんな事をしたとか、兄弟の
結びつきを緩めてはいけないと、事あるごとに兄の話をしてました。
思い出の刷り込みを、私がやっていたのです。
それでも、弟の兄との思い出が消えていくのを止められませんでした。
そのことが、本当に辛く悲しかった時期がありました。
ある日、息子の部屋で「僕はお兄ちゃんの行けなかった高校へ行く。
お兄ちゃんの歩けなかった道を、お兄ちゃんの分も歩いていくのだ」と
書いたものを見つけた時、思い出の刷り込みを止めようと思いました。
息子の中で、兄はちゃんと生きているのです。
今、彼は兄と共に歩き新たなる思い出を構築しているのです。
私は、兄の思い出を消してはなるまいと必死になっていましたが、
ふと気がつけば、亡くなった息子が私達家族に今尚、新しい思い出を
つくってくれているし、掛けがえのない出会いを与え続けてくれてます。
尼崎でお嬢さんを亡くされたお父さん、娘さんは「お父さん 私は
死んで無くなった訳じゃない、ここにいるの!お父さんの一番近くに!」
と言っているのが聞こえませんか…
コメント
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