田口ランディさんに「すなおさんは、どうしてそんなに初女さんが
大好きなの」と聞かれたとき、間髪入れず「初女さんが
いなかったら、今の私はいないから」と答えていた
自分がいました。
そう、初女さんに出会っていなかったら、あの悲しみと
折り合いがつけられず、いまだに「なぜ」を繰り返して
いたかもしれません。
「元気が取り得!」と言っていた息子が、放課後
友達とリレーをした後で「疲れた」と言って校庭に寝転がり、
なぜかそのまま心臓が止まってしまったのです。
何がなんだか分からないまま葬儀を終え、2~3日経ったときに
息子の空のお弁当だけが返ってきたのです。
最後に息子が食べたのは、私が作ったおむすびでした。
もっと美味しいものを食べさせたかった。この思いは
消えない苦しみとなってさらに私を苦しめていきました。
悲しむことにも疲れ果て、ボロボロになっていた時に、
新聞の小さな告知で初女さんの講演会を知り飛んで行きました。
初女さん出演の『ガイアシンフォニー2番』を観て泣き崩れて
しまいした。
そして、講演で初女さんが「おむすびはソウルフードです」と
話されたのです。
その一言で、息子の最後の食べ物が「おむすび」で
良かったんだと初めて思えました。
帰って直ぐに初女さんに手紙を書きました。
すると間もなく、「佐藤です」というお電話があり、
夢のような思いで、初女さんのお声を聴いていました。
森のイスキアに呼んで頂き、息子の写真を長い間見ていた
初女さんの頬に一筋の涙が伝わっていくのを見た時、
私の抱えて来た悲しみや苦しみはすべて受け留められた。
生きていこう!と、思えたのです
あれから13年。
講演会を6回やらせて頂き、最後の講演会が田口ランディさん
との対談でした。
ランディさんとの出会いも初女さんが与えてくれたのです。
今年の2月に初女さんが亡くなり、心の中に初女さんの
存在と不在を感じながら、ランディさんが語る初女さんを聴きたく、
講演会の準備をしています。
「初女さんとの出会いなくして、今の自分はいない」
どんなに歳を重ねても、この思いは色あせないと思います。
森のこもれび 山 直