~空からの贈りもの~

「森のこもれび」の山崎直のブログです。

祈りの心 木下 晋(すすむ)

2012-05-26 21:36:07 | 日記
知人から、平塚美術館でやっている木下晋展は是非行くようにと

メールをもらいました。

実は木下晋なる人物は名前すら知りませんでした。

でも、なぜか気になり先月、見逃してしまったジャクソンポロックの

ような後悔はしたくないと思い、見たことも聞いたこともない

木下晋展に行きました。同時開催の棟方志功展とダブルチケットで

両方が観れるのですが、私は先ず木下晋展に…

一歩足を踏み入れ、黒と白の鉛筆だけの絵を観た時の驚き…

そして、合掌図前に立った時、震える思いがしました。

木下晋の絵を観ながら、私の口は勝手に「参った、参った」と

口走っているのです。

何が参ったのかと、自分に問うてみると、私は人間に参った

と、思ったのです。

木下晋のモデルは

瞽女の小林ハルさん、ハンセン病の桜井哲夫さん、木下晋の母…

みんな深い孤独と苦しみの人生を歩んできた人です。

闇が闇で終わらず、闇から放たれる光がそこにあるのです。

瞽女のハルさんは、木下晋から「生まれ変わったら何になりたい

ですか」という質問に「そんなことがあるなら、虫でもいいから

目明きで生れてきたい」と答え、ハンセン病で顔という言葉を

口にするのもはばかれるほどの形相の、桜井さんは「自分は

らい病の犠牲者と思ったことはない。むしろらい病という

衣装を身にまとうことができたおかげで、今日まで生きて

これた」と言っています。

深い闇から放たれる光、その光を木下晋は感じとっているの

だと、私には思えました。

祈りの全てを合掌する手に表現した「祈りの心」は、心の奥底に

降りて来る深い祈りです。

人は胎児の時からすでに合掌し、死して合掌し旅立っていきます。

宗派を超えた根源的な祈りの姿、それが合掌なのだと木下晋の

絵は語っていました。

私は美術館を後にし、駅に向かう途中も、電車のなかでも

「参った…」を繰り返していました。

木下晋の絵に、魂を震撼させられたようです。

ダブルチケットの棟方志功には寄らずに、帰りました。

会場の出口に「5月27日(再放送は翌週)の日曜美術館の

木下晋の番組を観たら、また来たくなるはずです」と

書いてありました。

私の心を震撼させた木下晋とは、どんな人物なのだろう…

(27日朝9時NHK教育 観て下さい)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする