世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

ビーストの世界

2008-07-04 17:11:27 | フェアリィウィスパー

今日もね、妖精が教えてくれたんですよ。

うそかほんとかしらないけれど、今、ちまたに、ビーストが化けた人間が、たくさんいるんですって。

ビーストは、人間がうらやましくて、とってもトンデルかっちょいい人間になりたくて、人間の皮をぬすんで、人間になりすましてるんですって。

周りを見てね、こんな人、どっかでみたなーとか、なんか、漫画みたいだなーって感じる人がいたら、それはビーストの化けた人間だそうよ。

ビーストは、漫画やアニメに出てくる、かっちょいい男の子や女の子が、すごく気に入ってるの。足が長くて細くて、お人形みたいなスタイルの女の子や、腕が頭周りより太そうなたくましい男の人がいたら、それはビーストの可能性大だそうよ。

もっともビーストは、人間みたいに頭がよくないから、いつも変な失敗ばかりするんですって。それでね、仕事で、そういう失敗をやらかして、大変なことになるのに、なんだかな~なんて言って、そのまま忘れちゃうんですって。それでね、日頃はスーパーマンみたいなかっこいいスタイルで、贅沢ばかりしてるそうよ。

ビーストの化けた人間の世界には、亀仙人だとか、孫悟空だとか、ブルマちゃんだとかが、たくさんいるんですって。そっくりなんですって。それがね、いちばんおもしろいのは、ほんとに、まねばっかりだから、全部おんなじに見えるくらい、そっくりなのが、たくさんいるそうよ。

ビーストは、漫画にでてくるヒーローみたいに、できるかっこいい人間になりたくて、いろんなことをやってるんだけど、まねしかできないもんだから、いつも、馬鹿なことばかりしてるんですって。それをね、ばれないように、がんばって、隠してるんですって。でも、最近、人間が賢くなって、ビーストの正体が、いっぱいばれてるんですって。

それで、ビーストは、今、逃げまくってるんですって。なんせ、仕事で隠してた秘密がばれたら、もう大変なことになってたんですって。それで、なんにもできないって言うもんだから、みんな、真っ赤になって怒ってるんですって。それで、ビーストは、さーっと、ネズミみたいに逃げるんですって。その逃げっぷりといったら、すばらしいんですって。今いたと思ったら、もういないそうよ。

そんなビーストは今、どこにいると思う?

普通のおじさんぽくて、きれいなスーツをきて、立派に紳士って感じの人が、昼間っから本屋さんで立ち読みしてたり、コンビニにぼっとして立ってたりしたら、それ、ビーストの可能性大だそうです。大変なことになって、どうしたらいいかわからなくて、そんなところで、ぼうっとしてるそうよ。一見、立派な会社の課長さんだとか部長さんだとかに見えるけど、なんか人間ぽくなくて、変だなって感じがするそうですよ。

ほんとかな? すごくおもしろいけど。

ビーストはね、もうだめだって思ってるそうよ。嘘ばっかりで、人間になりすまして、みんなをだましてきたら、それが大変なことになってしまってたの。もうみんな、大変なの。ビーストがやらかしたことを、がんばって、なんとかしてるのよ。

こんなの、いっぱいいたんだけど、今、とんでもなく、辛いんですって。もうだれも、だませなくなったから。人間が賢くなって、嘘を見抜くようになったから。

これからどうしたらいいんだって、ビーストは今、どこにもいけなくて、人間世界をうろうろしてるそうよ。




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愛の響き・3

2008-07-04 08:54:05 | 有為のしらべ

パイナップル編みの小さなコースターです。ラメ入りのレース糸で編みました。きらきらしてきれいですよ。これもお星さまみたいで気に入っています。

レース編み、だいぶうまくなりました。細い鋼のレース針で、繊細で丈夫なレース糸をひっかけて編むのが、ここちよい。どっちも頼りなくて細いのに、信じられないくらい強いんですよ。それで、とってもきれいなものができる。しばらく癖になってしまいそうです。編みたくてたまらなくて、手芸屋さんにいっては、きれいな色のレース糸を物色するようになってしまいました。

長編み三つの玉編みが、行儀よくひな壇に並んでいるのが、気持ちいいんです。自閉っ子はみょうなとこにこだわるんですね。階段状に模様を編んでいくパイナップル編みが好き。きちんとものごとがすすんでいくなって感じで。

ひきこもりの病人生活でも、好きなことをやれるのは楽しいな。楽しいことを、なんでもやってみれば、いいことがたくさんあって、幸せな気持ちになれます。大切なのは、「自分が好き」ということ。

最近は、テレビを見ても、妙に洗練されたきれいな感じのアニメだとかを、よくみます。ものすごくかわいくて、とってもきれいな色で、完成された!て感じの。それはもうおもしろおかしく、楽しく作ってある。でも、見てても、おもしろくない。つまらない。

きれいに作ってはあるけれど、こんなの昔、どこかで見たことがある、ていうのばっかり。それに何よりも、作っている人が、楽しくない、と言っている。なぜかな。

不思議ですね。画面を見てると、わかるんですよ。作っているひとの気持が。これもきっと、愛の響き。見えない何かが、わたしの心にささやいている。ことばにはならない、魂の秘密を。

この人はね、ほんとはこんなの好きじゃないんだ。目立ってるところで、すごいことをやって、人にほめられたいと思って、やってるんだけど、ほんとはこんなの、ぜんぜん好きじゃないんだ。

テレビだとか、ゲーノーカイだとか、そんなとこで、派手に、うるわしく、豪華にやって、すごいやつだといわれるのが、いちばんすごいことなんだって思いこんで、それを目指してやってきたんだけど、今になって、全然こんなの好きじゃなかったって、気づいたんだよ。だから、どんなにうまくやってても、苦しいんだ。

どんなにかっこよくやっても、苦しいのは、すべて嘘なんだってこと。うまいことやって、ずるいこともやって、一番自分がすごいやつになる。そういう賢いことをやれるやつが、すごいやつ。そう信じてやってきたけれど、大人になって、実際にそれをやってみたら、自分でやったことは何もなかったんだよ。みんな、馬鹿にして、自分が一番偉いんだってことにして、手下にやらせてきたから。

つまらないのは、自分では何もやってこなかったからさ。自分で、自分の好きなことを、やるのが、いちばん楽しいのにね。

なんのためにやってきたのか。こんなのみんな、馬鹿みたいだって思いながら、それでもこれが仕事だからって、やってる。いやなことじゃなくて、馬鹿なこと。

もうみんな、いってしまうよ。ほんとうの魂の世界に。それなのにまだ、古い色褪せた書割りの世界で、陳腐な芝居を、棒読みで続けている。

もういいんじゃないか? この脚本は、だれが書いてるの? どこで終わりなの?

もうみんな知っているよ。嘘がどんなに苦しいかってこと。

この世界では、一番立派な人が、一番みじめなのだ。嘘なのにやらねばならないから。真実の美しい世界が、苦い顔をして逃げていくほど、馬鹿なことばかりやってしまったから。

自閉のひきこもり部屋で、魂の世界とばかり話をしていると、見えない響きがいろいろなことを教えてくれます。

ひとりぼっちの部屋で、わたしは千万人の友達といっしょにいる。

テレビの向こうのあの人は、千万人の人に囲まれながら、たとえようもなくさびしいと言っている。

さてと。今日も一日、レース編みをしよう。結婚式のために、コサージュをこしらえようかな。それともまた、ドイリーを編もうかな。

できたらまた、UPしましょう♪


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